
研究開発者段階でのMOT:Pjにおける”対策”を例に
新製品・新技術の開発は通常プロジェクト(Pj)体制で行われることが通常である。Pj体制で重要なことは、
@明確な目標(○○の製品化・事業化、○○製造ラインの立ち上げ等)をもち、
A目標とする完成の時期・期限を決め、そして
B分担のはっきりしたメンバーの選任されていることである。
最近では、所謂”産学官連携”共同開発の名の下に、大学の叡智・眠れる技術を商業ベースに載せるべく補助金が提供され大学と(複数の)企業との共同研究もPj体制で行われることが多い。Pjにおいては、上記3点を確認しながら進めるために、Pj会議と称して進行状況をメンバー相互で確認しあう、言い換えればリーダーによるフォーローのための会議がもたれる事が普通である。これは、決して成果発表の場でも勉強の場でもないのだが産学連携の共同研究では往々にしてこの形にしがちである。フォーロー会議において重要なことは、計画通りに進行しているかどうかの相互確認であり、若し進行していないのなら何らかの対策をとることが求められる。
学究派の先生方はこのフォーローということに嫌悪感をもたれる事が多い。サイエンス(科学)の取り組みと違いエンジニアリング(技術)の取り組みでは予定された結果を出すことが望まれる。別の言い方をすれば、科学の研究方向は発散的であるが、技術の(研究)開発方向は収束的であらねばならない。そのためにPj体制を採用する訳である。
問題は対策である。開発技術者は、一般的にこの分野の経験豊かな専門家であるために、あっという間に数多くの対策が頭に浮かぶのが普通である。そのために直感的に最善と思われる対策を取りがちだが、ここが成否の分かれ目になることが多い。思い浮かんだ対策をすぐに採用するのではなく、ここでもう一度、じっくり対策を講じなければならない現実のもの、データ等を吟味することが重要である。私は会議等の席では、”技術者は頭が良いのですぐに対策が浮かぶが、本当かどうかもう一度データや実験過程を見直してから対策を練るように”と話をすることにしている。
更に、”原点”を設定できていることの重要性である。”原点”とは、再現性の観点から、良い結果か得られているかどうかは別にして、”同じ条件で行えば同じ結果が得られる”という点である。この点を持っていないと、対策の実行により隘路に進んでいくことになりかねない。若し対策が不調に終わったなら一度原点に戻って、別新たな対策を講じるべきと考えている。或いは、対策により前回より不満ながらも改善が見られたのならそこを新たな原点と取ればよい。思いつきの対策、対策の連続によって場合によってはドンドン悪い方向に行行ってしまうこともある。
要は、”頭の中だけでの思いつきで研究開発を進めない”ということであり、研究開発者レベルでのMOTを各自持って置くことが重要と思う。