膵臓癌

膵臓癌は食道癌と並んで予後の悪い癌です。膵臓癌は全癌死亡数の約6.5%を占めています。肺癌、胃癌、大腸癌、肝臓癌に次いで癌死因の第5位です。膵臓は胃の裏側にある約15cm程の細長い扁平な臓器でその右側を十二指腸が取り囲むようにあります。膵臓の右側は厚く約3cmの部分は頭部と呼ばれ、左側に行くにしたがって体部、尾部という呼び方をします。膵臓は内分泌機能と外分泌機能を持っています。内分泌とは血糖をコントロールするインスリン、グルカゴンなどのホルモンを産生するもので外分泌はアミラーゼ、リパーゼ、プロテアーゼなどを十二指腸に分泌するものです。膵臓癌はその位置関係から早期発見が非常に難しなります。上腹部痛、背部痛、上腹部の不快感を訴える人は胃が悪いと思って胃薬を飲んでその場限りの対処をしている人がいますが、また検査をするといっても胃透視(バリウム検査)や胃内視鏡のみを行い膵臓癌を見落とすことが多いのですが当院ではほとんどの人に腹部エコー検査を施行しています。しかしエコーをしても膵臓癌を発見できないこともあります。膵臓癌も早期発見できれば根治することが可能ですが早期では目立った症状はありませんので早期に発見することは非常に難しいと言えるでしょう。上腹部の不快感、食欲低下、黄疸、下痢、原因不明の体重減少、糖尿病と診断されたときなどには膵臓癌も念頭に置いておかなければなりません。膵頭部癌では主膵管や胆管が近くにあり、これらが狭窄したり閉塞したりすることによって症状が出やすく早期に見つかることがあります。膵体部癌や膵尾部癌の場合は主膵管が閉塞したとしても膵炎を起こす範囲が少なく胆管から膵臓癌はいくつかの種類がありますが、病期の決め方には日本膵臓学会の膵癌取り扱い規約と米国やEU諸国を中心に国際的に使われているUICC分類があります。これらは腹部エコー、CT、MRI、シンチといった画像診断でなされます。
日本膵臓学会膵癌取り扱い規約
 Ⅰ期--膵臓癌の大きさが2cm以下で 膵臓の内部に限局しておりリンパ節転移がない。
 Ⅱ期--大きさが2cm以下で膵臓の内部に限局しているが第1群のリンパ節転移がある。または大     きさが2cm以上あるが癌は膵臓の内部のとどまっており、リンパ節転移がない。
 Ⅲ期--大きさが2cm以下で膵臓の内部に限局しているが第2群のリンパ節転移がある。または大きさが2cm以上あるが癌は膵臓の内部にとどまっており第1群のリンパ節転移がある。または、癌は膵臓の外へ少し出ているがリンパ節転移はないか第1群までに限られている。
Ⅳa期-膵癌は膵臓の外へ少し出ており第2群のリンパ節転移がある。または癌が膵臓周囲の血管に及んでいるがリンパ節転移はないか第1群にまでに限られている。
 Ⅳb期-癌が膵臓周囲の血管に及んでおり第2群のリンパ節転移がある。または第3群のリンパ節転移があるか、離れた臓器に転移がある。
UICC分類
 Ⅰ期--膵臓癌が膵臓の内部にとどまっておりリンパ節転移はない。
 Ⅱ期--膵臓癌は膵臓の周りに及んでいるが膵臓周囲の重要な血管には及ばずリンパ節転移はないか第1群までに限られている。
 Ⅲ期--癌が膵臓周囲の重要な血管に及んでいるが離れた臓器には転移がない。
 Ⅳ期--膵臓から離れたところに転移がある。
 膵臓癌の治療法としては外科手術、放射線治療、化学療法の3つがありますが手術では膵頭部に癌がある場合は膵臓頭部から体部の一部にかけて十二指腸、小腸の一部、胆嚢、胆管及び場合により胃の一部を切除する膵頭十二指腸切除術を行います。最近では胃を温存する全胃幽門輪温存膵頭十二指腸切除術を行うようになっています。膵尾部に癌がある場合は膵臓の体部、尾部と脾臓を摘出する膵体尾部切除術を行います。また十二指腸が膵頭部癌で閉塞した場合は胃と空腸を吻合して食事が通るようにします。もちろん根治術ではありません。また化学療法、放射線療法も行われますがその成績は満足できるものではありません。Ⅳ期の癌では疼痛のコントロールを行う治療だけになることもあります。
も離れているために症状が出にくく発見が遅れることがあります。また超音波検査でも観察が充分に出来ないところですのでどうしても早期癌は見つかりにくいのです。進行すると腹痛や頑固な背部痛が出現し血中膵酵素はむしろ低下します。主膵管の閉塞は膵外分泌機能を低下させ脂肪の吸収を障害して下痢、腹痛、体重減少などが生じるのです。膵癌の診断には超音波検査が最も用いられますが小さな早期癌の診断は困難です。血液検査では膵炎は診断できますが、膵癌はかなり進行したものでないと分かりません。CTでは低濃度で不正形の腫瘍が描出されますが造影検査をした法がはっきり分かります。MRIではCTと同様の所見が診られますがMRCPといわれる膵管や胆管を描出する方法で膵管の狭窄や途絶がみられます。最近では胃内視鏡の先端に超音波診断装置をつけた超音波なし今日(EUS))が診断能力を高めています。ERCP(内視鏡的逆行性胆管膵造影endoscopic retrograde cholangio-pancratography)は内視鏡で膵乳頭(ファーたー乳頭)から胆管と膵管を造営する方法ですが膵炎をきたすことがあります。