子供のころ、リリーという飼い犬がいた。
叔母がまだ高校生くらいのとき、もらってきた。
前脚の両の脇を抱え上げられ、ほら、と幼い者同士対面した。
名前のとおり牝犬で、妊娠をした。
家の床下に隠れてしまった。
数日、妖しいなきごえが、聞こえた。
「覗いたらだめ。神経質になってて、子犬を食べちゃうから」
と、大人に注意された。
それでも縁側に腹這いになって、奥を見渡したところ、数匹がリリーの腹側に守られていた。
が、外に出てきてから、育てているのは一匹だけだった。
食べちゃったんだろうか、と思った。
きょうだいは虚弱で死んでしまったのか、大人のだれかがひとにあげたり捨てにいったりもあったのか、もう今では真相はわからない。
たとえ食べちゃったんだとしても、産み育てた我が子を金ほしさに溺れさせたり毒殺したりする動物から、文句をつけるわけにもいかないよね。
リリー。
初稿