2017/9/14
転職エージェントQ&A

面接は「ありのままの自分」でOKなのか?


転職エージェントとして働いていた時に、数多くの方の面接指導を担当させていただきましたが、最も多く受けた質問の1つが「面接はありのままの自分を見せても良いか?」ということでした。転職者と面接指導をするキャリアコンサルタントとの間で、誤解を生む「ありのまま」という表現について、今回は深く考えてみます。良い状態で面接に臨む「心がまえ」が分かりますよ!

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「ありのまま」という言葉は一人歩きする

面接指導をする時に、転職者の面接態度で注意していた点は、転職者の態度・物腰が、面接官にどのような印象を与えるだろうか、という点でした。面接という特殊な環境下において、人の反応は様々に分かれます。

 

臆することなく、平常心で面接に臨むことができ、一通りのビジネスマナーが備わっている人には、文字通り「ありのまま」で臨んでもらった方が良い結果が期待できるでしょう。

 

しかし、面接で緊張しやすい方や、面接に気後れしなくても、キャラクター的にそのまま面接に臨むことがかえって誤解を招きやすい方(ビジネスマナーに不安がある、態度がフランクすぎるなど)には、「ありのまま」で面接に臨んでもらうことは逆効果になってしまいます。

 

新卒の学生ならば、社会人でないことを割り引いて見てくれる面接官もいらっしゃるでしょうが、社会人の転職活動では、「ありのまま」という言葉は一人歩きしてしまい、「社会性がない人」という烙印を押されかねないのです。

 

結論をいうと、面接に緊張しないタイプで、社会人としてのビジネスマナーにも自信がある人だけが、「ありのまま」で面接に臨むべきだと思うのです。とはいえ、「ありのまま」に面接に臨むべきでない人にとっても、できるだけ緊張しないで、本来の実力を発揮できた方が望ましいですよね?

 

そのため、「ありのまま」ではなく、ちょっと違った「心がまえ」で面接に臨んでもらうようにお願いしていました。それを次のパートで詳しくご紹介していきます。

 

タイプ別・本来の実力が発揮できるおすすめの「心がまえ」

このタイプの方の場合は、面接で緊張しても、最低限のことができるように、練習してもらうのが一番良いです。場数を踏んでもらうのが一番良いのですが、場数を踏んでも緊張が解消しない方、または場数を踏むほど応募数がない方には、面接で守るべきビジネスマナー(決め事)を作って、それを守っていただくようお願いしていました。

 

ただ、たくさんのルール(決め事)を作っても、本番では頭が真っ白になる、ということも考えられますので、最低限覚えられそうなマナーを3つ~5つ。忠実に実行してもらうことをお伝えしていました。

 

面接の受け答えも予め想定問答集を作ってもらいます。ただ、これも本番で一字一句間違えずに喋ることを目標にするのではなく、自己分析に関する質問が来たら答えるポイントを3つ、職務経験に関する質問が来たら答えるポイント2つ、といったように、箇条書き形式で覚えていただくよう、お願いしていました。

 

先ほども述べたように、ビジネスマナーや社会性の部分で、「ありのままの自分」で面接に臨むことがふさわしくない方については、まず、最初に、はっきりとおかしなビジネスマナーや面接態度を指摘したうえで、①の方とは反対に緊張感を持って面接に臨むように指導していました。

 

とはいえ、人間が何十年も生きてきて身に付いたクセといったものが簡単に払しょくできるわけではありません。そこでお願いしていた点は、良いビジネスマナーをイメージして「演じてください」ということでした。

 

普段より、自分が意識しているより少々オーバー気味に、品の良いビジネスマナーを備えている自分をイメージしてもらい、それを演じることに集中していただくのです。

 

企業は「ありのままの自分」を本当に求めているのか!?

さて、こうした私のやり方に批判的な方もいらっしゃるのではないでしょうか。 

 

「相手が緊張していると応募者の“本質的な部分”が見えない」とか、「演じていても、“プロの面接官”なら見破られる」といった、いかにももっともらしいご批判です。

 

しかし、たかが1時間弱の面接で、応募者の本質的な部分など分かるわけがありませんし、面接では、誰もが他の応募者より自分をよく見せようとしている、すなわち「演じて」いるわけです。

 

私は他の方がやっている当然のことを転職者にお伝えしているにすぎません。そもそも、考えていただきたい点があります。企業が求めている人材は、「ありのままの自分」という人材なのだろうか、という点です。

 

企業経営の観点でいえば、ビジネスパーソンには、ビジネスマナーを守って円滑に仕事を進めてくれさえすれば十分なはずです。そこには、「自分らしさ」という人間の本質的な部分が求められているわけではありません。とすれば、面接でもそのようなことを判定する必要性はないではありませんか?

 

要は、みんなと円滑にちゃんと働いてくれさえすれば良いわけで、面接はそれを証明する場に過ぎないと、私は割り切っているのです。

 

最後に

だいぶドライなことを書いたと思いますが、私は、面接を決して軽んじているわけではありません。転職という人生の転機において、最大の山場となるのが面接です。しかし、転職者にとっての大事なゴールは、面接で自分をさらけ出すことではなく、転職先において仕事で結果を出す、成功するということではないでしょうか。

 

面接はあくまでそのゴールまでの通過点にすぎません。ゴールの結果が良ければ、通過点は、最低限通過しさえすれば、どのような手段でも良いはずです。面接をあまり特別なもの、難しいものと考えすぎないでほしいというのが、数多くの転職面接をフォローしてきた、私の偽らざる意見です。