ksayamaさん。こんにちは。
いろいろと勉強になるお話、ありがとうございました。
> ◆第69段の「狩りの使い」では
> 伊勢神宮の斎宮が以前から交際のあった業平と深夜に密会する話しで
> 斎宮は処女の皇女が選ばれ、天皇の在位中は男性と交わるのはタブーであった。
> 普通に考えれば天罰が下る話しですが当時はそうでも無かったのでしょう。
禁忌であることは間違いなかったのでしょうが、聖職にあっても一人の生きている女性であれば、恋心を抑えることはできないだろう、と当時の人たちは内心許したのでしょうね。相手があの業平では無理からぬところもあるし、などと。・・ですからこの物語は圧殺されることなく後世に伝えられていったのだと思います。あの時代の人たちは、「大人」だった、ということかもしれません。
> 業平は単なるプレイボーイでなく、和歌の出来る人で女性を紳士的に扱った様ですね。
ただ、和歌がまずいとか、田舎娘だったりすると、相当に邪険にしたような風も見えます。
業平個人というより、この物語の作者たちの傾向、と思いますけれど。(作者が業平本人なのか、複数の作者あるいは編者がいたのか、そういうことはもう推測するしかないらしいです)
> ◆第116段の「浜びさし」について
> ある男が陸奥の国で恋人に送った和歌
> ・浪間より見ゆる小島の浜ひさし
> 久しくなりぬ君に相見て
> 「浜ひさし」は、和香さんでは「浜ひさぎ(楸)」となっています。
> 「楸」はのうぜんかつら属の落葉喬木だそうです。
> ひさしは軒ひさしで、異本があるのでどちらでも良いのでしょうね。
解釈は様々あるようです。私はよく分かりませんでしたので、私の心情に一番近いのは、「楸」かなと考えました。
私の参考書(新潮日本古典集成 第二回配本 『伊勢物語』渡辺実校注)では、
浪間より見ゆる小島の浜びさし 久しくなりぬ君に逢ひみで
と、漢字を当て濁点を付けています。
ほとんど変わらない本歌自体は、万葉集の頃からあって(上の参考書によれば、万葉集では「浜久木」だそうです)、贈られた相手もそれは承知の上で、さようですか、あの歌のような境涯におられるのですね、と感じ取る。そういう呼吸かと思われます。
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ではまた。