戦場の黄金律/戦争のはらわたU
原題 ; BREAKTHROUGH(1978) |
監督 ; アンドリュー・V・マクラグレン |
脚本 ; トニー・ウィリアムソン |
音楽 ; ペーター・トーマス |
出演 ; リチャード・バートン、ロバート・ミッチャム、ロッド・スタイガー、ヘルムート・グリーム |
傑作「戦争のはらわた」の続編。前作は日本とドイツだけでヒットし、敗戦国映画と呼ばれたらしい。 ドイツ側の要求により続編の製作が決定したが、前作撮影中に製作費面などのトラブルに見舞われたサム・ペキンパーが拒否したため、アンドリュー・V・マクラグレンにお鉢がまわったという。 1944年5月、ソ連での冬季戦に敗れたドイツ軍は撤退を余儀なくされていた。 スタイナー軍曹(リチャード・バートン)はトンネル爆破をわざと失敗、三人の部下を失って退却した。 ストランスキー少佐(ヘルムート・グリーム)は師団本部に配属替えとなっていた。 ホフマン将軍(クルト・ユルゲンス)は、スタイナーに2週間の休暇を取らせる。 パリに行ったスタイナーは女としけこむ。その間に連合軍はノルマンディーに上陸した。 ニュースを聞いたスタイナーは、部隊に合流するため前線に向かう。 連合軍のロジャーズ大佐(ロバート・ミッチャム)は、ウェブスター将軍(ロッド・スタイガー)の指令を受け、ホフマン将軍の軍勢掃討に向かった。 スタイナーの部隊が占領する街に大隊長としてストランスキーが赴任してきた。 視察に来たホフマンは、この戦争が負け戦と認識していた。彼はスタイナーに数日中にヒトラー暗殺が実行されることを告げる。 スタイナーは、連合軍に対して交渉を行うよう命じられた。彼は部下を率いて連合軍の最前線駐屯所に忍び込み、ロジャースとその部下アンダーソン軍曹(マイケル・パークス)を捕虜にする。 スタイナーは、ホフマン将軍がヒトラー暗殺を決行し無条件降伏の準備をしていることを告げる。彼はロジャースに交渉のため三人の将軍を迎えるよう申し込み立ち去る。 報告を受けたウェブスターは時間稼ぎではないかと疑う。ロジャースは上層部に報告するよう進言する。 戻って敵を見失ったと言うスタイナーに部下は不信感を抱く。 計画は露見しホフマンに国家反逆罪などで逮捕状が発行される。共謀者はすでに処刑されていた。 軍側はホフマンが服毒自殺すれば、心臓麻痺として事件は揉み消され家族は無事にすむという。だが、ホフマンは拳銃で自殺する。 ドイツ軍は連合軍に対する攻撃の準備に入った。 本部に戻ったスタイナーはホフマン将軍の自殺を知らされる。 連合軍による攻撃が開始された。地下水道へと避難するドイツ兵。 ストランスキーは地下の各場所に爆弾を仕掛けて連合軍を全滅させようと計画する。戦車が侵入したところで街ごと爆破しようというのだ。 暗殺計画失敗の知らせは連合軍にも入っていた。ウェブスターは敵地への突入を指示する。 まだ交渉相手を探しているかもしれないと考えたロジャースとアンダーソンは、ジープでドイツ軍の駐屯地に向かう。 白旗を掲げて近づくロジャースのジープに、ストランスキーは攻撃命令を出す。 あわてて引き返すロジャース。彼らは戦車に乗り込んで出撃する。 非道な作戦に抗議するスタイナーをストランスキーは撃つ。 連合軍が町に入り、ドイツ軍は爆弾に点火しようとするが、立ち上がったスタイナーが配線を切ってしまったため爆発しない。 建物に入ってきたロジャースを狙うドイツ軍兵士。スタイナーは兵士を射殺した。 ドイツ軍が攻撃を開始するが、不意打ちが失敗したため戦車の攻撃に敵(かな)うわけもない。 多くの住民を巻き添えにして戦闘は連合軍の勝利で終了した。 残ったストランスキーがアンダーソンを撃ち殺す。続いてロジャースを狙うストランスキーをスタイナーが射殺した。 ライフルを投げ捨てるスタイナーのストップ・モーションで映画は終わる。 迫力に満ちた描写で戦争の哀しみを描ききった前作とは比べようもないほどの凡作。日本で劇場公開されずに終わったのも当然と思える。 キャスティングには名優と呼ばれる顔ぶれが揃ったが、出稼ぎ気分なのか皆やる気を感じさせない。 ノルマンディー上陸直後のヒトラー暗殺計画と言えば、かのワルキューレ作戦なのだろうが、きっちりとは描かれていない。 背景が見えないため暗殺計画自体が絵空事と化し、ひどく薄っぺらな印象を与えている。 このあたりの考証をしっかりしてあれば、第2次大戦秘話らしい奥行きが多少は出たのではないかと思う。 ジョン・フォードの門下と言われながら作品の出来不出来が激しかったアンドリュー・V・マクラグレン監督。今回は大惨敗に終わった。 |