ソエマツ岳 藪尾根の遙かなる山
      
2003.08.06〜08/GP
                   
1625m

神威山荘〜神威岳〜1468P〜ソエマツ岳〜ソエマツ西肩JP〜南西尾根〜ソエマツ川


 ピリカヌプリ・ソエマツ岳は、長大な日高山脈の南日高に位置する1600m級の憧れの山である。
 この頂きに立つには、難度高い沢ルート又は熟達者による積雪期に辿るのが通常であるが、そんな技術もなく、HP「一人歩きの北海道百名山」のSa氏が、北海道百名山118座完頂へ最後の一山となったのが、遙かなる山「ピリカヌプリ」であり、昨年より同行のお誘いをいただく。
 Saさんは、人格は勿論、私の山に対する羅針盤的存在であり、昨年に野塚岳〜十勝岳/知床岳のテント泊にも同行させていただき、今回で3回目のパーティである。
 今回の山行が最も厳しいが、Saさんの綿密なる山行計画に何のためらいもなく承諾して3泊4日の準備を整える。
 縦走計画は、神威岳からソエマツ岳を経てピリカヌプリへの尾根一筋によるルートで、エスケープルートも2本検討された緻密なものである。
 成果は、台風10号の北海道接近が予想され、山行日程が1日足りなく又ピリカヌプリ登頂の野望に燃え、縦走尾根の連続する濃密な藪と激闘したが、体力も尽きて結果はソエマツ岳のみとなった記録である。
1日目 三石温泉で今年2月の大滝クロカン大会以来お会いするSaさんと合流し、神威山荘への林道途中に「添松林道」標識からゲートを抜けると、地図よりソエマツ川沿い林道終点は500m程奥に入っている。
 神威山荘から3年前に辿った景観を思い返しつつ、シュオマナイ川の沢筋歩きにSaさんのリュックから香しい焼き立てパンの香りが漂い、情緒豊かな函館の都会派は持参する食料は違うと…尾根取り付きで水を7L弱補給しているとSaさんのリッュクの香りの原因は、唯一の缶ビールが破裂してシュラフが飲んでました。
 残念顔のSaさんが、汗を吹き出す急登連続のビールの香りに私はホロ酔い気分…3泊4日の重装備がこたえる時間が続き、国境稜線に上がり勾配も弱まり、神威岳頂上に辿り着いて2人だけの広い頂上部にテントを張り、ソエマツ岳等の山座標定に日が暮れるも天候悪化が心配である。
 2日目 山ではいつも睡眠できないSaさんの体調が気になる早朝、歩いて行けそうな雲海上に1839峰、昨年秋にペテガリ岳東尾根から西尾根そして自転車で153Kmを走ったペテガリ岳等果てなく遠望される。
 振り返ると初めて山容を認識したピリカヌブリとソエマツ岳が遠く、長大な縦走路を目で追うも容易ではないと朝食を押し込み前進開始である。
 本日の計画は、今後の天候悪化予想によりソエマツ岳を経由して、ピリカヌプリを夜間歩きになっても目指そうと、Saさんの後に付き、ソエマツ岳中間点の1468Pへと藪漕ぎ開始すると大きく勾配を下げた鞍部彼方に1468Pと奥にソエマツ岳の威容が望まれ、遠いと一気に高度を下げて振り返る神威岳が鋭い。
 神威岳から高度を280m程下げた鞍部以降の尾根歩きは高低差は小さいが、藪が濃密で距離が稼げず時間が流れるも1361P直下には鹿道もあり多少助り灌木帯を抜ける。
 1361Pは、テント地積もあると1468P方向を眺めるも、樹木に覆われた手前ピークが見えるだけで、再び藪へと前進すると1468P手前の細い稜線歩きに、短い時間ではあるが私は快適と楽しむも、Saさんは少し高所が苦手で慎重に渡るとソエマツ岳中間点のハイ松に覆われた1468Pであり、霧で展望はなく、この頂きまで小休止のみであったが3時間程を要している。
 方向変換点の1468Pからの下りは、神威岳からソエマツ岳縦走路唯一の草地斜面でお花畑も広がり、ここまで結構苦労した気分が解放されて、これから先は多少楽ができるかとSaさんと高所空間を短い時間味わうと最低鞍部、これから先が一層藪が濃くて、快適時間の反動にガックリと重装備に、背丈を越す灌木にもがきながら、Saさんより先行する場面もあるがお互い疲労の色が濃くなる。
 1397峰手前、ここで私の不注意でアクシデント発生!!左手岩場の下を通過時に足元の石の上の泥に滑り、左脇腹を岩角にぶつけ何やら不気味な音!!前方のSaさんにも響いたようで…最初に考えたのは自分の具合もあるが、Saさんの北海道百名山完頂の栄誉ある同行者としてのお誘いを受け、この計画を阻害する要因になってはならないと、心配顔をして下さるSaさんの後姿を必死に
追うも、重装備の藪漕ぎの動作毎に激痛の反復に足の方は快調だが、先行きの不安もあり精神的にも辛い時間帯が続き、どんな地形を歩いたのか不明状態でソエマツ岳西肩のテント場適地にやっとの思いで到着する。
 本当に辛かった!!Saさんも食欲が沸かない程疲労の色が濃いが、これから先の行程を考えて、無理矢理と食事を腹に押し込めながらピリカヌプリまでの時間経過を考える。
 ソエマツ岳西肩から目標のソエマツ岳へと草地の道筋に気を取り直すも、
直ぐに今まで以上の濃密な藪漕ぎに妥協はないと再び覚悟する尾根歩きにSaさんが「行程の時間配分と明日以降の天候悪化を考慮すると昼食場所の西肩に戻り、テント設営後、空身でソエマツ岳往復後、明日西肩からエスケープルートを下山」勇気ある適切な決心をする。
 西肩にテントを設営し、軽くなったリュックで濃密な藪漕ぎを抜けて、ソエマツ岳直下手前の細尾根歩きに突然、霧の間隙に本峰が姿を見せ、感激の一瞬である。
  結果的にはこれが良くなかった!!威容ある高く聳えた頂上部まで岩稜が点在する高度感に、Saさんがピリカヌプリへと向かうなら、何が何でもソエマツ岳頂上に向かうがと…冗談はと誘うも、後髪を引かれる思いで頂きへと向かう。
 鞍部へとハイマツ帯に高度を落として、岩稜帯を慎重に抜けると狭い頂上部には標石があり、テント2張も可能であり、ピリカヌプリ方向斜面へのハイマツに標示テープを初めて見る。
 一人の頂上は淋しいと、慌ただしく頂上を後にしてSaさんとテント場に戻り、明日の下降尾根をGPSでも確認して疲労感の濃い体をテントに潜り込む。
 台風10号に低気圧が刺激されて、夜半から明日は雨予報で、沢の増水量はと横になるも、肋骨が痛くて寝返りも大変で、テントが風で暴れ雨も時折混じり、Saさんは昨晩も不眠で、今晩も風に悩まされ大変と思う私も、流石に明方までは眠れなかった。

添松林道から神威岳と1468P稜線
神威岳から夜明けのソエマツ岳
神威岳から中ノ岳とペテガリ岳と1839峰遠望
1361P方向から神威岳
縦走経路の藪(写真下方にSa氏の青いリュック)
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