原題 ; BEBERT ET L'OMNIBUS(1962) |
監督 ; イヴ・ロベール |
脚本 ; フランソワ・ボワイエ |
音楽 ; フィリップ・ジェラール |
出演 ; プチ・ジュビス、ジャン・リシャール、ジャック・イグラン、ピエール・モンディ |
イヴ・ロベール監督が、「わんぱく戦争」でブレイクしたプチ・ジュビスを主役に抜擢したキッズ・コメディの佳作。前作ではアントワーヌ・ラルチーグの名でクレジットされていたが、役名だったプチ・ジュビスで有名になったため本作はプチ・ジュビスの芸名でクレジットされている。元祖・見栄晴か。 基本的にはプチ・ジュビスの可愛らしいわんぱく振りを楽しむための作品だが、ナンパ命の兄貴とか駅員と視察官のペーソス溢れるやりとりとか、フランス映画らしい味わいに溢れた小品となっている。 ベベール(プチ・ジュビス)は旅行を翌日に控え家族とともにデパートへと買出しにやって来た。 兄のチーノ(ジャック・イグラン)はデパート・ガールをナンパ。デートの時間まで残りたいので、ベベールに花火を買ってやるから隠れているようにと命令する。 まんまとベベール探しを口実に居残ったチーノ。だが、相手の女性は姿を現さない。 あきらめたチーノは喫茶店でウェイトレスをナンパしようとする。ところが、その店でベベールが客の犬をからかって吠えられ、驚いたはずみで足に怪我をしてしまう。 薬と包帯で小遣いのなくなったチーノは、仕方なく帰りの列車に乗る。ベベールも花火を買ってもらい損ねてしまった。 駅で友人とであったチーノは、ベベールとは別の車両に乗り込み、またしてもナンパを開始。 途中駅で車両が切り離され、ベベールは別の駅に向かってしまうが本人はぐっすり寝込んで気がつかない。 駅に着いて降りたチーノは後部車両がないので大慌て。事情を知ったチーノはベベールの行った駅に自転車で迎えに行こうとするが、家族に説明すれば叱られてしまう。 自転車の置いてある納屋の前では妹のネネが遊んでいる。 一計を案じたチーノは物陰から幽霊のふりをしてネネを脅し追い払い、自転車を持ち出すことに成功。 オバケが出たとおびえる子供たちに両親はオバケなんかいないと教えるが、実はこの両親常日頃悪さをするとオバケが来るぞと脅していた。オバケがいなけりゃこっちのもの、途端に子供たちは皿を割ったりして好き放題し始めるのだった。 一方、車庫でベベールを見つけた駅員のパルムラン(ピエール・モンディ)は身元を調べようとするが、とぼけた答えばかりで要領を得ない。 最寄り駅からベベールの居場所を確認したチーノは、一安心して自転車に乗った美人をナンパしようとするが、見失ったうえタイヤがパンクしてしまう。 仕方なく自転車を担いで歩き始めるチーノ。 日が暮れて二人を心配した父親(ジャン・リシャール)が捜しに出てベベールの居所を知るが、すでに終電の出たあとだった。 こっそり貨物列車に乗り込もうとするが、積荷が危険な爆発物と知って断念する。 チーノは駅で自転車を盗み出すが、偶然ラジオのスイッチが入ったため駅員は強盗集団の襲撃と勘違い、警察に応援を要請する。 ベベールは連結器にジャッキをはさんだり相変わらず騒動を起こし続けるが、居合わせた鉄道衛生局の視察官ベルトワン(ミシェル・セロー)とともにパルムランの家に泊めてもらうことになった。 途中の公園でメリーゴーラウンドを見つけたベベールは乗り込んで駄々をこねる。 大人二人は夜更けの公園で歌いながらメリーゴーラウンドを押して回すハメになった。 やがて雨が降り出しチーノはずぶぬれ。やって来たパトカーの警官が、用事が済んだら帰りがけに送ってくれるという。 ラッキーと乗り込むチーノ。ところが警官の用件とは自転車泥棒の捜査だった。チーノはこっそり逃げ出す。 パルムランの家には五日前のマッシュポテトしかない。口論のあげくベルトワンはドシャ降りの真夜中、芋掘りに出るが、警官に不審尋問を受けてしまう。 チーノは金持ちの車に乗せてもらうが、帰宅した金持ちの家では奥さんが浮気中。騒ぎに巻き込まれたチーノは間男と一緒に逃げ出す。 やがて大騒動の夜も明け、駅に戻ったベベール。そこに父とチーノもやって来た。 ベルトワンが、お別れに花火をプレゼントしてくれた。さっそく火をつけるチーノ。 見咎めた父親は「またイタズラしおって」と花火を取り上げ投げ捨てる。 花火は通りかかった爆発物の貨物列車に飛び込んでしまった。 やって来た列車に乗り込むベベールたち。 反対方向に向かう貨物列車は火花を散らし始める。マーチに合わせ小爆発を繰り返す貨車。 ついに大爆発、巨大なキノコ雲が上がっていく。 それを列車の後部デッキで眺めていたベベールが歓声を上げる。 「やったあ、花火だ」 全体的にはほのぼのとしたドラマなのだが、ところどころ過激なギャグがあって笑わされる。とくにラストはアナーキー。ちなみに日比谷スカラ座版パンフレットのストーリー紹介文末には「たばこは吸いがら入れのあるところで/丸の内消防署」という標語が大きく記載されていた。 |