小説工房談話室 ■■■■■■
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 『目眩』の感想
1999/11/08 和香 Home Page ■■■■■■ JustNet TOP

 
 

 おつかれさまでした、みなさん。

 破滅的なお話になる、というのが、私の見通しだったんですけどね。
 「私の見通し」が的中することはほんと少ないです。
 面白かったです。




『目眩』の感想


お題

 乱入HARUさんが、体調不良というところから出題してくださったようですが、いかにも「お題」にふさわしい。いつもながら筋のよい感覚、と思いました。
 人が「めまい」を感じるというのは、なにかしら異常に遭遇したときでしょうから、そこには必ずお話(=人に聞いてもらいたいような聞かせたいようなトピック)の種子があるはず。
 でも、筋がいいというのは、「逸脱」が少ないということでもあり、「型どおり」や「平板」を呼ぶかもしれない。
 ここら辺の「実験」として見直すと、また別の顔が浮かびそうな四章だったでしょうか。






 和香の担当ですが、「めまい」と聞いてほぼ最初期に浮かんだのがこのネタでした。
 「このネタ」をもう少し説明すると、

〉 朝刊の社会面は、例の、通り魔無差別殺人関連でほぼ埋まっていた。

〉 バラで買った一枚が、・・・に、にばんちがい・・・

 この二本柱です。
 「いわれなき殺人」と「巨額当選金にニアミス」、この類縁がきっと繋がるという感覚です。
 悲劇的な「事故」や「不運」は、いきなりは生じないのではないか。激しい「亀裂」はたぶん、最初のとるに足らない「手違い」のようなものから連鎖して、人界を走ってしまうのではないか。
 つまり、「巨額当選金にニアミス」 → ○ → ○ → 「いわれなき殺人」というのが、起の章制作時の、私の四章の見通しだったのです。
 こういう崩壊過程を見てみたい、とは思ったのですが、「4章小説」は甘くないですね。

 なお、最初は、現実の宝くじ当選番号そのままを載せようと思ったのですけれど、全世界に公開されているわけで、とんでもない勘違いをする人が現われないとも限らないので、「地球救済宝くじ当選番号」「1等(5億円)」などと架空のものを使いました。
 ここのところを展開して、SFっぽいお話もありか、なんて後で思いました。これも外れました。(笑)






 花島さんは、大人ですねえ・・
 「1等五億円に二番違い」「前後賞ももらえない」というのは、脳細胞が二万個くらい気絶して、とんでもない信号がスパークしまくるような事柄だと私は思うのですが、仕事前に新聞で確認した個人的な不運、日常ありがちな光景というふうに、

〉 はずれ券を片手で握りつぶしゴミ箱にシュート。

 ということにしてしまった。
 外れは外れ、ニアミスも大外れも同じこと、という悟りを感じます。これくらいで大騒ぎする方がどうかしている。・・ギャンブル系統に相当なじんだ匂いがします。いなされてしまった・・

 宝くじ好きの男の話のみという軌道修整が、読んだ当初は、不満ではあったのです。
 でも、改めて読み直すと、「現実に引き戻される」ところの描写など生きています。
 理屈に合わず馬鹿げているアドバイスでも、結果を残した者の言うことはどうも捨てきれないというあの感じなど、うまくすくい取っていますしね。
 当たってしまった友人がいたから、彼はのめり込んでしまった、という事情もこれはリアルと納得しました。
 徐々に、味わいの滲み出してくる章だったようです。
 う〜ん、深いです。






 「まるでお面のひょっとこみたいに喋る上司」と花島さんが書かれたときは素通りしていたのですが、市原さんの「あのひょっとこ上司の岡目課長」というふうな短縮形、かつ、相方の「おかめ」に引っかけた命名まで表われて、とたんに、あぶり出てきました。
 この描写の、取捨、好悪、新旧に関わる気がかりのようなものが。
 「ひょっとこ」や「おかめ」を男女の描写に使用するのは、「ありきたり」の典型中の典型であって、古い、ダサイ、安易、最も遠ざけなければいけない、思い浮かべてもいけないほどのタブー、というのが私の常識だったのです。
 ・・・が、意外に、新鮮ですねえ(笑)
 花島さんが「まるでお面のひょっとこみたいに喋る上司」と書かれたときは、まだ「言い回し」の段階だったのでしょうが、「ひょっとこ上司」とまで絞られてしまうと、反転して何か、ビジュアルな妄想が浮かんでくるのです。
 仕事中に、お面そのものをかぶっている課長。あるいは、お面そのものが生皮となってひっついている課長、というような。
 アブナイし、今ここで突き詰められそうにはないのですが、この微妙なおかしみ、本作の隠し味だったかもしれません。

〉 「はい、結城ですが・・・・・なんだ、田中か ! カナダへのハネムーンはどうだい?」

 なるほど。
 宝くじを当てた友人は、賞金で海外旅行であるばかりか、新妻まで得ていた、ということですか。
 ・・・ふふふ・・・殺してやりたい・・・
 と、私は、ここでも発想してしまうんですけどね(爆)、・・市原さんはどこ吹く風、「宝くじ好きの好青年」を演じさせていく。

 章の性格としては「かるめの転」かな。もう少し大胆な起伏があっても、とは感じました。
 でも、オーロラ見物に関する情報、明朗であったかい賑やかそうな職場の雰囲気など、市原さんの味ですよね。






 和香、花島さん、市原さんと、癖の濃い面々の三連弾を受けるわけですから、しかも、復帰初戦で「結の章」。つらかったと思います(笑)

 「かるめの転」が、カオスさんにしてみれば、自由度を上げて好結果に繋がった、と私は思いましたよ。もちろん、繋げるまでは、「つらかった」と思います。ほんと、お疲れさまでした。

〉 「まさかねぇ・・・一回目で当たるとは」

〉 「いや〜、珍しい事もあるもんですねぇ。集団食中毒。それもコレラなんて・・・えっ!?宝くじが当たった ・・。ほぅ・・それは、それは。当たる時というのは何にでも当たるんですなぁ。わっはっはっ」

〉 「およそ千分の一」

 この三連弾で、はじきかえしましたね!
 見事な復活、を歓迎いたします。

 第一弾から第二弾への省略しきった転換は、気持ちよかったです。
 第二弾から第三弾への転換は、友人田中を無駄なく引き合いに出してはめ込み、きちんと「落ちた」と思います。だれが担当したとしても、これ以上はないくらいでしょう。
 ただ、ここの説明が長くなって鮮やかさには欠けますよね。これは前の章を推敲できない4章小説の宿命によるものと考えます。こういうオチならば、と伏線を張り直すことが、通常のお話ならできますもんね。きっとここらも、「つらいなあ」とカオスさん、感じられたんじゃないかな。

〉 目の前が真っ暗になった。

 最後、ちゃんと、「目眩」に戻して、カオスさんのタイトル重視のポリシーも捨てていない。お題と反応して符合消滅、全編を見えない囲いの中に締めているようです。




「型どおり」ということ

 お題や他のところでも触れましたが、本作は「型どおり」「筋がよい」「典型」「きちんと」などなど、そういうことをいつもより、考えさせられました。
 いちがいに悪いことではないし、4章小説のように制約のきつい文芸では、避けきることはできるはずもない。
 「型に外れ」「筋がわるく」「逸脱し」「乱れている」ものだけが、本当に新しいのか。進むべき未来なのか。しゃれているし、ダサクないのか。
 具体性に欠けているし、さまざまな場面情況もあるし、難しいのですけれどね・・
 「型どおり」に類するものの、ほんの少しそばにある隙間にも、突破口はあるかもしれない。
 「宿題」をもらったような気がします。

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

 
 
 
 本文書では、Just View 3.01 の縦書き表示についても試させていただきました。
 今回は、縦書きと横書きで両用できる形というテーマです。
 横書きで読み始められた方が、この辺りまで進んで違和感がないようでしたら、成功かと思うんですが・・

 縦書きの方にとっては、添付文書ではなく、通常発言にしましたので、縦幅の狭いフレームの中では、少々つらかったかな、という危惧はあります。

 このタイプの縦書き、もし大きな不都合がないようでしたら、これからもしばしば使ってしまおうかな、と考えています。


■ 「縦書きと横書きで両用」という場合の制約について、またいくつか気づきました。
1) 顔文字が使えません。
2) 引用符合「>」が両用できないので、「〉」を使用してみました。
3) 矢印「→」「←」「↑」「↓」は、両用可のようです。

■ テーブル内を縦書きにすることに成功。MULTICOLをタグのように使うのか〜
 ROOTECさん、感謝です ☆
 自由度、五割増量です。かなりのところまでレイアウトを楽しめそう。
 ただし、テーブル内では height="60%"のように%指定をするとおかしくなる。このくらいの減点はしょうがないか・・

■ それから、「縦書き+横スクロールタイプ」では、本文に入る前に、一頁〜二頁の前置きがあることになります。Just View 3.01 の方々はご経験いただいたとおりです。
 ブラウザはまず左端を表示させるらしく、また、(ROOTECさんのご指摘にもありましたが)最初に右端を表示させようとしても NAME タグが効かないためです(代わりとなるタグなどがあるのかもしれませんが、私には分かりません)。
 前置きに感じる「もたつき感」を薄めるには、やはり、本文が長文であるほうがよろしいでしょうねえ・・
 いざ読み始めようと思ったら、ちょっとで終わってしまう、そういう場合は不向きかと思います。


 縦書きの件、おってまた。
 
□ Just View 3.01 ご愛用の皆様へ
 本頁は、縦書き文書です。ここは文末になりますので、キーを操作してください。
 Shift+End によって、文頭へ跳びます。 → → →
□ キーボードの種類によっては、違う操作かもしれません。お気づきの点がございましたら、お教えください。
□ おすすめフォントは、「MS明朝」です。「設定」→「HTMLブラウザ設定」→「フォント」→「和文フォント」で選択できます。
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 この注意書き欄は、気になさらないでください。上のような事情です。 m(_ _)m