寺社遍歴

第27回 如来坐像の石窟:石窟庵
    (韓国慶州市)  
(2009年2月9日)

 慶州市の東、標高745mのトウガン山(吐含(トハム)山)頂上近くにあるのが石窟庵(世界遺産)。入り口に大きな鐘楼。ここも五色に彩色。この国の釣鐘は、大きく且つ地面すれすれに吊り下げられている。

 再建された石窟の中に「如来坐像」が安置。8世紀新羅の時代に建立。自然に出来た洞窟でなく、花崗岩を組み合わせたドーム上の枠の上に土を盛った構造。仏を囲む花崗岩の壁には、菩薩像や四天王像などの石仏が掘り込まれ、入り口両側に仁王像が彫られている。儒教が浸透するにつれ仏教が忘れられ、20世紀初頭に偶然発見されるまで、誰知ることなく放置されていた。当時鉄道建設に従事していた日本人により間違った形で修復された(花崗岩などを上手に組み合わせ湿気が取れる工夫がされていたのを知らずに壊し、コンクリートで作り直した)。そのため湿気が取れずに、現在ではガラス張りで密閉しエアコンで空調。最初の修復で取り外された石材は途中の参道に展示されていた。
 昔の人の”知恵”を理解したうえで発掘修復しないと取り返しがつかないことになる見本。同じようなことが日本の古墳でも最近あった。直ぐにでも見たい気持ちを抑えて、後世まで貴重な文化財を残すことを考えて慎重の上に慎重が必要。

 仏は約3.5m程の坐像で日本で見る仏と同じ容貌。見る位置から不自然にならないように体の造りを工夫しているらしい(奈良の大仏同様)。鏡の前ではしゃがんだ姿勢で見るのが最適とのこと。
 晴れた日には、境内から遠くに日本海(韓国では東海と呼ぶ)が望めらしいが当日は霞んで見えなかった。
 帰りに駐車場の方向が騒々しいので行ってみると、五色の帯を巻いた民族衣装を着、太鼓で演奏行進する集団が見えた。周りではそれにあわせて踊る人も。当日は旧正月から最初の満月の日で、この国ではお祝いをする(旧正月の満月(陰暦1月15日)をデボルム、お盆の満月(陰暦8月15日)を秋夕(チュソク)と呼び祝うとのこと、中国でも同様らしい)。
 この日の満月を見てお願いをすると、願いごとがかなうといわれているらしく今夜は沢山の人が月見に適した石窟庵に集まるらしい。この日、慶州近くは晴れて非常に綺麗な満月を望むことが出来たので、願いごとのかなう人が沢山いたことだろう。
(2009年2月9日訪問)

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