面白いが、正直理解に苦しむことが多い         科学者の書いたフィクション!

「コンタクト」
 (Carl Sagan(カール・セーガン)著、高見浩・池央耿訳、新潮社、1986年)

 26光年離れたヴェガ星から送られてきた信号。それは地球外知的生物からの何らかのメッセージらしい。それを解読し、目的・性能が不明なままマシーンと呼ばれるものを国際協力で作る。完成したマシーンに人類の代表(アメリカ人(主人公、女性科学者)、ロシア人(科学者)、中国人(考古学者)、ナイジェリア人(超統一理論によりノーベル賞を貰った物理学者)そしてインド人の5名)が乗り込む。動かしてみて初めて分ったが、マシーンは、時空のトンネル”ワームホール”を航行する銀河系輸送システムらしい。地球時間で20分、マシーン内時間では約1日の旅行で戻ってきた。見てきたことの証拠は総て電磁誘導により消えていた。そのため、乗組員の経験した事実は信用されず、政治が介入して実験は失敗ということに。この間、小説の主題との関係がいまひとつ掴めないが、主人公の人生における様々な経験・出来事を絡ませて話は展開していく。奇妙な経験を公表できないまま、主人公が求めていた科学的事実は、超越数πの中に見つけることで話は終了。
 人類が将来地球外知的生物と遭遇したときに起こるであろう事態を、時期を近未来の20世紀末に仮定(この小説が構想されたのは1980年ごろ)し、科学技術との関連で、政治・経済・宗教などの人間臭い分野でこんなことが生じるのではという予測をしている。話としては、面白いが、余り律儀に難しく考えると付いていけなくなる。脈絡も、何故何故と深く考えると、単純な自分の頭では理解に苦しむが、展開に引き込まれる。
 それにしても、男性の宇宙科学者である著者が、主人公を女性の宇宙科学者にするなど何事にも大胆な試み。男が読むと違和感は無いが、女性が読むと主人公の心理状態は如何なものであろうかと関係ないことが気になる。

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