札内岳沢を繋ぐ苦難の雄峰
2002.8.14〜15/単独
1895M/1902M
「ピリカペタン沢〜札内岳〜札内JP〜エサオマントッタベツ岳〜エサオマントッタベツ川」
札内岳は、日高山脈中部に位置し、大きな山容を過去何度も眺めた遠き山であり、札内川源流でもあるこの山は、過去、労働災害及び雪崩遭難で犠牲となった多くの命をのみ込んだ経緯もある。
念願の縦走経路は、戸蔦別ヒュッテ横のピリカペタン沢〜札内岳〜札内岳JP〜エサオマントッタベツ岳〜エサオマントッタベツ川を下る1泊2日の単独山行である。
中札内から拓成の戸蔦別川沿いに小さな一軒茶屋を見ると、林道入口に十勝幌尻岳標識がある。
戸蔦別川右岸沿いの林道に入り、農場を過ぎた林道に十勝幌尻岳への林道分岐を直進、左手に戸蔦別岳ヒュッテが建つ。
MTBを下山地点にデポと14Km程奥に進み、エサオマントッタベツ岳への標識に林道を左折、300m程右の広場に下山予定となるエサオマントッタベツ川口に自転車を置いて引き返す。
翌早朝、戸蔦別ヒュッテから歩き始めて林道崩壊地点を過ぎてピリカペタン沢に入渓、魚影を幾度となく見ながら要所のテープに高度と地図を見比べC810沢規模が同等の二股は、十勝幌尻岳への沢である。
二俣を右沢へとGPSで再確認しつつ、高度を上げると滝が出現するが高巻き道もあり、最後の落差50mの大滝も同様で慎重に巻くと源頭であり、長かった孤独感の強い沢終点で水補給する。
木々が覆う細い凅沢越しに札内岳から派生する稜線を見上げ、長かったピリカペタン沢に別れを告げると、札内岳カールは低木の草木が茂る。
勾配が強く沢のペースも良かったせいか、背中の水量が足にこたえると、踏跡をかすかに見ながら辛抱の辛い時間帯が続く。…一歩が重い!!
強い陽射しに喘ぎ、広いカール斜面の右手稜線から頂稜部へと左手方向に変える。
ハイマツ帯尾根へと上がり、札内岳東側稜線に飛び出ると大展望が突然広がり、程なくテント2張程度の三角点標石がある札内岳頂上である。
長かった沢筋と辛かったカール越しに十勝幌尻岳を感慨深く眺め、振り返るとエサオマントッタベツ岳・幌尻岳・春別岳・カムイエクウチカウシ山等の大パノラマ、札内岳JPへと続く藪稜線に再び気が引き締まる。
過去、この札内岳の頂きに立つ事を夢に見て単独で立つこの瞬間の喜びに思わず「やった」と大声で叫び、思い入れの強かった高所を味わう。
ハエと会食後、「一人歩きの北海道百名山」SA氏が苦戦した札内岳JPへと踏跡を確認しながら、ハイマツ漕ぎに脛と腕が痛く、この藪漕ぎが日高だと思う。
SA氏と同様のチャレンジに後悔する弱気の時間帯もあるも進むしかないと尾根筋を忠実に歩く。
札内岳JPとエサオンマトッタベツ岳を間近に実感すると北東カールのテントが2張が小さく見え、入山して初めて人気を感じると、札内岳JP手前に北東カールへの下山標示テープがあり、程なく頂稜の札内岳JPである。
カムイエクウチカウシ山への稜線が魅力的と遠くなった札内岳を眺め、幾度となく名前を聞いた札内岳JPの実感が嬉しい…音のない空間に時間が止まる。
@ ピリカペタン沢の最後の50m滝
A 札内岳頂上から十勝幌尻岳
B 札内岳から札内JPへの稜線
C 札内岳頂上
D 札内岳JPから春別岳方向
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