放浪中の生活費はどうしたのかな〜!

「放浪の天才数学者エルデシュ」(Paul Hoffman著平石律子訳、草思社、2000年)
 原題「The Man who loved only Numbers]

 分野は違うが日本にも似たような人(山下清画伯)がいたなというのが最初の感想。放浪だけでなく、本人が言い出したかどうかは分らないがエルデシュ数(共著論文を書いた人はエルデシュ数1、その共著者と共著になったことのある人は2等々)と、真偽はわからないが色んなことを軍隊の階級で表現した、旅先で見たことを帰ってから貼り絵にした記憶力(数学者の高い記憶力:N.ウィーナー)等共通点が多いように感じた。数学には、何処か芸術に近いところが有るのだろう。
 エルデシュは非凡の天才で凡人には理解できないところが多い。しかし常識的判断しているところもあり、理解に苦しむ。フェルマーの最終定理を証明したアンドリュー・ワイルズの進め方(隠密裏に証明に取り組んだ)には批判的だった。「定理を解くのがわしでなければ、だれも解かないほうがましだ」とまで言った数学者(R.L.ムーア)がいたように、数学の分野でも先陣争いは熾烈だが、エルデシュにはこの考えは無い様で、”オープンにして証明に取り組めば、もっと早く完成しているはず” と先陣争いよりも理解することに楽しみを見つけているようだ。
 それにしても、生涯1500もの論文を書き、70歳を越えても週に1本の論文を書いたとか、濃いコーヒーや所謂麻薬のベンゼドリンの錠剤を飲みながら毎日20時間近く問題を解き続けたということは驚きだが、これだけの多くの課題・問題を次から次から考え出したということが一番の驚異。
 下世話な凡人として気になるのは、世界中の数学者を訪ねて議論していく放浪中の生活費、旅費などはどのように工面したのだろうか?

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