ピリカヌプリ トヨニ岳          その1  
  夢を運んだ美しい山
2004.05.1〜2/複数 写真集へ

野塚トンネル〜豊似川左股川上二股南峰東尾根〜トヨニ岳東峰〜トヨニ岳〜ピリカヌプリ(往復)  


 ピリカヌプリ・トヨニ岳は、長大な日高山脈の南部に位置し、ピリカヌプリとは「美しい山」である。
 冒頭にこの頂きへの経緯について触れたい。
 北海道新聞社と山と渓谷社発刊の「北海道100名山」を合わせると118座ある。
 私の尊敬する人間味溢れたSa氏「一人歩きの北海道百名山」の118座目未踏となった山が「ピリカヌプリ」である。
 夏ルートは、難易度の高い沢を辿るのが一般的であるが、私にもそんな技術はありません。
 以上の経緯から、昨夏にSa氏から118座目完登へとピリカヌブリ山行の栄誉あるお誘いをいただき、神威岳・ソエマツ岳を経由してピリカヌプリを目指しました。
 体力勝負型の凄まじい尾根筋の薮漕ぎの末、ソエマツ岳にて台風10号接近に緊急下山となり、Sa氏そして私の野望は散りましたが、今回は春山での再挑戦にて何とか二人で感動のピリカヌプリの頂きを踏む事ができ、無事下山をした記録です。
 1日目:登山口の野塚トンネル十勝口から川沿いに降り、ポン三の沢川495の二股を目指し、川両側の雪面から沢に落ちないよう斜面を切ったり、木々に掴まりながら「早ヶ瀬トンネル」出口の博清橋が見えると495上方の二股で水流が多い。
 トヨニ岳東峰への尾根取り付き点となる二股へと長靴に履き替えて渡渉するが、冷たい沢水が長靴の中に…足がしびれる。
 530二股に1時間程で到着、みぞれ混じりの空模様も安定し、尾根筋への斜面は笹藪面積が広く雪面が点在する。
 明確な尾根筋に上がると残雪が続き、773で一旦緩斜面となる上方のC890への尾根南側には樹木が続く。
 重装備が応える一定勾配の急登が続くが、順調に高度を上げるとSa氏が「あの沢筋からが一緒に歩いた野塚岳・オムシャヌプリ・十勝岳」と山座標定をする…懐かしい高峰である。
 トヨニ岳直下から濃霧に覆われる景観の中、積雪期のトヨニ岳一般ルートである南尾根の高度感溢れる稜線に登山者が遠望され、相互の「こだま」が深く落ち込んだ沢筋に響く。
 1253P手前から更に細くなった尾根を西方へと方向変換すると、トヨニ岳東峰が高い。
 東峰への尾根筋南側には、疎林の灌木が続き高度感ある急登であるが気持ちの余裕ができる。
 濃霧に包まれた東峰からトヨニ岳へ続くナイフリッジは、周囲景観が展望効かずとは言え、明らかに高度感があり緊張する。
 雪中に登山靴が埋まり比較的安定するが、曇り模様に足元が雪面に対して遠近感覚が薄れて妙に体がふらつきながら、先が読めないナイフリッジを一歩づつ慎重に渡り終える…ホッと溜息である。
 高度計では、トヨニ岳は眼前とSaが先に立つと狭く細い頂きが「トヨニ岳」(南峰)であり、雪面には本日の足跡の形跡はなく、順調な時間で刻んだ南峰の高所空間をSa氏と味わう。
 天候も回復傾向で、東峰から辿ったナイフリッジを眼下に次いで「北峰」が細い稜線筋に姿を見せ、ピリカヌプリへの厳しさを感じさせる高度溢れる景観が広がる。
 トヨニ岳(南峰)への一般ルートである南尾根からの登山者が到着する。
 本日のテント場へとトヨニ岳山頂から北峰へと高度を下げ、1432手前広尾根のテント場に程なく到着する。
 後着GPが北峰へと小さく消えていくのを眺めつつ、各人装備のテント設営と四周にブロックを2張り分積み上げる。
 更に2人GPが後着、Sa氏と旧知であり同郷のSai(函館の)氏が元気な顔を見せ、私の方は「群別岳」で偶然に御一緒した温和な健脚の持ち主で、近傍にテントを構える。
 深夜、明日の好天を予想させる雲海の広がりと月夜に浮かぶ北峰そしてピリカヌプリを初めて暗闇に眺め、厳しき山行と予感をしながら、山では寝付けないと言うSa氏と夜明けを待つ。

1日目 野塚トンネル(十勝口) 2日目 テント場
1時間05分  30分
尾根取り付き(C550) 北峰
3時間50分 3時間30分
トヨニ岳東峰 ピリカヌプリ
30分 3時間10分
トヨニ岳 テント場
10分 3時間05分
テント場 野塚トンネル(十勝口)
登り:ピリカヌプリまで登り :9時間45分
下り:野塚トンネル(十勝口):6時間15分

1259からトヨニ岳東峰  
トヨニ岳からトヨニ岳東峰と稜線
テント場 から北峰と稜線の登山者
2日目:早朝のテント場と北峰とピリカヌブリへの稜線 
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