その2
  


第2日目 快晴…テントを撤収し重装備状態で緩やかに南岳へと噴火口外輪沿い稜線の深いハイマツ帯に高度を上げるに従い、硫黄岳と周囲のピークの迫力が迫り、南岳頂上は小広く振り返るとテント場の二ツ池とその向こうに羅臼岳が遠くに雄姿を見せて念願だった縦走気分を堪能しながらテントを干す。
 知円別岳へは、外輪山コースから南側へと登山道が離れ、落ち着いた雰囲気の平坦コル部には花等が見られ七月上旬には「シレトコスミレ」が見事であるとの事、傾斜が一気に強まり稜線に出ると過去噴火を繰り返し大量の硫黄を山麓へと流した黄色い火口跡と谷筋の索漠とした景観が広がり、知床岳と北方領土の高山が点在する。
 知円別岳直下の急斜面ザレ場を横切り、両側が切れ落ちた白い火山灰稜線を過ぎて岩場にルートを探しながら岩峰を超えると1550ピークで眼前には硫黄岳が弧高の感で岩塔の高さを誇る。
 分岐点にザックをデポし、硫黄岳頂上直下の急登を左手に回り込み、ザレ場の岩場は非常に高度感があり、不明確なルートを探しながら緊張した直登を続けると広い頂きには高山植物も咲く硫黄岳頂上であり、快晴の青空に北方領土の雲海に浮かぶ頂きと連山に知床岳・オホーツク海・知床五湖そして遠くに羅臼岳と縦走した緑の峰々の一大パノラマが広がり、念願だった縦走末の頂きに立てたことに感謝する。
 急峻な岩場を下降して、分岐点から硫黄川の谷筋沿いに高度を下げて、雪渓が現れると谷筋からの稜線を越えの笹道・根曲がりを繰り返し、辛抱の時間が続くと突然展望が開けて熱気・蒸気の噴き出す樹木のない噴火口地帯である。
 夏の陽差しが強い登山道を序々に高度を下げると、左手眼下の谷にカムイワッカ川と渓流露天風呂の観光客が眼下に小さく見え、登山道が直角に折れると待望の林道に出て長い下り坂も終わり…ここに縦走終了である。
 深い山間部の林道に程なくカムイワッカ湯の滝バス停があり、沢山の観光客が往来するが一番最初の壺に入り、長年の夢であった縦走後の温泉に浸り、念願が叶ったと枯れ枝等が混じる自然美の醍醐味を楽しむ。
 夏季の短期間に一般車両通行止めによるバスが運行され、便は少ないが岩尾内温泉経由もあり、車中に揺られる。
@ 知円別岳尾根から硫黄山
A 硫黄山への稜線
B 硫黄山
C 硫黄山から羅臼岳
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