小説工房談話室 ■■■■■■
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 『まめ』 転の章
2000/09/24 和香 Home Page ■■■■■■ JustNet TOP

 

お題  れいむ

     まめ



起の章  NONTAN

 夕刻8時。
 「次の予定は、、と。」
手帳にはスケジュールや携帯番号がびっしりと書き込まれている。
おもむろに携帯を取り出すと、電話を始めた。
相手先は今度落とす予定の真由子。銀行の窓口嬢だがこれまたかわいい。
。。。。。しかし、留守電になってしまった。
「どうも!佐藤です!ご連絡があるのでお電話下さい」
と留守電に入れ、電話を切る。
別に連絡なんてない。連絡する事があると言えば、食事の約束を連絡するくらいである。こじつけだが。

手帳を見直すと、明日の予定には
「裕子誕生日」とある。さっそく訪問することとする。
裕子の誕生日まであと3時間。今から出れば、菊名の裕子の家には丁度いい。
仕事は、「休まず、遅れず、働かず」であるが、この男、こと女性に関しては
非常によく動く。「まめ」である。

とりあえず、駅に向かって歩き出す。




承の章  HARU

「・・・もしもし、祐子?・・・ごめんごめん、寝てた?」
菊名駅前。
ちょっと早くつきすぎたため喫茶店で時間を潰し、日付が変わると同時に電話をかけた。
まめな上にシチュエーションにまでこだわる男であった。
「お誕生日おめでとう!・・・えっ、いまちょうど駅前・・・今から行っても良いの?」
(よしよし、シナリオ通りに進んでいるぞ♪)
「んじゃ、また後で。・・・よし、これで今夜は・・・あっ!」
すっかり忘れていたプレゼント。これがなければ下心見え見えになってしまう・・・。
ふと窓の外を見るとそこには・・・花屋さん!
営業時間は・・・よし、まだ間に合う。
ありきたりだけどバラでも買っていくことにした。

「ありがとうございます。」
よし、これでプレゼントもOK。今から急いで行けば・・・。
「あら・・・佐藤さん?」
「ん?・・・げっ!」
そこには飲み会の帰りらく、うっすらと頬を赤らめた銀行窓口嬢の真由子さんの姿が・・・。
ここにいるということは・・・ひょっとしてうちがこの近く!?
・・・もっとちゃんと下調べしておくんだった!!
「佐藤さん、こんなところで何してるの?・・・あら、その手に持っているのは・・・バラ?」
し、しまった・・・こんな状況見られたら・・・もう無理かな。
「そういえば留守電に連絡って・・・。嬉しい!!私の誕生日知ってたの!?」
「へっ?・・・た、誕生日?・・・真由子さんも?」
「そうよ、よく知ってたわね、ありがとう!!」
そういって真由子さんは持っていたバラを奪い取ってしまった!!
「う〜ん、良い香り♪やっぱり酔い覚ましにはバラよね。」
そういうものなのか?
「お礼に・・・うちでお茶でも飲んでく?」
う〜ん、酔った真由子さんってとってもチャーミング♪
でも・・・こういう場合どうすればいいんだ?




転の章  和香

「どうしたの、真由子。え? お客さん」
 はいって、どうぞ、遠慮しないでください。
「あ、お母さん、起きててくれたの。 ・・ただいまあ」
「誰なんです、外の人。お誕生会とか言ってたけど、二人だけだったの」
「違うよう、聞いてよう、お母さん。みんながしてくれたお誕生会はそれはそれで済んだんだけど、駅まで帰ってきてびっくり」
 ああん、帰ったらだめです。
「ちょっと待ってて、引っぱってくるから。この花束、持っててよ」


「あの、 ・・初めまして。夜分、恐れ入ります。佐藤と申します」
「こちらこそ。なにか、娘がお世話になりましたようで・・」
「だから。聞いて。佐藤さんたら、何時間も、何時間もよ、駅で待っててくれたの。この花束もって」
「いえ、まあ、その、 ・・えへへ。 ・・ご自宅まではわからなかったものですから」
「・・そうなんですか、それはそれは。 ・・こんな出来損ないの娘なのに、まあ、もうほんとに・・」
「挨拶はもういいから、とにかく、座って、ねえ」


 あら、お父さん、起きちゃったの。
 大騒ぎじゃないか。え、一人娘がたぶらかされそうだってのに寝てられるか。
「・・あ、やあ、どうもどうも。ばか娘の父親です」
「あ、申し訳ありません。私は・・」
「佐藤君だろ。聞こえてたよ。済まなかったね、こんな遅くに」
「とんでもありません」
「うーん、見事なバラだな。高かっただろう」
「それほどでも」
「そうか。 ・・ま、なんだな、もう遅いし。 ・・今日のところは帰りなさい」
「はっ、 ・・」
「お父さん、いやあ。まだ終電あるよう。せっかくお祝いに来てくれたのに」
「そうですよ、もう、この人ったら無粋で」
「ここの主人は、わたしだ。いうことを聞きなさい」
「はい、帰ります」
「なんで、お客さまに。こっちがお願いしたんだよ。 ・・ごめんね、 ・・許して、佐藤さん」
「すいません。ほんと、もう」
「悪いな、佐藤君。後日あらためて、飲もう。な」
 おい、なんか持たせてやれ。
 なんかって、なんですか。
 なんか、あるだろう、気がきかんなあ。
 それなら、あんな追い出すような真似しなくても・・
「待ってください。佐藤さん。 ・・すいませんね、どうしようもない頑固者で。 ・・ほんとのところ、妬いてるだけなんですよ。真由子の誕生日にプレゼント渡したくて、寝られなかったみたいなんです。バカな人ですよ、ほんと。 ・・これ、到来物ですけど、お口に合うかどうか・・」
 真由子、なに泣いてるんだ。
 バカ。お父さんのバカ。
 昼間にまた来てくれりゃ、ちゃんと応対するって言っただろ。
 一生お嫁に行けなけりゃ、 ・・うれしいんですか。
 そんなことはないって、ええい、 ・・おい、お母さん、ちょっと、おい・・
 ・・・・・


「もう、酔ってるね。だからかい」
「・・へへ、ちがうよ。少しおどかしておいただけ」
「しょうがないんだから。お父さん、気に病むクチだよ」
「いいのよ、あのくらい」
「それにしても、はあーあ、男を連れてくる歳になってたか。 ・・ほら、幼なじみのだれだっけ、あの子、そろそろ結婚だっていってたじゃない。あんたより一日遅く生まれた・・」
「そういえばね。でも、ゆっこはふらふらしてるから。 ・・なんだか遊び人に引っかかってるだけみたいよ」
「佐藤さんみたいな誠実な人がいいね、わたしゃ」
「やだあ、お母さんたらあ」


 ・・・・・
 ふうー、綱渡りかよ。
 バラが塩辛の手みやげになっちゃったか。
 ・・うぷぷ、好印象かも。
 結果オーライだな。
 よっし、気合い入れるぞー

 バシッ バシッ

 夜は、これからだぜえ。









 

 
 あやあ、いつのまにか長くなってしまいました。
 実地で、色々と、取材をしていました。
 ・・というのはウソ。
 オリンピックで浮き沈みの毎日〜 (^^;

 うむ。
 菊名でバラでしたか。
 菊ってわけにもいかないしね (笑)





 それでは、結の章、大方の予想通りと思います、

 花島賢一さん

 を指名いたします。
 どうぞよろしく!





 ・・いよいよ、女子マラソン、ふう・・