原題 ; THE NUTTY NUTS(1992)
 監督 ; アダム・リフキン
 脚本 ; アラン・スミシー・シニア、アラン・スミシーJr.、R.O.C.サンドストーム
 音楽 ; キャメロン・アラン
 出演 ; スティーヴン・カーニー、エイミー・ヤスベック、トレイシー・ローズ
画面に表示されるタイトルは「THE NUTTY NUTS」なのだが、データベース上は「THE NUTTY HOUSE」となっていたりする。
多重人格をテーマとしたコメディで、12人というのは主人公の別人格。
ガンマンとか曲芸師とか、次々と姿を変えるのが売り物だが、正直言ってパッとしない。
おっさんのコスプレを見ても嬉しくないし、メイド衣装のトレイシー・ローズ(「美女とエイリアン」)のほうが見た目にマシって気になってくる。
タイトルどおり12人格かは、数えてないので不明。
ジム・キャリーが、いかに優れた才能の持ち主かが実感できた。
エイミー・ヤスベックのコメディエンヌぶりは、悪くないのだが。
フィルバートとネイサンは双子の兄弟(スティーヴン・カーニー2役)。2人を持て余した母親はネイサンを捨ててしまう。
月日は流れフィルバートは大統領の座を狙う政治家となるが、ネイサンは多重人格者として施設に収容されていた。
画面上ネイサンの姿が次々と変身するが、あくまでネイサンの心理上の姿で、周囲には変わらずに見えているという設定がなされている。
序盤は療養施設を舞台にして、ベタなギャグをこれでもかと連発する。努力は買うけど、ちっとも笑えない。
兄と再会すれば多重人格が直るかもしれないという医師の勧めで、ネイサンは一時退院の許可を申請するが審査中に変身したため却下。
ショック療法にかけられそうになるが、移動寝台ごと表に飛び出して、そのまま脱走。
たまたまぶつかったのが兄フィルバートの自家用車で、引きずられてネイサンは兄の邸宅に到着。
フィルバートは寄付金も横領する悪徳政治家、メイドのミス・トレス(トレーシー・ローズ)とは浮気中。
生真面目な慈善家の妻ダイアン(エイミー・ヤスベック)とはうまくいっていない。
ネイサンは邸宅に潜り込んで兄を探すが、妻も使用人もフィルバート本人と思い込む。勘違いしたミス・トレスも頂いちゃう。
とにかくネイサンの奇行で慈善テニスも長官とのディナーも滅茶苦茶。全部フィルバートのせいになる。
ついでに毎度おなじみ鏡ネタも披露。
ようやく弟が原因と知ったフィルバートは激怒、精神病院に連絡する
お約束通り連れて行かれるのはフィルバート。
入れ替わったネイサンは、慈善活動に寄付をしてダイアンも大満足。
なぜか真相を知るミス・トレスはフィルバートの脱走計画を練る。
フィルバートは洗濯物に混じって脱走、ネイサンが主催しているパーティに潜り込む。
会場でパイ投げが始まり、ターミネーターに変身したネイサンは、ショットガンでパイを発射してフィルバートを粉砕。
結局、救護員に連れ戻されたのは、やっぱりフィルバート。
長官は、バカげたディナーでアメリカの食事の無駄を表現して飢餓救済を訴えたのだと勝手に納得、ネイサンを次期大統領に指名する。
正体に気づいたダイアンも、性悪なフィルバートよりマシと言い出す。
ネイサンは、他の人格たちに別れを告げるのだった。
最後は大統領になったネイサンがホワイトハウスで病気再発って、もうどうでもいいや。
後半はピーター・セラーズの「チャンス」をパクッたって印象も受けたが、全体に凡庸。
長官夫人役で「死霊のかぼちゃ」のステラ・スティーヴンスが出演しているのだが、出るだけ無駄と思えるほどの端役。
余談=脚本には奇妙な偽名が並んでいるが、正体は「スパイダーマン」「死霊のはらわた」のサム・ライミ監督、「死霊のはらわた」シリーズのブルース・キャンベル、「死霊のはらわたU」の脚本や「フロム・ダスク・ティル・ドーン2」の監督・脚本を担当したスコット・スピーゲル。洒落のつもりなのだろうが、作品の出来栄えを見ると、恥ずかしくて本名が出せなかったんじゃないかと思えてくる。
12人のイカれた男たち