みなさん、お疲れさま・・
私は、しばらく、真っ白に燃え尽きていました (^^;
ここまでまとまれば上出来ではないでしょうか。
『 箱 』の感想
お題
「たかが箱」なのですけれど、追求していくと意外に奥があって、面白いような。
物体というより、内と外を分ける、中身が隠れる、持ち運ぶ、などの属性が「箱」の本質でしょうから、このレベルがお話とうまくからめばな、ぐらいの気持ちの出題でした。
だいぶ昔に読んだ『箱男』(安部公房)も頭の隅に浮かんでいまして、なんとなくですが理知的な作品を予想していました。そういうのが欲しかった、のかもしれません。
起の章
くちあけを手紙文で、という形、ゾクゾクするようでした。
文面に、恵子さんのきちんとした人柄もにじんで、快い予感にみちている。
・・・・・
が、このあとの地の文が、私には余計に思えて。言い替えれば、私だったら、この手紙文だけを起の章としてきれいに切り出して、よし、としたかと思います。
空の箱を、しかも「古汚い段ボール箱」をわざわざ手紙まで書いて人に預ける、という行為が不自然、不可解すぎて、容易には越えられそうにない難問と感じました。
そしてさらに、リレーである4章小説で、これへの解答がつくという難度の高さはそうとうなものでしょう。ああ、壊れてしまうか、また、などと嘆息しました。
・・・それで思い出したのですけれど、4章小説第六作『ラブレター』の起の章に、この謎提示の形が似ていますね。ほとんど同様に、私は壊れると信じたんですが、あちらでは見事にお話が決まりました。が、あれほどの名作はそうそう生まれるものではない、と強く感じますし。
きついよう、HARUさん、と心で呼びかけました。
上塗りで、私には懸念がありまして、私が最後に結の章を担当してからもう一年近く経っていました。いくらなんでもそろそろ指名が来るだろうなあ、なんとなく順番の巡りもそれらしくなってきたし、と計算していたのです。
この難問に答える人になる可能性があまりに高くて、もう少しお手柔らかにお願いしたかった、と、涙でした。
というふうなのが、この起の章読了後の、私でしたね。
承の章
人変わりをしたような、しっかり地に足の着いた文章と驚きました。
長文ではあるのですが、骨格、筋肉、脂肪と生き生き連携しているとも言えて、とくに後半、冗漫には流れていない。共鳴までします。
サブキャラとして、洋介、ニャー子、電話の男が登場しますが、中でもニャー子はヒットだったのではと思いますよ。
ですが、まあ、起の章の仕掛けがきつすぎるんですよね、謎が謎を繁らせて、という感じで、ますます怖ろしい構造を提示されました (笑)
承で、お話の種明かしをしてしまうのは早すぎるでしょうから、決してまちがった姿勢ではないと思うんですが、後ろのほうの章の担当者は、つらいですよう、これは・・
4章小説の宿命なんでしょうかね・・
数千万円の価値のある「古汚い段ボール箱」ということになってしまいました。
この時点でいくつか私も考えました。
※ 結の章の(箱の正体の)アイデア。
→ 付着している毛から、遺伝子を再生できる。(あんまりきれいな設定ではないが・・)
※ 痴情による恨み
※ 箱の中に毒虫を入れておいたが、逃げた。
※ 箱のお返し。
というメモ(原文のまま)が残っています。
面白くなさそう(笑)
つまり、答えをこじつけることはできるんですけれど、「お話の中に溶けこませて」というところが壁です。
ただし、最後の「箱のお返し」だけは生かせたようです。少し変形で「箱のお代わり」という趣向になりましたが、何らかの形でと心に残っていて実現まで漕ぎ着けられて、これは、会心と自負です。
もう一つ、書き忘れてはならないでしょうが、「箱」と「魔」の相性の良さ、これにいち早く感応された花島さんのセンス、さすがです。
何が出てくるかわからない、得体が知れない、そんなところに類縁があるんでしょうか。
全編の色合いを支配しました。
転の章
一番難しい場所だったことは、間違いないでしょう、ほんと。
たぶん、最後まで書いていいなら、カオスさんもそれほどは悩まれなかったのでは、と推量します。
寸止めのもどかしさ、ですか。
どのような素晴らしいアイデアが生まれても、中途で止めてあとは結の人に察してもらうということになりますから、このテレパスなみの引き継ぎを実現するのは、至難。
・・・・・
うーん。
・・・いかがだったでしょうか。
受けそこなってはいないはずですが、言いなりにもなっていないつもりなんですが。
てのひらで遊ばされたのか、という、一抹の不安はありますけれど・・
私が受け取ったカオスさんからのテレパシーは、対決、抗争、姫の奪還、・・という表の筋が一つ。転は、戦場へのいざないがしだいに高まっていく章とも言えるでしょう。
裏の筋は、修司の心のありようですよね。
闇からの電話男の威圧、恵子さんの謎の意図、ニャー子の妖気などもろもろに翻弄される青年。この、いづらさ、きもちわるさ、じれったさに始末をつけてくれという彼の奥底からの叫び、ですか。
二つをないまぜにして感じたのは、戦士としての修司の自主性の無さです。操られている傀儡の姿です。転の彼は。あるいは、起、承、転と淵にはまっていった彼は。
転、最終行、「俺はそのまま立ちつくしていた。」は、たいへんに示唆的でした。
どっちに行くんだ、と、問われたように感じました。
結の章
早朝、カオスさんの転の章を読み終えた時点では、こりゃ無理だよう、って途方に暮れました。
謎の核心は恵子さんかあ・・ 少なくともこれだけは解決しなければなあ・・
数日かかるだろうけどとりあえずの手掛かりでも欲しいところ、どうしようかと想い巡らしつつ入眠、数時間後目覚めてからも布団で転がりながら続きをもやもや思案していましたが、そのうちに、見通しがひらけてきました。糸口がいくつか浮かんだあとは、思いの外、するするとほぐれて抜け出しました。よしっ、と起床して、パソコンを起動。
こういう一見好調のときは見落としがありがち、一日置いてからアップしようと理性は言うのですが、万一にでも誰かに先を越されるのがいやで当日アップ、でした(爆)
承、転と、魔に蚕食されていく修司。
このままの流れですと収拾がつかなくなるか、相当な長文を覚悟というところです。
抗争場面は、書き込めば書き込むほど嘘っぽくなる気もして、気が進まなかったというのもあります。(アクションは苦手だし ^^;)
結の章は、真の反転攻勢ということにしました。修司が自分に目覚め始める、ということです。
闇の男たちにしろ、恵子さんにしろ、修司をあなどっている。ときには便利な道具程度にみなしていたのでは、と思います。
「俺は、俺だ。したいようにするし、したくないことはしない」
・・・たった、それだけのことですけれどね、命の輝きは段違いでは、と信じます。
付け足します。
描写の濃淡、ということですけど、承、転と濃いめに書き込んでくださったので、すでに十分過ぎるくらい「残像圧」がある、と感じました。(残像圧 ← 今、言葉を作りました ^^)
そこで、結で思いっきり省いても、おおよそのところは想像で埋まるだろうと考えて、楽をさせていただきました。一般的に言っても、過剰に飾るよりはむしろ鮮やかな効果を生む場合が多いのではないでしょうか。
・・ま、要は、私のいつもの癖ですね。飾らないで言えば (笑)