原題 ; A LIFE OF NINJA(1981)
 監督 ; リー・ツォー・ナン
 脚本 ; チャン・シン・イエ
 音楽 ; ウォン・ムー・サン
 出演 ; チェン・カン・タイ、ヤン・ホイ・サン、倉田保昭
現代を舞台に、実業家暗殺を企む忍者たちと、それを阻止しようとする元忍者の戦いを描いた作品。
くの一は一応出てくるが、部隊というのは登場しない。
レディニンジャ/セクシー武芸帳」と同じ監督の作品だが、中途半端にシリアスでハチャメチャな展開のない分、こちらの方が劣って見える。
オープニングは「ロッキーのテーマ」をパクッた曲に乗せて日本忍者の特訓が紹介される。この場面のメインは女同士の泥レス。どこが忍者だ。まあロック・クライミングとか水上の角氷渡りとか、それらしいのもあるが、いずれにしても「風雲たけし城」レベル。
で、ストーリーはイガ忍者がカフウ忍者に勝利、杯が交わされ忍者界は統一された、という場面から始まる。なんか仁侠映画の手打ち式みたいな絵づら。
一人の女が殺され、彼女を愛人にしていた実業家チャン・ミン・フーに嫌疑がかかる。
彼の妻は、夫の乱行にあきれアル中気味。チャンは娘婿として会社を継いだのだが、事業を独裁していた。妻の妹サン・シ・メイ(ヤン・ホイ・サン)は剣道の達人だった。
女の殺害に忍者の毒が使われていたことから、リー警部は忍者に詳しいチャウ・ハン・ウェイ(チェン・カン・タイ)の話を聞く。
チャウとシ・メイは剣道をきっかけに愛し合うようになっていく。
シ・メイの取引相手サン・チャイが殺される。額に釘を突き刺されるカットでは、顔写真が使われている。さらにチャンの運転手、色仕掛けに引っかかったボディーガードも毒殺される
一度はチャンの依頼を断ったチャウだが、シ・メイに暗殺予告のあったことからチャンのボディーガードを引き受ける。
実はチャウも忍者で、父はイガ忍者に殺されていた。師匠タキギも、十年後イガの首領オカダ(倉田保昭)に殺された。
娼家に日本人忍者が泊まっているとの情報に警官隊が踏み込むが、あっさり逃げられる。
一方、忍び込んだくノ一がシ・メイに催眠術をかける。シ・メイは笛の音に操られチャウを殺そうとするが、チャウはこれを退ける。
チャンの椅子に盗聴器が仕掛けられ、書類には毒が仕込まれる。チャウは、これらを次々に看破していく。
チャウは、チャンを囮に忍者を誘き出す。敗北を悟った忍者は自害。残された符号から忍者の居所を知ったチャウは、ここを急襲。全員倒す。
全滅を知ったオカダは新たな忍者を送り込み、報復としてリー警部の部下を殺す。ここから登場する怪力忍者に扮しているのが、ワールド・レスリング・チャンピオンのウォン・キン・ミーという人らしいのだが、詳細な資料がなく未確認。
チャウは、プロレス技を使うこの忍者を苦戦の末、連続飛び蹴りで倒す。
リー警部とチャウは、逮捕したくノ一・イシハラをわざと逃がし尾行する。
つきとめたイガ忍者のアジトに切り込むチャウ。意外と人数が少なくて、すぐにオカダとの決戦になる。さすがにオカダは強く、チャウは死んだふりをして後ろから襲ったりするが苦戦。それでもどうにか勝利して黒幕を聞き出そうとする。
その時、オカダを背後から射殺して現れたのはシ・メイだった。父の残した会社を牛耳るチャンを排除しようと計画したのだ。
シ・メイは真相を知ったチャウに銃を向けるが、駆けつけたリー警部に銃を撃ち落され逮捕されたのだった。
「ザ・ガードマン」時代の古くさい犯罪ドラマに、無理やり忍者を登場させた印象を受けた。
ストーリー的にも弱く、ターゲット一人を最初に殺していれば、それで終わった気がする。
周囲の人間を無意味に殺し続ける意図が全く理解できない。本来の標的チャンを警戒させるだけに思える。
黒幕であるシ・メイが自分も狙われているように偽装するのも、これによってチャウがボディガードを引き受けてしまうので完全に逆効果。
いくら香港映画でも、基本となる部分は押さえて欲しい。(それともハチャメチャに徹するか)
忍者が名誉のために切腹したがるという設定も、日本人から見るとおかしい。
地獄のニンジャ軍団クノイチ部隊