胃ポリープ

当院の患者さんのほとんどは1年に1回は胃内視鏡検査を受けておられますので、なかにはポリープがあるといわれた人も多いと思います。ポリープというのは細胞の異常増殖によってできた突起物のことで、きのこ状の有茎性・亜茎性のもの、根もとが広い無茎性のものがあります。これらが胃の粘膜の最も上の層(上皮)にできたものを胃ポリープといいます。ポリープは自覚症状はほとんどありません。しかし、大きくなると出血したり、食べ物の通過を妨げるため吐き気や痛みを伴うこともあります。ポリープの語源は、ギリシア語のpolupous(“多くの足”の意)に由来します。臨床の現場では、基本的に良性の隆起性病変を指す肉眼的な名称として使われています。日本消化器病学会は胃ポリープを、「胃粘膜上皮(いねんまくじょうひ)の異常増殖に基づく胃内腔に突出した病変」と定義しています。胃ポリープで、臨床上多く見かけるものは、腺腫性ポリープ、過形成性ポリープ、胃底腺ポリープの3つです。
 腺腫性ポリープは良悪性境界病変に相当し、一般には胃腺腫(いせんしゅ)と呼ばれます。高齢の男性に多く、肉眼的には扁平な花壇状、菊花状隆起で色調は褪色で蒼白にみえます。前がん病変と考えられており、2cm以上になると約半数にがんの合併があります。男性に多く男女比は4:1です。
高齢者の萎縮性粘膜にみられ、形はドーム型、平たいもの、花壇状など様々です。灰白色で整った凹凸があります。背景粘膜に強い萎縮がみられることから腸上皮化生粘膜(胃の粘膜が腸の粘膜様に性質が変化すること)から発生すると考えられていますが、詳細な病因は不明です。
 過形成性ポリープはやや女性に多く、大きさや形態は限局性の発赤した小隆起から、茎(くき)をもつ大きなものまでさまざまです。びらんなどで粘膜の欠損が起きると、粘膜の上皮がその欠損を過剰に修復しすぎて、ポリープができると考えられています。ヘリコバクター・ピロリという細菌の感染が多いことから、胃粘膜の萎縮と腸上皮化生粘膜が本ポリープの好発する胃粘膜環境であるとも考えられています。慢性胃炎をもつ人に多くみられます。30歳以上で年代と共に増加する傾向にあり、腸上皮化生(ちょうじょうひかせい)(胃がんと非常に関連のある組織)との関連はあまりなく、がん化することはまれです。高さが高くなり、大きさが増したりして進行していきます。普通、直径2~3センチどまりです。非常に赤く、表面にイチゴのような顆粒状の凹凸があります。出血やびらんも多くみうけられます
 胃底腺ポリープは、右下写真のように米粒大の正色調の小さな無茎(むけい)ないし亜有茎性(あゆうけいせい)の隆起性病変で数個以上発生します。中年の女性によく起こり、がん化せず、しばしば自然に消失します。背景粘膜には萎縮がなく、酸の分泌が盛んです。ヘリコバクター・ピロリの関与は否定的です。数ミリ程度の半球状のポリープで、表面は滑らかで、特に色の変化はなく、多発します。