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「ランダウの生涯:ノーベル賞科学者の知と愛」
(マイヤ・ベサラプ著、金子不二夫訳、東京図書刊、1973年)

著者はランダウの姪。書かれたのはペレストロイカはるか以前の、ランダウ死後3年の1971年。親戚である強みから、瀕死の交通事故から生還したランダウにインタビューをもとに書かれた伝記。
”ランダウ”と聞くと、”ランダウ・リフシッツ”とつながり、共著による「理論物理学教程」が先ず思い浮かぶ。60-70年代に物理を少しでもかじったことのある人なら、この一連の教程シリーズにお世話になったものだ。ランダウは理論物理学者であると同時に、弟子を育てる厳しい教育者でもあった事が、この伝記からよく理解できる。これが教程などを出した所以でもあるようだ。ランダウの行動をノンフィクション的に理解できる。人間的なものは、恋愛の部分のみで、この部分も当たり障りの無い記述になっている。本人へのインタビューがもとになっている点、執筆者が身内である点からいたし方の無いことだろう。9歳で経験したロシア革命、物理学者として世の中に認知されていた30歳で逮捕・投獄された時期の記述などはサラッと流している。人間性が出てくるのはこのような時期であり、この時期の生のランダウを知りたいものだ。
中にメモ書きと、出さずにおいた読者カード゙が、はさまっているのから想像すると、1974年に買って読んでいる様だが記憶には無い。30歳前と60歳を超えた今で感想がどう違うか興味があるが、読者カードには感想は書かれていない。残念なこと。
ネットで調べたら以下の記事(http://home.hiroshima-u.ac.jp/nkaoru/Landau.html)を見つけた。著者も、ペレストロイカのあと逮捕監獄のことをもっと詳しく知りたくて調査した後、1989年に第4版を出版したようだ。日本での翻訳はあるのだろうか。
伝記では、偉人伝になるのはしょうがないとは思うが、読者が知りたいのは偉人としての人間、或いは人間としての偉人。その点、L.インフェルト著「ガロアの生涯」やR.ハイフィールド/P.カーター著「裸のアインシュタイン」は面白かった。