ねっとCafe/nc:小説工房談話室


タイトル  :『うそ』 承の章
発言者   :和香
発言日付  :1999-07-14 11:50
発言番号  :1665 ( 最大発言番号 :1765 )
発言リンク:1663 番へのコメント

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お題:かっちん

『 う  そ 』
 
 
 

起の章:NONTAN

 「偽善者が賞賛され、虚構のピラミッド機構の中、生きるのはごめんだ。」  
そう、決めたのはいつだったか、思いだすこともままならないくらい、時は  
経ってしまっていた。  
そう、自分に嘘をついて生きてきたような気もする。  
 
理想と現実のギャップ。その隙間を埋めるために、自分に嘘をつき続けてきた。  
だがしかし、そんな生活とも今日でお別れだ。。  
昔決めた理想に、今から少しでも近くに行きたい。  
覚悟はすでに出来ている。  
 
 
思えば、この電車にも毎日、よく乗っていたものだ。ホームの人混みの中には、あいかわらず、不快感と嫌悪感が漂っている。  
毎日毎日、本当に変わることのない日々の中。。。だが、変わらなかったのは  
周りじゃなくて、自分自身だったのかもしれない。変身願望は強く持っていたつもりだが、「つもり」だけで、  
実際の深層心理では変化など、望んでいなかったのだろうと、変に、最後は自分を納得させた。  
 
一呼吸ついた頃、急に、弾かれるように体が前に飛び出し、構内速度75キロで進入してきた、環状線のフロントガラスに、僕の体は強く打ちつけられた。  
 
 
 
 
 

承の章:和香

 没だった。
 取引先からの帰り、その大手印刷会社のロゴ入り「入稿袋」を抱えてホームを歩いていた。
 ださい。
 「入稿袋」は、裏が真っ黄色で表はロゴ文字だけ黄色、あとは透明の厚地ビニールだけれど、仮にも一部上場の企業がそんなものを作り、デザイナーのはしくれであるアタシが抱えて人混みを行く。二つ折りにしてもB3だから隠すこともできない。
 はああ・・
 うちみたいな弱小事務所は逆らえないし。あっちで叱られ、こっちで怒鳴られ、クリエイターをなんだと思ってんだあー
 ・・・・・
 おやあ。
 と思った。あそこの会社で、一人だけいつも冗談を言ってかまってくれる人がいた。アタシたちが納品している部署の隣だから、直接の利害が無くて、最初は廊下の自動販売機のところで出会った人。遊びにいったら、一人一人仕切りのあるコンピュータだらけの部屋で仕事していた。
 今日も、むしゃくしゃしたから寄ってみたんだけど、彼はブースにいなかった。
 外回りの日なのかな。
 アタシは、そっと近づいて、背中をどーんと叩いた。
「やあやあ。元気〜」
 
 
 
 
 


 どうも。
 NONTANさん、ご指名ありがとうございます。
 今回はあまり凝らずに承ってみました。
 どうなることやらですが・・ (^^)

 では、「転の章」は、

 花島賢一さん

 にお願いいたします。よろしく〜
(しばらくご無沙汰で、なにしてんでしょ? 花島さん)
 

#1664、失敗しました。


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