よもやまmusic

 

このコーナーでは、当ホームページの管理人(せがわ)の趣味による、独断と偏見で選んだ
「おすすめ」の音楽を紹介します。すでに当店の手書き新聞『夢小紋だより」には好評(?)
連載されていますが、今回、一部の方より要望もありましたので、調子にのってweb版も作っ
てみる事にしました。「知っている音楽」「知らない音楽」いろいろ出てくると思いますが、
戯言と思って気楽におつき合いください.(月一回更新予定。 ご意見、ご感想、その他
「こんな音楽しってるか?」などなどメールでも、いただければうれしく思います。)

 

 

  昔から音楽情報=それまで知らなかった音楽や、ミュージシャ
 ンの事等=はラジオで知る事が多いのですが、時折何げにつけ
 ていたラジオから「これは!」と「ピン!」と来て、さらに聞きたく
 なる曲が流れてくる事があります。
 
  最近では「サラ・タバレス」というアフリカ系、ポルトガル国籍
 の女性ミュージシャン。 
  ナベサダこと渡辺貞夫さんの深夜番組(超長寿番組でしょう)
 で紹介されていたのを聞いて「いいなぁ・・これ・・」と思いネット
 で検索してみました。(しかし、便利な時代ですネ・・。)
 
  アフリカ系のリズムを取り入れた軽快なテンポ、伸びのある
 声(ちょっとマイケル・ジャクソンの子供の頃の声にも似ていま
 す。)親しみやすいメロディー。ブラジルの音楽とアフリカの音
 楽と欧米のポピュラーソングがいい具合に溶け込んでいる感
 じ。 どこか、乾いた爽やかな風が、やさしく吹いてくるような音
 楽です。 歌いながらリズミカルにつま弾くガットギターの腕も
 なかなかです(やっぱり、リズム感が違います)。

  現在まで3枚のソロアルバムを発表しているようですが、写
 真のアルバムはリスボンでのライブDVDに、'01年と'06年に
 発表したアルバムがセットになったお買得盤。

  世界には、まだまだ知らないステキな音楽があるんだな・と
 またまた思わされたミュージシャンでもあります。('10、5月7日)

 

 カーネギーホールと言えば、
ニューヨークにある音楽の殿堂。ジャンルを問わず、ミュージシャンの「聖地」
とも言える名ホール。そこでたった1人、ギター1本の弾き語りで熱演し、自ら
設立したレーベルからCDを出しているのが、アニ・ディフランコ。

1970年、ニューヨーク出身の女性ミュージシャン。10代の頃より曲を、作り、
街角やカフェなどで歌い始め、弾き語りスタイルを基本に、時にホーンセク
ションも加えたバンドで演奏したり、社会的メッセージをこめた詩を朗読した
り、意欲的に創作及び表現活動を続けている人です。

 かなり、多作で、また自らがレーベルの主催者であることからも、ほぼ毎年
1枚、’09年時点で20枚のオリジナル・アルバム、そして10枚の「公式海賊盤」
を発表しています。
 カーネギーホールでのライブ盤も「海賊盤」の中の1枚ですが、「アマゾン」等
で入手可能です。
 大歓声の中で始まる歌と演奏は、エネルギーそのもの。 アニ・ディフランコ
と会場の呼吸が一つになって、ライブが展開されていく様子が、現場にいるか
のように収められている名盤です。

 アニは以前、アメリカ「ニューズウィーク」誌が選ぶ『21世アメリカを動かす
100人』にも入るほどの人。 しかしそんなことは、おかまいなしとばかり、常
に等身大で、出産などを経ながらも、真摯に正面を向いて突っ走っている姿
は、とてもカッコよく、つい引き込まれてしまいます。  (’09.2月28日)

 

  シンプルゆえに届く唄、ひびく歌

 田舎暮らしにあこがれ、横浜から岩手の山あいの里の古い民家に移住し、そこ
から全国を歌い歩いているのが「やなぎ」さん。
昨年2月、漏電による火事でその住いが全焼。 幸いにも家族は無事でしたが、
家財道具等はほぼ、すべてが消失。それでも里の人びとの協力や全国の仲間、
ファンの応援を受け、「田舎ぐらし」を続行。事後整理をしながら音楽活動も再開。
新たな仕切り直しから、ついに今年の9月に発表したCDが『青い空からBLUESが
降ってくる』です。
 全曲ギター1本による弾き語り。
 シンプルな基本形。
 変な「ごまかし」は一切きかない生の歌。
 決して新しくはないけれど、きっといつまでも古くならないスタイル。

予算の関係もあったと思われますが、シンプルゆえに逆に、強い説得力をもって
聞くものに響いてきます。
 もともと、ライブなどでも「聞かせる力」を持っている人でしたが、幸か不幸か「火
事」以降、深みが増した感もあります。
 自身4枚目となるこのアルバムは、なにかしら「熱」を帯びています。
9つの歌が、いわゆる流行りや「世間」とは一歩距離を置いたところで淡々と、そし
て熱く歌われています。                           (10月29日)

  ※やなぎHP http://homepage2.nifty.com/m-yanagi/menu.htm

 

 
 星たちが奏でる歌

水面を渡る風。吹かれるままに時は過ぎ、夕暮れに星ひとつ。またひとつ。
いつしか満天に、大小さまざまに輝く星々の歌が、空高く響きわたる・・・
そんなイメージの音楽がフリップ&イーノの名盤「イブニング・スター」に
収められています。(1曲目のウィンド・オン・ウォーターから2曲目、イブ
ニング・スター)

 ブライアン・イーノはあたかも絵を描くように、音に色をつけ音楽をつくる
人。その色彩感豊かな背景にロバート・フリップのまたなんとも艶のある
トーンのギターが、エキゾチックな旋律を夜空の果てまで届くかのように
描き加えていきます・・・。
 
 「イブニング・スター」はもう30年以上も前の作品ですが、作者の二人は
「大御所」となった今も現役感覚ばりばりで新しい音楽を創り続けています。
 
 かたや常に実験的アプローチを音楽に取り入れ続け、世界のポップミュ
ージックに多大な影響を与えているアーティスト。
 かたやプログレッシブ・ロックの盟主「キングクリムゾン」のリーダーに
して、自らのギターの世界を極め続けてやまないミュージシャン。
 
 相反するようで、共通点もある二人が結びついたのは、必然的とも言え
ますが、何年かごとに共同作業するたびに、お互いのアイデアを融合させ
かつてなかったような、独特の音楽を提示してくれます。
 類い稀な美しさを持った曲もあれば、寂莫としたイメージを抱かせるもの
もあったり、常に同じところには踏みとどまらないで、より深く、より多彩に
創造性を発揮してくるのでチェックしないわけには行きません。
 中には、アバンギャルドなものもありますが、「イブニング・スター」は聞
きやすく、また何度も聴きたくなる名盤です。      (8月20日)



 

  音楽は誰のもの?
 
  先頃、NHKのシリーズ番組で、あの今は亡き、カナダの天才ピアニスト、
 グレン・グールドの特集をやっておりました。  
  グールドは、バッハやベートーベンなどの名曲を、作者の楽譜の指示を
 無視したテンポ、タッチ、強弱で弾いては、賛否両論を巻き起こし、いわゆ
 る「専門家」や「権威ある方々」から、「異端」、「奇をてらったもの」と評価
 されたりもした「ちょっと変わり者」のピアニスト。
  しかし、一方では「斬新な解釈」とか「大胆な挑戦」などと絶賛され「革新
 的な演奏」は新しいクラシックファンも増やしたようです。
  普段あまりクラシックを聞かず、グールドの演奏からバッハやベートーベ
 ンのピアノ曲に接した私にも、「なんか、凄い説得力のある演奏」に聞こえ
 ました。それで、いい曲だなと思って、他の演奏家の弾いているのも聞いて
 みると、同じ曲なのに、どこか退屈に聞こえてしまうのです・・。
 
  果たして作曲家の残した楽譜を忠実に再現できれば、名演になるのか?
  そもそも曲(音楽)は作曲家個人の発想や感性だけで創られたものか?

  グールドの演奏を聴いていると、ふとそんなことも考えてしまいます。
  改めてグールドの演奏の映像やエピソードなどを見たり聞いたりするに
 つけ、グールドがとても深い部分で音楽とつながろうと、アプローチしてい
 た人に思えました。グールド全部が音楽を奏でる器になっているような、
 そして「記された音符」や「著作された曲」を足がかりに、楽聖たちが戯れ
 た「音楽の海」に入って行こうとしているかのようです。
  グールドの演奏には、いわゆる「音楽のマジック」を感じてしまいます。
 右のCDは最晩年に録音されたバッハの「ゴールドベルグ変奏曲」。はから
 ずも大センセーショナルを起こしたデビュー盤と同じ楽曲でした。(名盤!)
                                       (6月27日)

 

 5月のさわやかな風のような音楽に、2本のギターを中心にした
ユニット、「アコースティック・アルケミー」の『キャラバン・オブ・ドリーム』
という曲があります。乾いた明るい音のアコースティック・ギターに、やわ
らかい音色のガット・ギターがからみ、かろやかなテンポながらも、どこか
メランコリックな旋律が奏でられるこの曲。 『キャラバン・オブ・ドリーム』
(隊商の夢)という題名どおり、風に運ばれ、どこか遠くの異国を夢見たり
するBGMなどにも良いかも知れません。
また、ハードな曲、重厚な曲を聴いた後でこの曲が聞こえてくると、あたか
も爽やかな風が吹きぬけていくような錯覚にとらわれます。
 「アコースティック・アルケミー」は'80年代後半jから活動を続けるイギリ
スのバンド/ユニット。イギリス版「ゴンチチ」と言ったら語弊もありますが、
時代の流行にとらわれない生ギター2本を核とする職人的アコースティック
サウンドで、独自の評価を得ていたようです。
 が、'98年に中心メンバーが他界。以後、バンド形態で、よりフュージョン
色を強めた音楽を演奏するようになりますが、変わらず「わが道を行かん」
とする姿勢で、活動を続けているようです。

『キャラバン・オブ・ドリーム』は'90年発表のアルバム「リフェレンス・ポイ
ント」または、彼らのベスト盤に収録されています。      (5月21日)
 

 

ということで、今回は牧歌的な雰囲気のするCDを紹介します。
ロジャー・イーノとケイト・セント・ジョンという男女2人組ユニットの
「ファミリアー」というアルバム。
 音楽療法師の資格も持つR・イーノは、かのブライアン・イーノの
実弟。兄が、音を素材として加工し、新たな色〈音)を創り、絵画の
ように音楽を「描いて」いくのに対して、弟の方は、すでにある音を
よりきれいに、そして内面まで届くようなメロディーにする事に感心
があるようです。
 ケイト・セント・ジョンは、ポピュラー・ミュージック界では珍しい
オーボエ奏者。「ドリーム・アカデミー」のメンバーだったり、ヴァン
モリソンのバック・ミュージシャンだったり、売れっ子で多様な音楽
性の持ち主ですが、その歌声も美しく、なかなかなもの。
 
 「ファミリアー」に収められた楽曲は、ピアノやバイオリン、チェロ、
ギター、クラリネットなどアコースティックな楽器に、艶やかな音色
に処理されたエレキギターやシンセサイザーがかぶさり、聴いてい
ると、どこか田園風景や、朝もや、雨、虹・・などといった景色が目
に浮かんでくるような、印象的なものばかり。
 日々の喧騒から離れて、ゆったりとやさしい音に浸りたい人には
かなりオススメの1枚です。                (4月18日)

 

 知る人ぞ知る、と言っていいと思いますが、島根県で普段は
OLをしながら音楽活動を続けている浜田真理子というアーティストが
います。テレビやラジオにはほとんど出ることもないのですが、その
評判は、くちコミで次第に広がり、今や全国各地にファンがいます。
 滅多にライヴも行なわないようですが、年に数回、東京や横浜、他
主要都市での公演は満杯になってしまうという実力の持ち主です。
 ピアノの弾き語りが、基本スタイルのようですが、その歌を聴いた人
の心には多分「何か」が残ります。肩の力が抜けた、力みのない自然
な歌い方で、丁度ものすごく上手な「鼻歌」か「子守唄」のようでもある
のですが、強い説得力もあって、ついつい聴き込んでしまいます。
 自作自演の歌は、なんともほのぼのしたようなものもあれば、ちょっ
と怖くなってしまうような深い内容のものもあり、女性の心理をついた
歌詞からは、今までの紆余曲折も垣間見る事ができます。
 オリジナル曲の他に、忘れてしまいがちな往年の名曲も歌っていて、
「そうそう、こんな曲もあったよな」というような歌を、見事に自分の色
で歌いあげています。
 いわゆる「音楽産業」の「メインストリーム」からは大きくはずれてしま
っているアーティストではありますが、それだからこそ豊かな音楽性を
失うことなく、誠実に音楽に向き合っている「証し」を聴く事ができます。
 アルバムは地方レーベルから数枚、出ています。
 (左のジャケットは、2006年に発表したCD「夜も昼も」) 〈3月15日)

 

 「いやし系」と言えば・・
今や「またか」と思ってしまうほど使いまわされた感もある「いやし」
というレッテルがはられた音楽。その多くは薄っぺらいムードBGM
みたいなもので、場合によっては「いやされる」どころか「いらいら」
してしまう事もままあります。
 もちろん、個々の好みもありますが「いやしの音楽」というのは、
作ろうと思って作れるものではなく、結果的に「いやし」の効果も
もたらしてくれるものだと思うのですが・・。
 今回紹介する「えま&慧奏」の『あめつちのうた』は、いわゆる「い
やし系」というジャンルからみると異色的な作品になると思います。
 「相反するもの、特に”生と死”を見つめ、サウンドデザインした」
と言われるこのCDは、軽くバックで聞き流そうと思っても、思わず
聴きこんでしまう深いものがあります。
 数々の民族楽器とピアノ、ギター、シンセサイザー、そしてなんと
も「いい声」の女性ボーカルが奥行きのある音の世界に連れて行
ってくれます。
 「えま&慧奏」は関西を中心にユニークな音楽活動を続けている
男女二人組みユニットですが、”YURAI recors”というレーベルから
アルバムを数枚発表しています。        (1月29日)

 

 30年ぶりに再会
キャロル・キングと言えば、誰もが認める女性シンガーソングライター
の大御所、草分け的な存在。代表作としては『つづれおり』がすぐあげ
られると思いますが、今回紹介する『シンプル・シングス』もなかなか
の名作です。バックバンドによるロックテイストな曲から、しっとりとした
アコースティックな小品、オーケストラの入ったドラマティックな曲まで、
めりはりのきいた構成で、メロディ・メーカーとしての才能が遺憾なく
発揮されています。
 最後の「ワン」という曲は、あの、豪華ミュージシャン達による「ウイ・
アー・ザ・ワールド」が発表される何年も前に、「すべては、ひとつ」と
いう事を、より詩的に歌った、心に残るメロディーの名曲です。
 実はこのアルバムは、高校時代にFMで聞いて以来、ずっとさがして
いたのですが、今年になってやっと見つけました!なんでも世界初CD
化の限定生産ということです。
 以前、このコーナーでP・サイモンの作品を紹介した時も30年ぶりと
書いていました。やはりあの頃(中学〜高校時代)聴いた音楽がずっ
と心に残っているのは、曲のせいなのか、音楽の聴き方なのか、はた
また感性のなせる業なのか・・などと考えるにあたり、たまには真剣に
音楽を聴く時間をつくらなければ・・と思った次第です。 (12月15日)

 

”秋のノスタルジー”を感じる曲を今回は紹介してみます。
デビッド・シルビアンのその名もずばり「ノスタルジア」。
なにか「晩秋の寂寥とした感じ」もする曲ですが、木の葉舞い落ち
る日だまりの中で、もの想いに耽っているような、「それでも、時は
淡々と過ぎ去っていく切なさ・・」と言うか、そんな雰囲気の漂う美し
い曲です。 D・シルビアンが「ジャパン」を解散して、初めて発表し
たアルバム「ブリリアント・ツリー」に収められています。
D・シルビアンは、その美形な顔立ちからアイドル視されたりもして
いましたが、実は結構シリアスで前衛的な面を持つアーティストで
す。その歌も、自らの内面を深く掘り下げていくような静かで、落ち
着いた感じのものが多く、地道に自分のカラーを維持しながら活動
を続けています。  共演するミュージシャンも個性的な人が多く、
このアルバムでもホルガー・シューカイやジョン・ハッセル、坂本
龍一、ケニー・ホィーラーなど個性的な面々が参加し、印象的な音
づくりに貢献しています。                (10月28日)

 

 去る8月11〜12日に花巻の音楽好き人間たちによる、
手弁当な野外音楽祭が炎天下の下、行なわれました。
 その名も「イーハトーブ音楽祭」。(イーハトーブとは宮澤賢治が
つくった言葉で、エスペラント風に理想郷と岩手をかけあわせたと
いう事です。)
 街中を流れる小さな川の遊歩道を利用して、4つのステージが
つくられ、50を超えるバンドやアーティストが次々と様々な演奏を
繰り広げ、たくさんの人を楽しませてくれました。
行政に頼ることなく、手づくりで計画され、多くの試行錯誤もあった
であろう中で、成功にこぎつけた熱意は本当にたいしたものです。
 「イーハトーブ恋歌」はこの音楽祭のためにつくられたイメージ
ソングで、親しみやすいメロディーに、どこか切ない歌詞がマッチ
した軽快な曲。花巻を拠点に活動を続ける
katsu with 2u(カツ・
ウィズ・ツー・ユー)というバンドのオリジナル曲です。作詞作曲は
リーダーの宮澤勝彦さん(宮澤賢治の遠縁にあたる人です)。
この歌を聞くたびに、あのむちゃくちゃ暑かった2日間、熱い演奏、
さまざまな顔とまなざし、ときおり吹きぬけた爽やかな風・・などが、
ふとよみがえるんだろうな、と思います。(来年以降も続いていく
事をいのりつつ・・)                     (8月23日)

 

  マイケル・ヘッジス(1953〜1997)というアーティスト
は、アコースティック・ギター界では時に「彼以前と彼以後」に区分け
されるほど豊かな才能とテクニック、音楽性を兼ね備えた人でした。
 そのまるで1人で弾いてるとは思えないギターの演奏は、後の多く
のミュージシャンに大きな影響を与えましたが、その演奏技術以上
に、まず楽曲が印象的で、素晴らしいものばかりでした。
 '81年発表のデビューアルバム「ブレックファスト・イン・ザ・フィール
ド」も「多重録音なし」とは思えないような曲もありますが、「まず音楽
ありき」で、ただテクニックを曲芸のように展開するギター・ミュージッ
クとは一線を画した、詩情あふれ、拡がりのある音世界がアルバム
を通して表現されています。
 実は、私がこのCDを手にしたのは、比較的最近の事なのですが、
ある音楽喫茶のマスターは発売当時のLPレコードで持っていました。
「さすが!」と言うか「やっぱり・・」と妙に感心したのを覚えています。
 実にさまざまな音楽に造詣の深い、ちょっとはにかんだような優しい
笑顔の人でしたが、先月旅立ってしまいました・・
 いろんな音楽仲間が集まったマスターの店も、今はもうありません。
それでも、音楽は今日もこうして、聴き継がれていきます・・
                                 (7月10日)

 

 新緑の森の中にいるような音楽を今回は紹介
してみます。ウイリアム・アッカーマンの「パスト・ライト」。
自作の曲をアコースティック・ギター1本で叙情的に表現
していくのがW・アッカーマンの基本的なスタイルですが、
このアルバムではピアノやバイオリン、チェロ、オーボエ
などが加わり、より艶のある、深い味わいを出しています。
 ちょうど深い森の中を、緑の風が吹き抜けて行くように、
ゆったりとした静かな響きが、静寂をはらんで流れていき
ます。
 '83年発表ですから、すでに25年ほど前の作品なのに、
みずみずしさが失われていないのは、アコースティック主体
の自然な音作りをしているからでしょうか?
 W・アッカーマンは、もともとは建築会社をおこした、言っ
てみるなら大工さんだったようですが、「ウィンダム・ヒル」
というレーベルを創り、多くのミュージシャンの印象的な作
品を、数多く世に送り出しています。    (5月23日)

 

 「私の(あなたの)名盤・珍盤・奇盤」と題して、
 参加者がそれぞれ、おすすめの曲を持ち寄って披露するという
「お楽しみイベント」を3月に試みてみました。
 特にジャンルを限定した訳ではなかったので、ロックからクラシ
ック、はたまた懐かしのアイドル歌謡まで、実にたくさんの曲をか
けまくり、盛り上がったのですが、その時、「受け」がよかったもの
の中から私が用意していったものを1つ紹介してみます。
 ベテラン女性ソウルシンガー、グラディス・ナイトのライヴ録音、
「エンド・オブ・ザ・ロード・メドレー」。ボーイズ・U・メンの名曲を
含むソウルのスタンダード、3曲のカヴァー・メドレーなのですが、
その雰囲気、臨場感、迫力、曲の良さ、歌のうまさ(というか、凄さ)
が有無を言わさずストレートに伝わってきます。 
 原曲のオリジナルバージョンも、もちろん良いのですが、ここでは
それにも増してグラディス・ナイトによって、熱い息吹と共に”ソウル”
をこめられてより「確固たるもの」となっているように思われます。
 まさに「うた」の持つ「ちから」を感じる名演(唱)です。
  ('94年発表の「ジャスト・フォー・ユー」に収録)  〈4月13日)

 

 植木鉢の音楽

 大小さまざまな大きさの植木鉢を楽器にして、心地よい音楽を
奏でているのが、ステファン・ミカスの「トワイライト・フィールド」。
 S・ミカスは世界各地の民族楽器をマスターしては、多重録音
で音楽を作り続けているアーティストですが、ここでは植木鉢で
音楽を作っています。
 何種類もの(素焼きの)植木鉢に適度に水をいれ、音程を調整
し、それを素手やスティックで叩いているようです。
出てくる音は、木琴とも鉄琴とも異なる、なんとも「ぬくもり」のある
「土」ならではの音で、聴いていると何か浮遊感覚のようなものを
覚えます。
このCDでは更に尺八やツィター、ダルシマーなどがオーバー・ダ
ビングされ、無国籍かつ不思議で印象的な音世界が繰り広げら
れています。                       (3月10日)

 

 2007年になってはじめての「よもやまmusic」は、
「はじめて」にひっかけてキャメルの「ファースト・ライト」。
「最初の光」という題名の通り、まるでだんだんと夜明けが近づく中、
空気も澄み、ついに光が差し込んでくる・・または夕暮れどき、一番星
の光を追って、ついに宇宙まで飛んでいくといったイメージが表現され
た(と勝手に思っている)インストゥルメンタル曲です。
「レイン・ダンス」という'77年発表のアルバム1曲目の曲で、メンバー
各々、かなりのテクニックの持ち主なのに、それをひけらかすのでは
なく、しっかりしたメロディーを心地よいスピード感で演奏し、カッコよく
曲が展開されていきます。
 歌物も、なかなかいい曲が並び、このアルバムからメンバーになった
リチャード・シンクレアの落ち着いた、癒やしの声がいかにも「キャメル」
といった雰囲気を醸しだしています。
 キャメルには名作アルバムがたくさんありますが、「レイン・ダンス」は
私的名盤としても推したい1枚です。           (1月28日)

 

  びつくり!

 最近の流行語の一つに「サプライズ」(おどろき)というのが、ありま
したが、今回紹介するアルバムのタイトルも『サプライズ』です。
 かのポール・サイモンが今年、久々に発表した作品ですが、実は、
私にとっても、非常なサプライズでした。と言うのも、このアルバムを
制作するにあたって、あのブライアン・イーノが全面的に協力してい
たからです!
 中学生の頃、一所懸命に聴いていたP・サイモン(&ガーファンクル)
と高校のころから、ずっと注目し続けているB・イーノ。それぞれ、やっ
ている音楽や、そのアプローチは全く違っているのに、今、こうして一
緒になって音楽をつくっているのが「おどろき」でした。 
 二人とももう、いい年なのに、お互い、「異質」なるものに惹かれる、
少年のような好奇心の旺盛さには感心させられます。
内容のほうは、サイモンのあたたかく優しげな声と、味わい深いメロデ
ィーに、さりげなくイーノの摩訶不思議な奥行きあるサウンド処理がな
されていて、聞き流していても心地よく、注意して聴くと引き込まれるよ
うな作品になっています。                (12月27日)

 

  こりゃ、まいった!
 広い岩手県には「すご腕」のバンドやミュージシャンもたくさん
います。今回、紹介する「ホリィ・シッツ」というバンドもなかなか
のもの。水沢(現、奥州市)を拠点に活動する、ギター、ベース
ドラムの3人組ジャズ・ロックバンドですが、完全に全国レベル
を超えていると言っていいでしょう。インストゥルメンタル中心に
演奏していますが、テクニックはもちろん、オリジナルの楽曲も
しっかりした構成で、メンバーの豊かな音楽性を感じさせてくれ
ます。 その実力から言って、今までレコードを出していなかっ
たのが不思議なくらいですが、結成12年目にしてついに初CD
を発表。全16曲入りで聴きごたえ十分。決してマニアックに走
るのではなく、聞かせどころをおさえながら、思わずうならせる
粒揃いの楽曲が揃っています。(実はベーシストが同級生!)
 「holy shts」
ホームページはこちら 11月19日

 

 

秋に聴きたい洒落た音楽はいろいろありますが、今回は
ジョニ・ミッチェルの「ミンガス」というアルバムを紹介します。
何をかくそう、ジョニ・ミッチェルは、私の最も好きな女性ミュ
ージシャンの一人なのですが、残念ながら現在は活動を休
止しているようです。
 「ミンガス」というのは、今は亡き、ジャズ・ベースの巨匠、
チャールズ・ミンガスのことで、亡くなった1979年に、この
アルバムは発表されました。バックに、ウェイン・ショーター
ハービー・ハンコック、ジャコ・パストリアスなど、名うての実
力派ジャズミュージシャンを迎え、自作の曲や、ミンガスの
作った決して単純ではない曲に詩をつけて歌いあげる力量
とセンスは実にたいしたものです。彼女の感性と、ミンガス
の遺した音楽が見事に融合され、クールなのにどこか懐か
しい独特な世界を築き上げています。
 聴き込むほどに奥が深く、いつまでも古くならない一枚。
(秋の夜長になど、ほんと、ぴったりです。/10月5日)

 

 残暑きびしい日々が続いていますが、そんな中今回は「スカッ」と
突き抜けて、宇宙までひとっ飛びしていくような曲を紹介します。
 ボストンの「宇宙の彼方へ」。本来ならばハードで騒々しい系統の
楽器編成なのに、とても気持ちのいいサウンドで、ジャケットのよう
に宙を駆けていくような気分にさせてくれます。
 リーダーのトム・シュルツは、かのエリート大学、MIT(マサチュー
セッツ工科大学)卒業の秀才。エンジニアとしての音響調整技術
はお手の物の上に、挫折を知らない経歴がデビュー作にして、かく
も緻密で完璧な音世界をつくり上げた、と言う感じです。
 (しかし「宇宙の彼方へ」とはよくつけたもので、原題は「more than
a feering」、訳詩をみても宇宙の「う」の字も出てきませんが、曲の
感じはよくつかんでいます。作者はきっと苦笑いでしょうが・・)
 「宇宙の彼方へ」は’76年発表の1stアルバム『幻想飛行』(これ
も原題はただの「BOSTON」・・やれやれ・・)に入っています。
                              (8月26日)


 

今年は「ビートルズ来日40周年」という事で特別番組も
組まれていましたが、日本武道館で来日公演が行われたのは1966年、
6月30日から7月2日までの事。そして、その後、8月のアメリカ公演を
最後にコンサート活動を停止、ビートルズはレコードだけを出すバンド
になってしまいました。 アルバム「リボルバー」は、その転換期、日本
公演から1ヶ月後に発表された意欲作です。それまでのアルバムよりも
長い時間をかけてスタジオにこもり、実験的な試みもされています。 
 収められた曲は皆、当然のごとく粒揃いの佳曲で、クラシックやインド
音楽の影響を受けた曲も完全にビートルズの物にしているのがすごい
ところです。
 この頃はまだバンドとしての一体感もあり、なおかつメンバー各々の
個性もきらめいています。 数あるビートルズの作品の中でも「リボル
バー」が一番!というファンが多いのもうなずけます。
 来日当時、ジョンとリンゴは25歳、ポールが24歳、ジョージは23歳!
まだまだ若いのに一皮も二皮もむけ、貫禄さえ漂わす彼らの創作意欲
に満ちた傑作です。                       (7月7日)

 

 いよいよ、
オリンピックをも凌ぐと言われる4年に1度の世界的イベント、サッカー、
ワールドカップが6月9日から始まります。今回の開催国はドイツという
ことで、ドイツにちなんだ曲(CD)はないかと棚を探してみました。
 見つけたのは、ギュンター・ヴァント指揮、北ドイツ放送交響楽団演奏
の「ベートーベン、交響曲第2番&第4番」。ドイツに生まれた「楽聖」の
曲をドイツのオーケストラがドイツ人の指揮で演奏するというCDは(こと
にも最近の演奏は)、日本では意外と見つけにくいものかも知れません。
 2番や4番の交響曲は3番や5番、6番、7番、そして9番などとくらべると、
あまりポピュラーではありませんが、やっぱり、なかなかの名曲です。
 ちなみに4番は、あのシューマンにして「2人の北国の巨人(「英雄」と
「運命」)にはさまれたギリシャ美人」と評されたロマンチックな作品です。
 このCDでの演奏は、決して派手さはないけれど、正統的でツボを押さ、
えた味わい深い、「いかにもドイツらしい」とでも言えるような名演です。
 サッカーのBGMとはなりにくいかも知れませんが、時に「ドイツ」に想い
を馳せながらこんなCDを聴いてみるのも良いものです。  (5月19日)

 

  30年の絆
 今回は(も?)知る人ぞ知るアルバムの紹介となりますが、
「クラベッツ」の30周年記念盤『おれ達のうた』です。1967年
に「ばんば ひろふみ」を始め、立命館の高校の同級生同士
が「ベルベッツ」として結成、'77年には当店の展示会にも何
度か来て頂いている大和夢之介さんがボーカリストとして参
加、現在に至っているバンドです。本拠地は京都で、それぞ
れ忙しい時間をぬって活動を続けています。
 ベスト盤とも言えるこのアルバムに収められた楽曲の提供
者には、ばんばひろふみ、つのだ★ひろ、来生えつこ、玉置
浩二らの名前も見え、交友関係の広さも伺えます。が、何に
も増してこのバンドの「すごい」ところは、40年近くもほぼ同じ
メンバーで音楽を続けている事です。先ごろ来日したローリ
ング・ストーンズなど典型的ですが、こういう長く続けている
バンドには他には出せない、そのバンド特有の「のり」、グル
ーブが出てきます。長い間にはいろいろとあった事でしょうが
まさに「継続は力なり」。(まったく、たいしたものです。)     
                               (4月10日)

 

 かくれた名曲というものはたくさんありますが、良質な
音楽番組がまだまだ少ない現状では、多くの名曲は耳に触れ
ることなく埋もれてしまいます。
「天国はつくるもの」というドキュメンタリー映画に使われていた
曲(歌)もみな、いい曲(歌)でした。中でも映画そのものが感動
的な内容だったこともあり、エンディングに流れた曲は胸に残り
ます。 土橋大輔の自作自演、「シャイン」。沖縄を拠点に自らレ
ーベルを立ち上げ、自主制作したシングルCDのタイトル曲です。
きっとこの映画を見なければ、まずこの曲に出会うことはなかっ
ただろうと思います。 大掛かりな宣伝もなければ、ラジオやテレ
ビで流れる事もほとんどありませんが、文句なしの名曲です。
巷にあふれるヒットチャートの「産業音楽」とは一線を画したエネ
ルギーが曲に込められています。映画の効果もあり、じわじわと
口コミで広がっているようですが、こんなふうに下手をすると知ら
ないでしまう名曲がまだまだあると思うと「なんとかしてくれ〜」
と言いたくもなります(・・誰に?)         (3月1日)

 

もう雪はたくさん!と思うこの冬ですが、あえて今回は
雪のイメージの音楽を紹介します。ブルース・コバーンの「high
winds white sky」(『雪の世界』)。雪景色のジャケットが印象的
ですが、そんな雪の中、時に暖炉にでもあたりながら、また時
に刺すような冬の風に吹かれながらも聞こえてくるような優しい
メロディー、心温まる歌声がたくさん入っているアルバムです。
B・コバーンは1945年、カナダに生まれたシンガー・ソング・ラ
イター。いわゆる「流行」とは無関係に、自分の信じる音楽のス
タイルを貫きながら活動し続けてきた実力派アーティストです。
渋い歌声、深い歌詞、名人級のギター、30年以上のキャリア、
今なお衰えぬ創作意欲と問題意識・・貴重な存在です。(ちなみ
に宮沢賢治のファンでもあるとか・・)
'71年に発表された「high winds white sky」はアコースティック
ギター中心のシンプルな、それでいて味わい深い歌と演奏が心
に残る好アルバムです。   (1月24日)

 

  25年目の12月に・・
 1980年、12月、ジョン・レノンがニューヨークの街角で凶弾に倒れて、
早や25年経ちました・・
 ともすれば、「イマジン」などに代表されるような「愛と平和」の代弁者
としてJ・レノンは捉えられがちですが、同時にロックン・ローラーであり
詩人であり、画家であり、行動する社会運動家でもあった事を忘れては
なりません。一貫して言えるのは、いつも等身大の「自分」に向かい合
い、自分の強い所も弱いところも隠すことなくさらけだし、考え、悩みなが
らもユーモアと批評を忘れず、表現活動をしてくれたアーティストだった
という事です。
 紹介するまでもなく、’70年にビートルズが解散してから発表された
アルバム『ジョンの魂』は、ほんとに傑作です。
 どの曲もビートルズの「制約」から解き放たれたかのような、ストレー
トなジョンの肉声が伝わってきます。
 当時、ジョンは30歳。その後も傑作アルバムを発表しますが、「原点」
はここにあるような、まさに『魂』を感じる1枚です。    (12月12日)

 

 

 今年の大河ドラマ『義経』が佳境を迎えた事もあり、今回は
「義経もの」も多くある琵琶の音楽です。ご存知、義経は平家との因縁が
深い立場ながら、壇ノ浦で平家を破り、賞賛を受けるはずの兄、頼朝には
追われ、平泉で果てた、歴史の皮肉を感じざるを得ない「ヒーロー」です。
それゆえに、琵琶法師の弾き語る題材にもなりやすかったのでしょうが、
「平家物語」をはじめ「船弁慶」、「一ノ谷」、「衣川」など多くの「義経もの」
が今も語り継がれています。
 昭和30年生まれの琵琶奏者、片山旭星氏(京都)は筑前琵琶を人間
国宝、山崎旭粋はじめその一門に、新内もまた人間国宝、岡本文弥に
師事し、さらに肥後琵琶を「最後の琵琶法師」と呼ばれた山鹿良之(熊本)
に寝食を共にしながらの教えをうけた、正統かつ味のある「芸人」です。
その活動は古典のみならず、ジャズや現代音楽、舞踊との共演等と多岐
にわたっております。
 この8月には「闇のさやぎ」と題した演奏会を京都・法然院で行い、闇の
演出の中、興味深い演奏を聞かせています。また、10月の後半はトルコ
〜ポーランドと演奏旅行に出かけておりますが、その気負わず、控えめ
で自然体なたたずまいは、ユニークな活動とあいまって、深い、幅のある
音色となって琵琶に反映しています。  
その片山氏が11月に花巻で演奏会を開きます。 興味のある方は、是非
1度、聞いて見てください。 (お問い合わせは
せがわ迄)
 ★片山旭星のホームページは
こちら(試聴もできます) (10月23日)

 

 秋、どこまでも高い空を思わせる音楽があります。
『草原のチェロ〜モンゴルの馬頭琴(ばとうきん)』という民族音楽
のシリーズに収められたCDを聴くとそんな気がしてきます。
 馬頭琴は胡弓に似た楽器ですが、音色はよりシャープで2本の
鉄弦が張られています。遊牧を営んできたモンゴルの人々にとっ
て生活上、欠かすことが出来ない馬の彫刻飾りを、ネックのトップ
に施しているので「馬頭琴」と呼ばれるようになったとの事です。
 このCDでは主にモンゴルの民謡が演奏されていますが、哀愁
あふれるメロディーが、まるで風のように、時に力強く、時に遠く
空高くまで消え入るかのように聞こえてきます。
 奏者はモンゴルを代表する名人チ・ボラグ氏です。
                          (9月17日)

 

夏の夜に熱いジャズも良いですが、今回紹介
するのはどちらかと言えばクールで淡々とした中に
も緊張感あふれる曲です。今は亡き「ジャズの帝王」
マイルス・デイビスの「SHHH/ピースフル」という曲は
約18分間を通して、ドラマーは太鼓を叩かずシンバル
だけを小刻みに鳴らし続け、ベースも抑制のきいた
シンプルなフレーズを繰り返し、ギターと3台のキー
ボードが幻想的な雰囲気をかもし出すなか、マイルス
のトランペットがクールな彩りを添えていく・・・それは
風のようでもあり、なぜか夏の熱い夜に聴きたくなる
曲です。
 バックをつとめるのは、今では皆「大御所」とも言え
るミュージシャンばかり。ジャズの新しい流れを作ろ
うとマイルスのもと、才能の火花を散らしています。
 40年近くたっても色あせず、新鮮に聞こえるマジッ
クみたいな曲です。(「イン・ア・サイレント・ウェイ」収録)
                         (8月3日)

 

 今回は、梅雨時ということもあり「雨の音楽」です。
カーペンターズの「雨の日と月曜日は」は’71年と言
うから34年前(!)に発表されたシングルヒット曲です。
〜ふさいだ気分になる雨の日と月曜日は、愛する人に
会いに行きたくなる・・〜という内容の歌がしっとりと、そ
して切々と歌われています。
(ところで、あるアンケートによると、現代の主婦にとって
は、月曜日の午前が、1週間の中で最も心地よい時間
なのだとか・・)
 亡くなって早や22年経つカレン・カーペンターですが、
その歌声は今もなお色あせることなく、人々を魅了し続け
ています。
 (左のアルバムは’95年に音が良くなって発表された
ベスト盤)              (6月21日)

 

   バラの音楽
 6月になれば、バラも見ごろになるので、今回は「ローズ」
(バラ)の音楽です。 「ローズ」(ROSE)と言っても実は映画
の主人公の名前で、’60年代後半に活躍し、早世してしまっ
た女性シンガー、ジャニス・ジョップリンがそのモデルになって
います。
 映画自体も、いろんな意味で’60年代を象徴する作品とな
っていますが、短くも波乱の人生の幕をステージの上で閉じ
る事になる主人公をベット・ミドラーが熱く演じています。
 青春時代に大きな傷を受けた故郷にスターとして戻り、錦
を飾る大会場のコンサートの最中、力尽きてステージ上に倒
れる主人公・・遠く薄れていく大観衆のざわめきの中、聞こえ
てくるのがエンドタイトル曲「ローズ」です。 これはもう、実に
名曲で、心にじーんと響いてきます。 B・ミドラーもほんとに
歌が上手いです。
 
(ちなみに、この曲は、かのアニメの名作「思ひ出ぽろぽろ」にも使われ
ていました)                      
 (5月12日)

 

  さくらの音楽
 桜をイメージできる音楽はたくさんありますが、今回は
ゴンチチの「mica」を紹介してみます。ゴンチチはもうか
れこれ20年以上も活躍しているギターデュオですが、
そのジャンルにとらわれない快適な音楽は、彼らならで
はの味がするものばかりです。
 「mica」はまるで陽の光をあびて、ひらひらと舞い踊る
桜の花びらの中にでもいるかのような曲。
 聞き手の勝手な思い込みで「mica」とは「美花」で、そ
れは、さくらに違いないと思ってしまった曲です。
 大勢で賑やかな花見も楽しいですが、時に静かに、桜
の花のなかで、その雰囲気に浸りたいと思う人におスス
メの1曲です。
 「mica」はアルバム『マダムQの遺産』に収録
                     (4月8日)

 

   30年ぶりのポール・サイモン
 あのサイモンとガーファンクルが、まだそれほど人気も
なかったころ、ポール・サイモンが一人だけで、ギター1本
で弾き語りしたレコードが「ポール・サイモン、ソングブック」
です。30年前、始めてこのレコードを聴いたのは中学生の
ころ。すでにサイモンとガーファンクルは解散後の伝説の
人気デュオでしたが、このサイモン1人の私小説的なレコ
ードは、やけにみずみずしく耳に響いてきたものでした。
 去年、ようやくCDとして復刻され、あらためて聴いてみる
と、いまだに新鮮で説得力もあり、忘れかけていた宝物に
陽を当てた思いでした。 名曲「サウンド・オブ・サイレンス」
や「4月になれば彼女は」の弾き語りバージョンはファンな
らずとも必聴です。       (2月24日)

 

バレンタインに向けて、今回は恋人やご主人と一緒に
聞きたい音楽をピックアップしてみます。
いろいろとある中でここではタック&パティの「ドリーム」を
おすすめしてみます。 タック&パティはギターとボーカル
の夫婦デュオなわけですが、夫の超絶テクニックのギター
に妻の説得力あふれる歌が絶妙に絡んで、静かな中にも
熱く、優しく、一つになった音世界をつくりあげています。
 『ドリーム』というCDは’91年の発表で、オリジナル曲、
カバー曲どれもが名曲ぞろいの好アルバムです。
 タイトル曲の「ドリーム」は”夢見ることから、すべては始
まる”といた内容の「愛」についての歌です。バレンタイン
にはチョコもいいですが、深くて味わいのある音楽も忘れ
ずに・・・                   (1月17日)

 

  年の瀬、あらたな旅立ちの歌
 
今回紹介するのは、ずばり名曲です。 小川美潮の「窓」。
そのユニークな歌声と活動で知る人ぞ知る小川美潮の歌唱
力、表現力は実にたいしたものです。童謡からジャズまで自
分の色で歌えてしまえる人です。 「窓」は1991年に発表さ
れたアルバム『4to3』に入っている曲なのですが、歌詞とメ
ロディー、そして歌声がこれほど一つになって沁みてくる曲
は、そうそうありません。 移り変わる時の流れの中で、今
は年老いた女性の「旅立ち」の物語を最初はつぶやくように
そしてだんだんと熱く、大きく歌いきっています。 実は特に
「年の瀬」にということではなく、時々、棚から引っ張り出して
聞きたくなる1曲なのでした。         (12月2日)

 

  秋・・大人のバラード
秋は空気も澄んで、ピアノやアコースティックギター
の音色がいっそうきれいに聞こえてきます。
今回紹介するボニー・レイットの「アイ・キャント・メイ
ク・ユー・ラヴ・ミー」もピアノにのせて歌うスローテン
ポのバラードです。
 素直な「愛」をもとめながらも心がすれ違ってしまう
切なさを女性の視点から歌った名曲です。(ピアノは
ブルース・ホーンズビー)
 ボニー・レイットは今やベテランの女性ミュージシャ
ン。ハスキーなのに艶があり、説得力ある歌声、スラ
イドギターの名手でもあります。 以前、様々な事情
から、ドラッグやアルコールの依存症にまでなり、ブ
ランクがありましたが、音楽を支えに見事カムバック。
深みを増した声と楽曲でグラミー賞も獲得。派手さは
ありませんが、味のある実力派です。
(CD「ラック・オブ・ザ・ドロー」に収録)(10月28日)

 

 今回は花巻を中心に活動しているグループ
katsu with 2u」のメンバー、宮沢勝彦のソロ
CDを紹介します。仕事とグループ活動の合間
を縫って、録音されたCD(全3曲・・内1曲は
カラオケ)ですが、一言、気合が入ってます。
出さずにはいられなかった、という感じです。
「すれ違う他人(ひと)の笑い声にも泪がある。
今は悲しみの河を抱いて眠れ」と歌うタイトル
曲は軽快なポップロック調。2曲目の「ウォータ
ーメロン」は少しけだるく、おしゃれな匂いのア
コースティックナンバー。今、巷に溢れる「音楽」
はいわゆる「音楽業界」が仕掛けた「商品」とし
ての性格が強いものが多いのに対して、この
CDは「地方」発の純粋な音楽大好きの結晶と
もいえるものです。(ジャケット写真は、かのイ
ギリス海岸で撮ったもの。中ジャケも含めてな
かなかのセンスです!)    (9月20日)

 

 「涼しげな音楽」
青い空と海・・誰もいない静かな砂浜・・聞こえてくるのは
波の音だけ。ときおりさわやかな風が海を渡ってくる・・
そんな音楽がマイケル・ヘッジスの「ドリームビーチ」です。
惜しくも'97年に若くして交通事故でこの世を去ったM・ヘッ
ジスは超絶なテクニックを持ったギタリストでしたが、決し
てテクニックにおぼれることのない「音楽家」でした。まず
頭の中で音楽が鳴り響く。それを表現するためにおのず
と独特なテクニックが必要となる・・そんな感じです。
 ギター以外にも歌やフルートもこなし音楽の幅をひろげ
ていただけに今さらながら夭折が惜しまれます。
 「ドリーム・ビーチ」はギターの変則チューニングによる
印象的な和音に風の音を思わせるフルートがかさなり、
ゆったりと彼方まで運ばれて行くような音楽です。
(オリジナルラストCD「ともしび」に収録)   (8月9日)

 

7月7日は「七夕」ですが、大体、梅雨のさなかで
きれいな星空を見れない事の方が多いようです。ただ、
国立天文台が提唱している「伝統的七夕の日」(注)と
いうのがあって、それによると今年の七夕は8月22日
なのだそうです・・というわけで今回は「七夕」的な音楽
 紹介するのは、
ステファン・ミクスの「トゥ・ザ・イブニン
グ・チャイルド」
。S・ミクスは、世界各地の民族楽器を
使って印象的な音楽をつくっているアーティストですが、
ここでは主にスチール・ドラム(ドラム缶を改造した太鼓)
やインドの弓で弾く弦楽器、バリ島のガムランなどで使
われる笛などを用いて静かに、深く夜空に響き渡るよう
な音楽を奏で、歌っています。ふつうは賑やかなスチー
ルドラムが星のまばたきのように聞こえます。(7月2日)

(注:「伝統的七夕の日」−「24節気」の「処暑」(しょしょ=毎年8月
23日ごろ)の前の新月から数えて7日目の日なんだそうです・・)

 

 6月は「ジューン・ブライド」ということで今回は
「結婚式の音楽」。私も自分たちの披露宴には、
音楽好きが高じて、自分で選曲、編集した音楽を
要所要所でかけてもらいました。(早や、もう10年
以上も前の話になってしまいましたが・・)
いろいろ選んだ中でも単純明快でわかりやすいの
がディズニー映画のラヴソングを集めたディズニー
ウェィング・コレクション「ウェディング・ベル」。今と
なっては、ほとんど聞くこともなくなりましたが披露
宴で使うのには「もってこい」の曲がたくさん詰まっ
ています。  
今でも時々耳にするのはポール・マッカートニーの
「心のラブソング」。親しみやすく、乗りのいい曲で
手拍子をしてもらったり、会場も盛り上がります。
                     (h16.5.30)

 

 新緑の季節。「緑の音楽」ということで題名から単純
に「木の葉は緑」(サイモンとガーファンクル)。軽やかなリ
ズムと美しいメロディー、2人のきれいなハーモニーにハー
プシコードが絡む印象的な曲。新緑の中をサイクリングでも
しているようなイメージの曲ですが、歌詞は少々文学的で、
移り行く時と共に変わってしまう人の心を木の葉の色に重
ねています。 ポール・サイモンがこの曲を書いたのは20
代の始め。その天才ぶりには改めて驚かされます。
 「木の葉は緑」はアルバム『サウンド・オブ・サイレンス』に
収録されています。  (このレコードにも、タイトル曲を始め、
だいぶお世話になったな〜)      (h16,4,27)

 

春の音楽といえば心うきうきする軽快なイメージ
ですが、今回紹介する辻幹雄のソロギター組曲
「春のゆくへ」はしみじみと心に沁みて来る音楽で
す。 4つのパートからなるこの曲は「白村江(はく
すきえ)の戦」(663年)で生き別れ大和の国に漂
着しながら生涯めぐり合えなかった百済の夫婦と
その戦で一人息子を失った若狭の老夫婦との出
会いの物語の詩をもとにつくられました。
 辻幹雄のなんとも深い音色の11弦ギターと情緒
的でごこか懐かしいメロディー。 秋田県出身のギ
タリストが奏でる印象深い曲です。
 「春のゆくへ」は辻幹雄のファーストCD『風の標』
に収録されています。     (h16,3,20)

 

 3月はひな祭りということで今回は「歌姫」の音楽
歌姫と言えば、美空ひばりやマレーネ・ディートリッヒなどなど
あげたらきりがありませんが、ここでは、少し個性的なところで
ケイト・ブッシュを推してみます。 
 天才少女として1978年にデビューしたケイト・ブッシュは一
度聞いたら忘れられない声の持ち主で、作詞作曲もこなし、
ステージではパントマイムも披露する多才な人です。
 その才能はとどまるところを知らず、一時期かなり前衛的な
曲をつくり発表していましたが、基本的には美しく、印象的な
曲を書ける人です。
 デビューアルバム「キック・インサイド」は、そんなエッセンス
がいっぱい詰まった好アルバムです。
     (邦題は、なぜか「天使と小悪魔」!?) (h16,2,17)

 

 無人島に10枚だけもっていくとしたら・・・ というテーマで
よく年末年始など自分の持っているCDの中から選んでみて
は一人で楽しんでいたりしますが、今回はその中の一枚で
す。  「ナイトノイズ」の『ホワイト・ホース・セッションズ』
 ナイトノイズはアイルランドとスコットランド出身の4人のミュ
ージシャンから成るバンドでケルトの伝統的な音楽を土台に
ジャズやクラシックなどの要素をミックスして斬新で心温まる
音楽を演奏しています。
 『ホワイト・ホース・セッションズ』はライヴ録音で彼らのベス
ト盤ともいえる選曲。 時に繊細で、時にダイナミックな音を
奏でるナイトノイズの音楽はケルトの郷愁的なメロディーと共
に深く印象に残ります。
 数年前の夏に来日した折、箱根の森の屋外美術館の広場
でのコンサートを見ることができました。
 夕暮れの芝生の上で、ひぐらしの声と共に聴いた音楽は、
今でも心に残っています。            (h16,1,13)

 

 さむくなると恋しくなる鍋料理ですが、今回は
「寄せ鍋」のような音楽はないものかと探してみ
ました。 にぎやかで、体があったまって、栄養
満点で、みんなでつっつき合うような音楽・・・
 考えて思い当たったのが「上
台風」(しゃん
しゃんたいふう)。 男女混合の日本のグルー
プですが、歌謡曲のような(沖縄)民謡のような
ロックまたはソウルのような、祭囃子のような・・
 とにかくいろんな音楽の要素をぶち込み楽しさ
で味付けした音楽をやっています。 かと言って
単なる「ごった煮」ではなく、きちっとしたアレンジ
で歌唱力も演奏力もはんぱではありません。
 聞いていると元気の素が身体に吸収されてい
くかのような音楽です!     (h15.12,14)
(※「台風」の「台」の字は本当は風偏に台と言う字です)

 

 晩秋というか、すでに冬っぽい日も増えてきましたが、そんな中今回は長くな
った夜にぴったりとくるCDを3枚ほど紹介します。まずは、
リッキー・リー・ジョー
ンズの『マガジン』
。R・L・ジョーンズはジャズやフォーク、クラシックの要素も取
りいれながら独特の世界をつくりあげている女性ミュージシャンですが、『マガ
ジン』は1曲1曲が短編映画のような雰囲気を持つ曲ばかりで個性的な声とあ
いまって秋の夜長など思わず聞き込んでしまいます。 次に
ラルフ・タウナーの
ギターソロCD『ANA』
。もともとはジャズ系と言っていい人なのですが、ここでは
クラシック・ギターと12弦ギターでオリジナルを14曲、録音しています。練られ
た曲と抑制されながらも光るギターテクニック。録音状態も良く、夜に聞いてい
ると、まるで自分だけに語りかけられているような音楽です。 最後は
グレン・
グールド演奏のブラームスのピアノ間奏曲集
。これもまた、すごい名演で聞い
ているうちに、すーっと、どこか深いところに降りていくような、そんな感覚にと
らわれるCDです。               (h15.11.13)   
    

 

 予期せぬ時に、ふとラジオから
流れてくる懐かしい音楽で「今,いる自分の
場所(時間)」を「はた
と振り返り実感
してしまうことがあります。その音楽を聞い
ていた当時の情景が思い起こされ、そして今
現在も同じ曲を耳にしている自分が「こんな
ところ(時)まで来ちゃったなぁ」と妙にし
みじみしまうのです。 こないだはラジオか
ら流れてきたビリー・ジョエルの『オネステ
ィ』でそんな気持ちにさせられました。もと
もと美しいバラードなのですが、そういう時
は例えラジオでも。やけにくっきりと聞こえ
るのです。 おもしろいのは、始めから自分
で聞こうと思った時は、あまりそんな感じに
ならないと言う事です。(経験あるでしょ?)
               (10月12日

 

  秋になると、空気が澄むせいか、月もいっそうきれいに見え
ます。 そこで今回は
月の光を想わせる曲。
 まずは、やっぱり
ベートーヴェンのピアノソナタ『月光』。
この曲には数々の名演がありますが、私は
グレン・グールド
演奏を聴いています。グールドの演奏はテンポがちょっと早く、
淡々と始まりますが、全曲通して聴くと「月の一夜」の情景が目
に浮かんでくるような、説得力のある好演です。
 さて次に
ドビュッシーの『月の光』も挙げない訳にはいきませ
ん。月夜の印象が絶妙に表現された色彩感あふれるこの曲は
ピアノだけでなく様々な楽器でアレンジされています。
 あと、もうひとつ(実はまだまだあるのですが・・)おすすめの曲
「風の楽団」の『月弓』。「風の楽団」は世界の民族楽器を使っ
てユニークな音楽活動をしている日本のグループです。
 『月弓』は中国の楽器「揚琴」と「二胡」(胡弓)のデュオで冴え
渡る月の光の美しさと、どこかそこはかない感じが良く出ている
曲です。作曲者のコメントでは「月のない夜、見えなくとも必ず、
そこにあるだろう月を想ってつくられた曲」なんだそうです。
    (9月11日、十五夜の日・・今年はちゃんと見えるかな?)

   「風の楽団」ファーストCD

 

    なんと、およそ6万年ぶりの火星大接近がこの8月27日
に迫ってきました。最接近時に倍率100倍程度の望遠
鏡で見ると、肉眼で見る満月より大き見くえるというので
楽しみです。   というわけで、今回は「火星」から連想
する音楽です。   まずはそのものズバリでホルストの
「火星」。クラシック音楽の組曲『惑星』の中の1曲ですが
その何か、おどろしげな曲をアレンジして「デビルズ・トラ
イアングル」と題して演奏したロックバンドもありました。
 次にデヴィッド・ボウイーの『ロウ』。このジャケットはボ
ウイー自身が主演した映画、『地球に落ちてきた男』の1
シーンからとったものなんですが、赤オレンジ色をバック
にした、なんとも妖しげな雰囲気から勝手に「火星」を連
想してしまうのです。肝心の音の方は、これがもう大傑作
アルバムです! センス良いポップ感覚と前衛的なアー
ト感覚が織りなす独自の音世界が展開されています。
 ボウイー自身の疎外感をテーマにしたとも言われるア
ルバム『ロウ』は26年前に発表されているのですが、今
でも色褪せていません。          (8月9日)

 

 7月21日は人類が初めて月に立った日という事で、
今回は「月世界」を思わせる音楽。で、そのものズバ
リなのが、ブライアン・イーノの『アポロ』。
 NASA(アメリカ航空宇宙局)のアポロ計画の記録映
画のために作られた、いわゆるサウンドトラックです。
 B・イーノのほかに弟のロジャー・イーノ、(U2やボブ・
ディランなどのプロデューサーとしても有名な)ダニエ
ル・ラノアが参加しています。 
 全12曲、インストゥルメンタルですが、その雰囲気は
さすが! 暗く、冷たい宇宙、宏大な空間の中での孤
独感、静かな時間の流れ、星の輝き、そして地球への
懐かしさなどを感じさせる音作りをしています。
 また、ちょうど青い地球をバックに気持ちよく宇宙遊
泳でもしているかのような曲もあり、これから先、夏の
夜に聞くにも、もってこいです。       (7月7日

 

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