天才の共通点:「フォン・ノイマンの生涯」から

   「フォン・ノイマンの生涯」 NormanMacrae著、渡辺正・芦田みどり訳
        朝日新聞社刊(朝日選書610)、1998年

 ノイマン型コンピューターの提案者”フォン・ノイマン”(実際に考え出したのは、ジョン・モークリーやジョン・エッカートがEDVAC設計時に発想したものらしく、ノイマンは数学的基礎を与えた)の生涯を史実に忠実に再現。著者マクレイは、1923年生まれのイギリス人エコノミスト誌の記者・副編集長で、日本に関する著書(「驚くべき日本」「日本は昇った」「日本への衝撃」他)があり、日本に詳しいので内部には良く日本を例に引っ張り出している。著者の言によれば、「技術開発には、ノイマンの取った「情報公開⇒自由競争」戦略が一番だが、その手本が日本、日本の経済政策も一流」とのこと。今の状況を見ればほめすぎのようだが。

 ノイマンも所謂早熟の天才の1人で、基本は数学者だが、数学から物理(量子力学の数学的基礎)、シミュレーション等の応用数学、経済学への数学応用と多彩の科学的業績、更にはマンハッタン計画への参加から、晩年は合衆国政府の戦略的顧問的立場までこなした。この状況を、史実や関係者のヒアリングを通してノイマンの素性を紹介している。
 科学の分野での天才といわれる人の人生や性格などの共通点を上げると
母親よりも父親の影響が大きい。
記憶力・集中力が人並み以上
子供の頃から外国語に堪能
そして、女性に対する興味が人並み以上(日本的に言えば助平?)等など。
 因みに、ノイマンも、50歳の分別盛りの頃でも女性の足をじろじろみたとのこと。

 内容的にはノイマン個人の伝記の側面もあるが、19世紀から20世紀の科学技術の発展をノイマンという科学者を通して見つめた歴史書とも読める。特に、第一次世界大戦前夜のブタペストは、経済的発展はヨーロッパで群を抜いており、この時期にブタペストから数多くの天才(殆どユダヤ人だが)が生れたのは驚きだった。例えば、科学技術の領域に限っても、デニス・ガボール(ホログラフィーでノーベル賞)、 テオドール・フォン・カールマーン、マイケル・ポラーニ、レオ・シラード、ユージン・ウィグナー、ジョン(ジョニー)・フォン・ノイマン、エドワード・テーラー
等々。 いずれにしても、面白い伝記。 

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