平成10年10月9日(金)〜

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無題
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雨だよ、雨
汚尿のしずく
街に降りにじめ

ふきたければ風
そら、空を渡れ
病菌をくすぐり
笑顔で泣かせろ

きれいな少女が
眉をしかめて
あん なんて日なの!
やさしい娘が
湿っぽい安物の
靴をなじり
気弱な女性が
体調不良に
神を呪う

深い暗い
悲しいひとみに
この命をささげた
男は、
この日ありたけの憎しみを
その眼球に投げ返し
はかない夢を
他の何よりも
与えていた赤子にも
殺意の序曲が
相高まってゆく

男は女を
見もせずに捨て
いやしきものと
ふみつけもせず
我の苦悩に
心を腐らせ
周辺の悪気に
悪意で突き返す
女を殺し
部屋を殺し
まだ来ぬ日々を
消し去り
叫ぶ
叫びつづける
おまえだ!
おまえという存在が
呪われるべき

命の枯れ始めた赤子や
色欲のまだ続々と流れる
血みどろの娘たちは
いつものように無にはなれず
どうしようもない憎悪に
超えて
床を裏路地を
はいずり回る
いつ戻れるか
いつ消えられるか
だれも教える物なく
答える知もなく
美しすぎる
汚物の低域を
うすまることなく
のびひろがっていった

流れ切れろ
心よ
燃え灰になれ
体よ!
しかし、
だれもそれは聞いてくれず
聞こうが答えはしない
強大な生命というけものは
どこまでも腐り
醜い臭いと
うじ虫の温床を
開展する

実は
雨はただの水で
菌はただの砂粒で
神は微笑み顔をゆがまして
説き始め
聖なる光りで
すべてを照らした
しかし、
すでに照らしていたが
何も変わりはしなかった!
女は男を突き喰い
男は女をしぼり血だらせ
すべては光りを指さして
悪鬼の罵声で
にらみ返した
神は何一つ驚かず
けたたましい口調で
笑いつづけていた

良き日かな
美しき万物かな
すべては救われた
すべてはまさに
私のしもべだった

悪鬼たちは
くさりただれた手で
ゴウゴウと同意しつづけた
終わりのない終わりの
その時まで!

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S52.9.19.

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※ 訂正:「靴をなじり」は「靴ををなじり」となっていた。
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