平成10年9月18日(金)〜
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.無題
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夏の終わりの天気雨の中を走っていく少女
平安で
なごやかで
無責任な傘の群れを横切り
長い髪と
長いまつ毛で心を包み
私の視線など後ろに残して
ビルの向こうの光りの方へ
消えていった
柵の所で電車を見ている少女
汗と寝不足で腐る
通勤電車の以下の人間たちの
うつろな視線を浴びて
つまらなそうに
また一台見送っている
言葉を知らない少女
おばあさんがあいさつをしても
店の人に呼びとめられても
男の子に石を投げられても
親がやつあたりをしても
黒い
大きな瞳だけがじっと尋ねている
私は違うの
私は同じじゃないの ――
夜、柱にもたれて泣いている少女
誰が通りかかろうと
話しをしようと
何も見はしない
彼女だけに教えられた
すべての人たちのよどみを
痛がっている
そのうちに
帰ってきた弟をみつけて
高い高い声で
呼ぶ
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S52.8.31.
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