お題 和香
手びき起の章 れいむ
『こっちへいらっしゃい、まさみ。』
耳に染みつく残響。掌に焼きつけられた感触。
転びそうになるのを必死に駆ける。もうすぐだ。
けれど、目の前に迫ったそのとき、がくんと視界が揺れる。
『ほら、危ないじゃない。』
受け止められたときに、見あげたその顔。
今はもう昔。
今見下ろすその顔は白く化粧され、花に囲まれ、白い木箱に詰め込まれた。
これから灰になる。
これからどうしよう。
目の前には、あの残響と感触と温もりの本棚が、圧倒的なまでに視界を覆う。
何の考えもなく手に取った本は『スターへの手びき』だった。
ちらりと横へ目をやると、『サバイバルの手びき』、その隣は『猫の飼育の手びき』。
『正しい呼吸法による脳の活性化の手びき』『太陽を凝視する手びき』なんてのまである。
取った本を元に戻すと、隣は『殺人の手びき』に変わっていた。
さて、どれにしようか。
承の章 和香
お父さんも私も働いてるのよ。
ひまなのはあんただけ。
家事とか祝儀不祝儀とか少しは分担してくれてもばちは当たらないと思うんだけど。
マンガ見たりゲーム遊んだりだけで一生暮らせたら、どんなに楽しいでしょうね。
それでも結局、そういうのは、遊ばれてるだけ。
あんたは何も残せないんだよ。
おまえの言いたいことも分かる。
清美はお母さんの代わりをしようと、一生懸命だ。
でも、今のままじゃつぶれる・・
そうだ、おまえ。
金は出すから、一二年、外国にでも行ってみないか。
気ままに見て回れるのは若いうちだけだぞ。
転の章には、カルマさん を指名します。
どうぞよろしくお願いいたします。