ねっとCafe/nc:小説工房談話室


タイトル  :『受験』 承の章
発言者   :和香
発言日付  :1999-01-02 09:26
発言番号  :881 ( 最大発言番号 :981 )
発言リンク:863 番へのコメント

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  『受験』



起の章 なのはなさん

 
行きたい高校と行ける高校。  
どっちに行けばいいのかな。  
たかし君と同じ高校とあゆみと同じ高校。  
どっちが楽しいのかな。  
 
「どーしたの、ミカ。深刻な顔して」  
教室は騒がしかった。  
休み時間だけでも騒ごうという生徒の気持ちを反映しているかのように。  
ミカは机に座って、各高校のデータが載っているプリントを見ていた。  
「あ、あゆみ」  
「まだ悩んでんの?高校どこ受けるか」  
「うん」  
「たかし君と同じとこ受けるんじゃないの?」  
「……うーん」  
 たかし君と同じとこに行きたいけど、自分の成績じゃぎりぎりだし、  
あゆみと同じとこならちょっと勉強すれば大丈夫だし……  
「どうしよう、あゆみ」  
「たかし君と相談すれば?」  
「ミカが決めろって」  
「うん、まあ当然ね」  
「あゆみい」  
「今日の帰りもう一回相談してみれば?」  
「……うん、そうする」  
 このままじゃ、大切な時期なのに勉強が進まないでしょ。  
 あゆみはそう言って、自分の席に戻った。  
 始業のチャイムが鳴った。
 
 
 




承の章 和香


「たかし、わたし同じ高校受けるって決めましたから」
「おお、よかった」
「先生は首かしげてた」
 人差し指でくるくると自分の頭を差した。
「大丈夫だよ、おれ、つきっきりで教えてあげる」
「いいよぅ、そこまでしなくても」
 あゆみは、さみしそうに苦笑した。すぐその場を離れようとする。
 ポケットからすばやく手を出して、制服の肩の下あたりをつかんだ。
「おい、ミカにおれたちのこと、話したか」
 こちらに向き直りじっと見つめる。
 ひと呼吸したあと、唇に指をあてて、
「まだ。こんな時期に話したら、壊れちゃうでしょ、あの子」
「そりゃ、そうだけどなあ・・」
 うつむいて、おれがわきに挟んでいる本やノートを拳でぽんぽんと叩いた。
 いつもの落とす真似だった。
「放課後、相談にいくとおもうので。ミカ」
「またかよ。・・困るんだよなあ」
「アクマ、だね」
「へっ、どっちが」
「なるようになれ、わたしそうとしか思ってないもん」
 形よいあごに指先を添えた。
 ・・・・・
 じゃね、と行ってしまった。
 ぼとぼとと教科書類がずり落ちて、しゃがむと、あゆみの笑い声が聞こえた。
 殴るしぐさをした。

 いっそ打ち明けてしまおうか、もう何日も前からそう考えている。
 誰がどの高校に受かろうが、受かるまいが、おれはあゆみなんだ。
 そう言ってしまえたら、楽なんだけど・・
 







 

 で、は、・・・

 「転」未経験が三人ですか、ふむふむ、・・
 『受験』 転の章 は、順当なところで、

  keito さん
 
 を指名します。
 よろしくお願いいたします ☆

 


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