お題 カオス
追跡
起の章 れいむ
2000年2月、彼は雪の降りしきる東北のある町で、ささやかながら
あたたかな結婚式を挙げた。
まだ、春は遠い。けれど、彼はこのカルピスのような雪霧にしずむ
ふるさとが好きだった。
結婚するまえとしてからでは、生活ががらりと変わった。
彼はそのことに満足した。雪にうずもれるふるさとは、かえって
ひといきれでぬくい空気が流れる。それもまた、彼を幸せにした。
ようやく遅い春が来た。かれは、とろとろと眠っていた穴ぐらから
突然にそのことを感じ取った。春は、どこにでも侵入してくる。
土の中にも、彼の体の中にも、風の中にも、呼吸の中にすらも。
行かなくては。どこになど、関係ない。どこにでもいい。
行かなくては。
春を感じたその瞬間に、彼は上着を羽織るのももどかしい様子で
飛び出した。
承の章 和香
二千回目の春。
この地に棲みついてからそんなになるという。
いってしまった男のことは、忘れようか。
あたらしい命が宿ったのだから。
恵みとともに過ごせばいい。
あたしたちが、土地を支えている。
子らを産み、育み、大きくしているんだ。
あしたも、つよく、羽ばたくのだから。
忘れよう。身勝手な男のことは。
夏が照りつけ、秋が実り、冬がまた訪れても。
あたしは、そうしてしまえるけれど。
どんなおとぎ話にして、この子に聞かすかだけれど。
魔性が、お父を誘ったのさ。
どこで何をしているのやら。
餌食にされたのかもね。
夢を食べて、追いかけ続けてるのかもね。
転の章、意外にも初体験のはず、
カオスさん
を指名します。
お願いいたします。
> れいむさん
しっかり、御祖母さまを見守ってあげてください。