その2


  本日のコースも長いと東尾根稜線の低ハイマツ帯に靴中まで濡れながら、岩場を混じりの幾つかの小ピークを越える。
 右眼下にAカールを見ると急激な気温上昇によりガスが沸き、ペテガリ岳肩部の北側稜線の右側へと笹原次いでハイマツを漕ぐ。
 派生稜線を西側へと越え、稜線直下の急峻草地に高度を上げ、ハイマツピークを越えると緩やかな尾根道越しに小広い頂上がある。
 ここがペテガリ岳と思わず拳を握る…東尾根完踏!!そして北海道100名山/118座中、100座達成の瞬間と岩に座り込み喜びに浸る。
 基本的には、単独山行を続けたが今春「北海道の山メーリングリスト」に入会、HP「一人歩きの北海道百名山」SA氏野塚岳と知床岳の貴重な山に同行させて頂き、日高の山に対する自信も形成された結果、今回の単独縦走になったと清々しい頂きから、先週の1839峰の鋭峰を眺めて無限の空間を過ごす。
 ここが思案のしどころ!!西尾根を下ると153Kmの自転車又は東尾根を引き返せば車と温泉…再び未知への挑戦と西尾根へと強い陽射しに一気に高度を下げる。
 C1540から樹林帯に入り、笹原のC1240コルはテント場適地であり、振り返るとペテガリ岳の高い山容は、東尾根とは正反対に丸みを帯びた優しい景観の違いに気が付く!!  
 アップダウンが果てなく続き、C1200以降の高度を上下歩きに真夏並の太陽が高く暑く、眼下遠くには東の沢ダム調整池の緑色が鮮やかである。
 C1100を割ると樹林帯トラバース道を一気に下降、沢音が聞こえ、沢筋に出て頭から水を浴びる。
 左岸沿いに砂防提を見ると、明るい広場には新しく清潔なペテガリ山荘が建ち、人気のない階段に腰をかけると時間が止まった空間がここにある。
 裸で昼食後、下山経路である神威山荘へと向かい、ペッピリガイ沢川右岸の林道が河原状態から細くなり、対岸の草地小広場にかすかな踏み跡が続く。
 渡渉してクマザサから沢筋に入り、幾つか右手から小沢が流れ込むが左手へとテープ標示で確認しつつ、枯沢から急登に足を滑らせると628P南西300m程の笹尾根を反対側へと下る。
 再び沢筋に入ると序々に水量も多くなり、沢筋の三股を左手へと高度を落とし、渡渉を繰り返すも難しい箇所もなく、沢筋2本が合流するシュオマナイ川を見ると、広河原の対岸に林道を確認できる。
 シュオマナイ川は、流れが速く深く又水量も多く、幅も広くて、2日前に大学生GPが大雨で増水した沢筋を6時間も眺めたのが実感と登山靴で渡渉し、林道を踏みしめて20分程で神威山荘に到着すると自転車がポツンと健在である。
 再び人気のない山荘階段に座り、無事下山できたと感慨深く思い返し靴下をしぼりながら入山してから人に会っていないと煙草の煙が流れ、ここにも時間が止まった静寂空間がある。
 さて私の自家用車はと…153Km離れたペテガリ岳東尾根のポンヤオロマップ岳登山口の彼方にあり、時間的に余裕があるも神威林道を暗くなる前に抜けたいと自転車に跨る。
 山里の長閑なサラブレッドを眺めると自動販売機がある…ジュースを片手に遊ぶ3人の子供!!ふと思う…お金の記憶がないとザックをひっくり返すも1円もない……信じられなく茫然!!結局その日は、浦河町の公園噴水前にテントを広げ予備食のパンで食いつなぐ!情けない
 3日目:0230出発!!浦河沖のイカ漁の漁火が横に並んで情緒があり、半分居眠り状態でペダルを踏み、野塚岳・オムシャヌプリを見ると登りが続く…道路脇で横になると熟睡…明るい朝だ!!…120円のジュースが飲みたい…お金お金と念仏を唱えながら道路端に目が奪われる。
 野塚トンネルの自動車爆音の恐怖を味わい、豊似・大樹そして尾田を過ぎるとゴールの実感と油断したのか通過ぎてしまい、道端の小母さんに尋ねるとここは上札内だよ…思わず座り込む!!
 「疲れた顔をしてるねと…トマトを小母さんが差し出してくれる」…涙が出て食べるのに時間がかかり、ひもじかった喉がまぶしかった…本当にありがとう。(小母さんには車回収後に尾田農協の粗品で御礼)
 最後の林道にペダルを踏むと我が愛車がひっそりと…ゴールだ!!
 大きな山行を無事に予定通り終える事ができた喜びに浸り、日高山地は雄大としみじみと実感、帰路に着きながら少々無茶だったかと後悔もする。
@ 1573Pから早大尾根
A ペテガリ岳頂上
B 西尾根からペテガリ岳
C ペテガリ岳山荘

 
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