原題 ; PSYCHOS IN LOVE(1986)
 監督 ; ゴーマン・ビチャード
 脚本 ; ゴーマン・ビチャード、カーマイン・カポビアンコ
 音楽 ; カーマイン・カポビアンコ
 出演 ; カーマイン・カポビアンコ、デビ・ティボルト、フランク・スチュワート
ブドウ嫌いのシリアル・キラー・カップルと、食人癖の水道修理工を描くおバカなブラック・コメディー。超低予算で演技も演出も二流なのだが、とぼけた可笑しさがあって個人的には憎めない作品。
ジョー(カーマイン・カポビアンコ)は、バーを経営しているが、その正体はシリアル・キラー。次々と女を殺していく。
四人目の犠牲者ダイアンは、シャワールームを舞台に「サイコ」の下手なパクリで殺される。ジョーは彼女を気に入っていたが、自分の大嫌いなブドウが好物だったため殺したのだ。
ジョーはケイト(デビ・ティボルト)と出会う。彼は彼女に恋をした。なにしろケイトはブドウが嫌いなのだ。
そしてケイトもマニキュア師にして殺人鬼だった。
二人は意気投合。ジョーが自分の正体を話すと、ケイトは同類と出会えて大喜び。お互い社会不適合者であることを確認する。
二人は同棲を始めたが、もちろん趣味はやめない。毒殺、チェーンソー、殺しのヴァリエーションを増やし、切断した足の前で仲良く自慢しあう。
一方、水道修理工のハーマン(フランク・スチュワート)は、変質者の食人鬼だった。
ある日、ケイトが出張でマニキュアに行くと、客の男はレイプ魔。逃げ出すケイトを森の中で押し倒す。ケイトは石を拾って男を殴り殺した。彼女は「つまらなかった」と感想を洩らして去っていく。
ジョーも殺人を続けていたが、以前ほど楽しくなくなり、愛に生きるようになっていた。二人が歌う下手なラヴ・ソング「サイコズ・イン・ラヴ」が妙に可笑しい。
一方、ハーマンは相変わらず客を食い荒らしていた。
ジョーの店にストリッパーが売り込みに来たが、ケイトが嫉妬したので殺して生首を机に飾る。
ケイトが2対1で殺しのスワッピングをしたいと言い出す。
ケイトがレズだと騙して、店のストリッパーニッキーを呼び寄せる。ケイトが刺し殺したが、復活して襲ってきた。ジョーが首を斬るが、何度も起き上がってくる。その度にジョーが猟銃を撃ち込む。
ついに結婚式を挙げるジョーとケイト。新婚旅行先では初めての娼婦殺しを楽しむ。
ケイトの殺しはエスカレート、ジョーにも殺しの喜びが戻ってきた。
だが、またしても倦怠期がやってくる。二人とも殺しをマンネリ化して感じ始めた。他人の殺しっぷりを楽しもうと「13日の金曜日」などスプラッター映画ビデオを借りまくる。ビデオテープなのに、なぜかフィルムみたいに引っ張り出して眺める二人。洒落たギャグのつもりなのだろうが、ハズしている。
バーの経営も順調で二人は最高の日々を送るが、流しが詰まってしまった。修理にやってきたのはハーマン。水道管には切断された指が詰まっていた。思わず喜ぶハーマン。
正体を知られたジョーは包丁を手にするが、ハーマンはピストルを持っていた。
ハーマンは取引を持ちかける。仕事が暇で死体が手に入りにくくなったので、二人が殺した新鮮な死体をよこせというのだ。
殺しには飽きたという二人。なんとハーマンはグレープ・ソースが好きだった。交渉は決裂、殺し合いとなりジョーとケイトが生き残った。
疲れて外食に行く二人。ブドウは嫌いだがレーズンは食べるジョーと、乾しブドウも嫌いなケイトが痴話げんかするところで映画は終わる。
ラスト・クレジットには「サイコリアン13」までのサブタイトルが紹介される。
全体に泥くさくてギャグもベタなのだが、ブドウ嫌いへのごわりが妙に可笑しい。
ゴーマン・ビチャードは、本作の主演三人を起用して何作か撮っており、日本にも「ギャラクシー・ジゴロ」という作品がビデオ発売されている。日本に紹介される作品の少ない監督だが、先日テレンス・スタンプ、エリザ・ドゥシェク、ビリー・ゼーンという顔ぶれを揃えたロマンティック・ドラマ「くちづけを探して」がWOWOWで放送され、健在ぶり(?)を示した。

殺人マニアック/サイコリアン