小説工房談話室 ■■■■■■
1999/12/27 和香 Home Page ■■■■■■ JustNet TOP

 
『天使か悪魔か』枝分かれバージョン の感想

 皆さん、お疲れさまでした!
 多少、ご苦労のところもあったようですが・・ (^^)

 この「枝分かれバージョン」、承以下をメールで書き継いだという態様の感想をまず。
 生成過程がリアルタイムで味わえる現行4章小説に慣れてしまった「読者」としては、完結するまでの道程を共に歩めなかった、見えなかったわけですので、「お楽しみ」としては半減だったでしょうか。
 しかし、(詳しいことは分かりませんが)、メールの往復という閉じられた環境で生成して行くのでしょうから、手間はかかるとしても、「後戻り」もある程度は可能だったか、気分としては軽快だったかな、と思います。創造の進捗は、より「合作」に近い形・雰囲気があるいはあったのかも、と興味が湧きます。
 逆に言えば、現行のほうは比較すればサディスティックに過ぎるのかもしれませんね (笑)





 夢から醒めても夢魔が進行する、という展開ですか。
 市原さんの「起の章」の受け方、やはりこの型が落ち着くのでしょうかね。

> 金髪で深い緑青の目、しかし魅力的な大人の女性の顔をしている天使だった。
> しかし驚いたことには、そのきらきらと輝く金髪のあいだからは、アルパカのようなするどく尖った金色に光る、ねじれた角のようなものがみえているではないか。

 この描写、どきっとするくらい生々しいです。
 ゆきさんの散文作品を読ませていただいたのは、初めてかもしれません。あともう少しだけ磨きを入れれば(要は削りたい)、という欲求が、私の嗜好では生じますが、でも、さすがです。独特な味がありますね。

> 「あら、わたしはずっとあなたといっしょにいたのよ。ただあなたが気づいてなかっただけ、あなたのことならなんでも知ってるわ。」
> 「え〜、うっそ〜、そんなのありか〜? うそだろ!」
> 「だいたいは、知ってるわよ。でも、ほとんど眠っていることが多いけど…」
> 「(あ〜よかった。そんなにいつも見られていたら、とてもやってられないよ。)」

 お話の流れを離れてですが、「怖い」です。
 私が思うに、少年、男の子というのは、確かにこの通り、人形ほどに小さな美女、あるいは蝶ほどに軽やかで愛らしい異性、などを夢想する一時期があるのではと感じます。まったき心の秘密として。
 少年、男の子にとって、そして、そういう時期の記憶を残している男性にとって、タブーをさらされている、というショックを受けそうなところです。ゆきさんが女性である、という前提もあるわけで、知られてはならないひとに知られている、という衝撃も付加されてでしょうか。
 と言って、現在の私たちが致命的な傷を負うということはないでしょうけれど、ちくちくと奥をつつかれるような感触があって、やけに文芸的、と思いました。





 HARUさんの調子を聞かせていただくのは、久しぶりです。
 HARUさんにしてはおとなしいと感じました。前後の章に遠慮してか、いつもの存分の遊びぶりとは、違う味付けだったようですね。

 承で天使が訪れて、どうやら転では悪魔まで、ということのようです。
 リレー小説ですから悪いことはないのでしょうが、ゆきさんが承で描写した「天使」は、純粋な天使ではなくて、それこそお題そのまま「天使か悪魔か」と悩まされるような存在だった気がします。
 はっきり分離してしまったことで、旨味が減ってしまったかなあ、なんて思いましたが・・

 会話のイキの良さ、軽妙さ、後の人にそつなく引き継ぐ呼吸・・、普段の経験浅そうな装いとは裏腹に、百戦錬磨の手際を思わせます。その分、そういう自らの技能に縛られてしまって窮屈そう、とも感じましたけれど、これを言うのは、いくら「自分のことは棚に上げて」だとしても、むごいですか (爆)

> 「相変わらずって、僕のこと知ってるの?」
> 「そんなことはどうでも良いだろ。望みがかなうんだから何でも言えば。こんなこと滅多にねーぞ。」
> 「そ、そうかな・・・」
> 「そうだって。簡単だろ?なんでもいいから望むこと言えばいいだけじゃないか」

 悪魔の執拗なまでの勧めぶり、「なんでもいいから望むこと」という辺りにきて、市原さんの起が、立ち上がってくるかに感じました。
 「ヒトラーの顔と声が僕の脳裏をよぎった。」とまで、起ではありましたから、とんでもない「大望」もこの「世界」では実現してしまう可能性が示唆されている。
 さりげなく、大仕掛けの伏線を据えるあたり、HARUさん、ただものではありませんな。





 が、悪魔HARUさん(笑)のそそのかしに、れいむさんは、乗らなかった。
(私なら、乗ったかも。・・物語世界では、天使にでも悪魔にでもなれる、それが大きな魅力ですから、いい機会と感じたかな。まとまりをつけると言うよりも、壊しまくって放り投げるような虚無を提示するラストなど、一度はやってみたいところですし)

 れいむさんの言葉は、峻厳です。
 よく鍛えてある、といつもながら、感じます。例えれば、日々鍛錬している剣士の太刀筋のよう。
 私などには、もう無理でして、寝技とか腹芸とかで立ち回りたくなるところ。逃げを打たないあたり、すがすがしいです。

> 本当にほしかったものは、なんだったのだろう。
> 手の届かない夢物語に憧れた。
> 殺したいほどに人を憎んだ。
> 光を受け、影を引きずって歩く。
> ただ。そう、ただそれだけのことだ。

 お話としては、柔弱気味の「僕」のキャラクターが変容してしまっていると思います。
 章から章への空行の間に、数年か数十年か成長してしまったかのようです。
 が、そういう物語上の逸脱を補って余りある「真摯」な言葉が迫ります。
 天使にも悪魔にも、ゆきさんの描写したある種の「母性」にも、もう盲従はしない、確かな足取りを獲得している。
 表面的なストーリーを透過して、深層で進行していた流れを顕在化させ、地声で答えている、ということになるのでしょうか。
 こういう「逸脱」も、あり、と納得できました。






◆   ◆   ◆   ◆   ◆   ◆






ゆきさん、HARUさんへ

 もしよろしければ、表の4章小説に正式参加なさいませんか・・?
 枝分かれバージョン、メール版とはいえ、率先して創作なさったということは、心の中でうごめくものが、全くないわけでもなかった、と感じますけれど (^^;

 ただ、再三繰り返しておりますが、表のほうは、過酷なところがあります。
 無理にとは、そして、すぐにとも、申しません。
 いずれ、そのうちには、・・来年のお楽しみかなあ・・ などと期待いたします。




ROMのみなさまへ

 もちろん、新人の方たちの参加も、心待ちにしています。
 ここでいう「新人」とは、単に発言参加が未経験という意味です。すでにとてつもない力をお持ちの方も、きっといらっしゃるはずですから。
 「4章小説」という一企画への参加、だけでなく、当フォーラムを活気づけてくださる皆さまの多様な、ご投稿、ご発言も、今日か明日かとお待ちしています ☆