
「専門家」寄集めプロジェクトの成否の鍵
:四人(組)以上でも文殊の知恵にするには?
「三人寄れば文殊の知恵」とは、”特別に頭の良い者でなくても三人集まって相談すれば何か良い知恵が浮かぶものだ”という意味。三人程度なら考え方の収束も比較的容易。四人以上だとどうだろう。自分は”頭が良いと思っている”人が集まった場合はどうだろう。
新製品・新技術開発の手法としての「プロジェクト(Pj)」は、専門性の異なる人間を集め、ブレークスルーを目指すものである。産学官連携による技術・製品の共同開発で、大学の先生方が中心の「Pj」では、「三人寄れば---」の諺が発揮できないことが多い。私は、色んな経緯から、このようなPjのリーダーとして、場合によってはメンバーとして参加した経験がある。大体において半分以上は成功とは言い難いPjである。不成功のPj、納得のいかないPjを振り返ると、共通の課題が見られる。勿論元々の技術課題の筋の悪さに起因することも有るが、技術以外の問題でPjの進行が旨くいかないことのほうが多かったように思える。そこで、経験をもとにPj成功の鍵を考えてみる。
誤解を恐れずに言えば、所謂専門家といわれている人、特に学究的な先生方は、
専門分野の見識が深いと思っている(*1)。その専門性も学問領域に留まるのだが、応用や製品化に関することまでも専門家だと誤解していることが多く、一言も二言も言いたがる傾向(所謂先生の習性)。
「お山の大将」の傾向が強く、人の下に付くという経験がないし、あったとしても好まない傾向。
があるように見える。そのためか議論は発散に発散と中々収束しない。「研究」では発散(拡がり)が必要だが、Pjでの「開発」では設定した期限内に開発の成功・不成功を見極めることが必須。そのため、結果的には時間切れで中途半端な妥協で収束することが多い。これでは、Pjで期待以上の成果を生み出すのは不可能。
では、そのようなPjを成功にもっていくにはどうすればよいか? まず、
メンバー各自が、一つの方向を共通認識としてかつ実感として持っている。(集まりの趣旨や結論の必要性・早急性等)
リーダーとメンバー間に有る程度の序列(長幼とか上司部下とかの上位関係)があり、お互い相手の立場を尊重する。
場合には、Pjは、”文殊の知恵”となるようである。従って、先ず各メンバー(全員でなくとも少なくとも20%以上)がPjの趣旨・目的・目標・期限などを共通認識として持つのに時間をかける。
議論やPjに参加するときのメンバーの心構えとしては、
Pjの趣旨等の真意を理解したうえでの自由闊達さが必要。決して自由奔放であってはならない。
自分が常にトップでなりたいと思う人はメンバーとして最初から参加しない。参加するなら、人の下につく事を、上下関係と捉えず、リーダーとメンバーという役割の違いと割切ることが必要。
一方リーダーの心構えとしては、
個々のメンバーの専門性は尊重し夫々の専門性を融合することに意を払い、決して間違った意味でのリーダーシップを発揮使用としないことである。
昨今の産学連携にかかわる補助金によるPj流行の時節柄、リーダーをやること自体が名誉だと勘違いしないこと。成功の主役は、参加メンバーであり、成功は彼らの力量・努力によるもので、リーダーはそれを引出したサポーターであると割切ることも必要。「人生意気に感ず、功名誰か復論ぜん」の態度。「三人寄れば文殊の知恵、四人以上は烏合の衆」とならないように。
と、考えるが中々難しいことだ。
(*1)何故彼らがそう思うようになったのか、そう思わせたのかは面白い問題で別途論じるつもり。