ミシェル・ルグラン作品(Vol.1)
ミシェル・ルグラン・オリジナル・サウンドトラック作品集
MICHEL LEGRAND/JEAN-PAUL RAPPENEAU

CDアルバム(国内)
ミシェル・ルグランが担当したジャン=ポール・ラプノー監督作品「城の生活」(1965)、「コニャックの男」(1970)、「うず潮」(1975)の音楽を集めたオムニバス盤。
ライナーノーツによると、「城の生活」は、オリジナルが6曲入りのコンパクト盤で、今回の収録はテーマ曲を再録音版に差し替え、未収録曲を2曲追加している。
「コニャックの男」は、オリジナル・アルバム16曲から10曲を収録。
「うず潮」は、オリジナル・アルバムの全曲が収録されている。
「城の生活」は、カトリーヌ・ドヌーヴとフィリップ・ノワレの共演によるノルマンディー上陸前夜を舞台にしたラブ・コメとのこと。
1曲目「メイン・テーマ」はハープをフューチャーしたルグランらしい美しい曲。
2曲目「鳥のさえずり」は鳥の鳴き声(口笛か?)をフューチャーした楽しい小曲。
4曲目「城の生活」はピアノ・ソロから次第にオーケストラがテーマを奏でていき、後半はスリリングな情景音楽になる。
6曲目「オマハ・スウィング」は軽いジャズ・タッチで、この作品ではちょっと異彩を放っている。
「城の生活」の曲は3分を超えるものがなく、どれも小曲といった印象。
「コニャックの男」は、ジャン=ポール・ベルモンドとアニー・ジラルド共演によるフランス革命を背景に描く冒険ラブ・コメらしい。コスチューム・プレイということで、クラシカルで華やかな曲が多い。
9曲目「コニャックの男のテーマ」は、宮廷音楽を思わせる華やかな曲。ライナーノーツによるとルグランお気に入りの1曲らしく、コンサートでメドレーの中に本曲が加えられていることが多いとのこと。
12曲目「共和国の賛歌」は勇ましいコーラス曲で、作詞はラプノー監督自身。
14曲目「貴族のギャロップ」は、テンポの速い楽しい曲。
18曲目「エピローグ」ではテーマがフル・オーケストラにより優雅に演奏される。
「うず潮」は紹介ページに掲載済みの作品。そちらには国内盤サントラのジャケット画像を掲載しているので興味のある方は覗いてみてください。
19曲目「うず潮」では全編にわたって演奏されるテーマ曲が奏でられる。
20曲目「カラカス」はギター曲で始まり、オーケストラによるテーマを交えながら巧みに情景を描いていく。
21曲目「ギターよ届けて」は劇中歌のヴォーカル曲でマリアッチ調の楽しい曲。ちなみに24曲目「クンマラ・ベッラ」と26曲目「ノック・オン・ウッド」もヴォーカル曲。
23曲目「オペラ・ブッファ」は無声映画の追跡シーンの曲を、ぐっと華やかにした印象。ヴォーカル曲と、この曲、そしてジャズ調の28曲目「マラカイボ湖」以外には全てテーマのメロディが織り込まれている。
特に27曲目「マルタンと海」は広がりのある美しい曲としてアレンジされている。
時代背景はそれぞれ違うが3作品とも基本的にラブ・コメということで、明るい曲調のものが多い。
29曲収録だが、短めの曲が多いので全体のランニング・タイムは65分程度。もう何曲か「コニャックの男」の曲を収録できたんじゃないか、という気もする。

栄光のル・マン(LE MANS;1971)
アナログ盤アルバム(国内輸入)
スティーヴ・マックィーンが製作・主演したレース映画の快作。渋い作りが災いしたか、本国では評価されず日本でのみヒットした作品と聞いたことがある。
収録曲は6曲と少なく、ランニング・タイムも約30分と短い。
1つのトラックで、メドレー風に曲の変わっていくものもある。
曲には効果音、セリフが含まれている。ビデオのなかった時代で映画の雰囲気を偲べるものとして、当時はこういった形式のサウンドトラック盤が多く発売されていた。映画音楽のファンとしては、ちょっと微妙な心境だった。
A2「ファースト・ラップ」も、場内アナウンス、心臓の鼓動、レース・カーの爆音が臨場感たっぷりに収録されているが、曲自体もダイナミックな演奏となっている。
B1「デラニーの休息〜最終ラップ」は3つのパートからなっており、中盤にスティーヴ・マックィーンとヒロインを演じたエルガ・アンデルセンのセリフが入る。後半はデッド・ヒートのエグゾースド・ノイズと、それを伝えるアナウンスがメインで音楽がよく聞こえなかったりする。
B2の「群衆の中の顔」はペギー・テイラーウッダードによるヴォーカル曲。2分足らずの短い曲だが、なかなか美しいメロディを持っている。
ちなみにA3「恋の迷い(射的場で)」もヴォーカル曲だが、あまり印象的ではない。作詞はどちらもアラン&マリリンのバーグマン夫妻。詳しく調べていないので、よく分からないが、当時この夫妻が作詞した映画主題歌って多かった気がする。
B3「フィナーレ」はB2のインストゥルメンタル・ヴァージョン。こちらは4分半近い演奏で、じっくりと盛り上げていく。