その2


 翌朝、ルートは幌尻岳を経て戸蔦別岳・1881峰まで足を延ばす循環コースへと山荘横の急斜面の樹林帯に入ると沢音が遠のき、日高特有の直登が始まる。
  高山特有の植生に高度感を覚えて、尾根筋のダケカンバ林向こうに戸蔦別岳の端正な稜線を望むと、分岐「命の水」に喉を潤すると清涼に活き返る。
 急登にハイマツのトンネルを抜けると稜線歩きに変わり、岩場に立つとカールを挟んで幌尻岳と戸蔦別岳の景観が雄大に展開する。
 ペースが速く疲労度も大きかったが、終始展望に優れる稜線は迂回、岩場とハイマツの起伏の少ない左手へと捲くと幌尻岳は近い。
 念願の日高山脈最高峰「幌尻岳」頂上に一番乗り!!広い岩場のどっしりとした頂上は雄大の一言である。
 頂きからは戸蔦別岳へと続く稜線が緑と青空のコントラストに映え、広大なカールは深く、大きな景観に山の良さを味わう。
 日本百名山の登山者の大半は、ここで帰路に着くが私は循環コースへと北東尾根へと向かう。
 幌尻岳肩部からの眼下には、七つ沼カール・戸蔦別岳を望む景観は、本州の山とは趣を異にし、百名山目的のみで幌尻岳から引き返す登山者には、幌尻岳の大きさを実感することがなく残念と思う。
 七つ沼カールを終始右手に眺め、300m程下降してコル部に到着すると、細い岩綾ピークが続きハイマツ根曲がりと格闘する。
 手足の擦り傷跡から血が滲む中、七ツ沼へと下降する分岐を過ぎ、戸蔦別岳への登りは足が重く、一歩々の時間辛い登りを頑張ると「戸蔦別岳」頂上である。
 静寂の狭い頂きから振り返ると、幌尻岳が大きなカールを抱え、山荘宿泊者が飛行機の上空からもその山容は人目につく大きさと、その形容の雄大さを実感する。
 1881へと急激に高度を下げ、岩稜稜線歩きからは、奥深き日高の名山が続くと1881峰は岩場である。
 頂きからは、北戸蔦別岳・1967峰等又正面には幌尻岳カールの大きさを眺められる。
 下山、1881峰からの登山道はハイマツの急勾配で一気に高度を下げ、笹原に変わると額平川に出る。
 靴を履き替えると徒渉でいきなり深みへドボン!!…これも実に気持ちが良いものである!!
 何回かの徒渉を繰り返すと、人もまばらな山荘に到着、沢を楽しんで下降すると再びの林道歩きである。
 大きな山だったと感慨深く想い返しながら、夏季の陽気の下に山行を終える。


@ 七ツ沼稜線から戸蔦別岳
A 戸蔦別岳から幌尻岳
B .1881Pから戸蔦別岳
C .1881から1967峰
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