ねっとCafe/nc:小説工房談話室


タイトル  :RE^4 「足掻く」って「あがく」ね、和香さん
発言者   :和香
発言日付  :1998-07-16 12:11
発言番号  :163 ( 最大発言番号 :263 )
発言リンク:161 番へのコメント

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keitoさん!

 「足掻く」、辞書を引いて、読めることは読めたんですけどね。なんかおもしろい気がして。
 私の発言#160の隠れタイトル(ブラウザの上辺に表示)を見て下さいよぅ、
 なんて、さりげなく指摘してみたりして・・・ (^^)


 星新一を初めて読んだのは、中学生のときだったでしょうか。
 友人にSFが好きな奴がいて、しつこいぐらいに奨めるんです。
 私は、明治大正の小説や推理小説ばかり読んでいて、SFは食わず嫌いだったんです。あんまり言うので、じゃあ、ってその本を借りたんです。最初は、アイザック・アシモフの『鋼鉄都市』とR・A・ハインラインの『夏への扉』だったかなあ。
 いちころでしたね。虜です。
 英米SFばかり読むようになりました。
 そのうちにその友人が、今度は日本のSFを持ってくるんです。英米SFの物真似なんてと迷惑な顔をしてたんですが、やっぱりあんまり言うので、読みました。
「ほれ、ほれ」
 って、なんか動物に餌を強要するみたいに、新しい本でつつくんです。
 でも、今思っても、玉石の選別、的確でしたね、そいつ。
 そいつが持ってきた中に、星新一の『おーいでてこい』や『ボッコちゃん』の収載されているのもあって。文字通り、天井を仰いで、驚嘆しました。
 星新一は、何冊も読んだ記憶があります。それほどだったのに、内容はなぜかあらかた忘れてますね。
 (ですから、読み直しても、また新鮮に楽しめるかもしれませんよ)

※ 作家名、書名は記憶頼り。少々違うかも。


 私はすぐ影響されるたちなので、ショートショートをいくつも書きました。その友人のと見せあって、批評しあって。そいつのには、ついに勝てなかったと思います。「接続詞が不適切だね」とか言うんです、中一か中二で。
 そいつは優秀だったので、頭のいいやつが行く都内の私立高に入って、頭のいいやつが行く関西の国立大学に進みました。
 二十二の春、でしたか、私の職場に電話があって、会いたいって言うんです。訊くと、東京に戻って、銀行マンになっていました。
 六七年ぶりですから懐かしくて、そいつの職場の近くだという銀座で飲みました。銀座は初めてでした。
 そいつが今どんな本を読んでいるのか、どういう小説を書いているのか、私は今こうこうだ、どう思う、そういう話をしにいくつもりでした。
 でも、そういう「あおい」話にはもう乗ってきませんでした。
 売上とか資本金とか、銀行の利ざやがどうのの裏話とか、そういうことばかりになりました。二十二の春で。
 麦酒とソーセージは美味しかったのだけれど。

 あれきり会う機会がありません。
 今は、グローバルスタンダードとかで、汲々としているのかもしれません。そいつの銀行はまだ潰れていませんが。

 あまりに、跳びすぎましたね。思い出すまま、でした。

 ではまた。


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