冒険日記 2008

真谷地小学校の記念碑を求めて





路の先には川があるが、橋はご覧の通り。

だが、この先に小学校があったのだ。
進まなければ。



川を渡った先で、

なんとなく「路」と思われるルートが川の右側に続いていた。

一方、左手の橋の先を目で辿っていくと、山の上の方へと続いているではないか。
(写真左手)


…ここで私は、左手の山の上が小学校とは到底思えなかったため、
実は右手へ進んでいったのである。

方角としては合っているのかもしれない。

しかし、どこまで進んで行っても川の上流に向かっているだけ。

人ひとりいない森の中。

不意に押しつぶされそうな恐怖感が訪れた。
そして…直感的に路を間違えたのだと悟ったのである。

この時、私は初めて我に返り、更なる恐怖を感じたのだ。





そう…「熊」である。

今いる場所は、いわゆる「沢」ではないか。

沢とは、よく熊がいるような場所なのでは…

そして…自分はどこを歩いているのだろうか。
頼りとなるのは手にした鉄棒だけ。

無意識に、本能的に、鉄棒を急に振り回したり、ガンガン叩いたり。


そうしながら今来た路を戻ること数分、
ようやく先ほどの橋げたの場所にようやく戻ってきた。

橋げたの跡の先、左手へと伸びる坂が「路」だと仮定すると、
その坂は山の上へと続き、その先にはきっと何かがあるはずだ。



私は正直迷った。

先へ進むべきか、もう諦めるか。

しかし、ここまで来て「断念」と言う訳にもいかない。
まだ時間もある。
もう少し頑張ってみようではないか。

左手への坂は、どう見ても山の斜面にしか見えない。
ただ、かすかにコンクリートが見えている。

間違いない!この路だ!
この先に小学校があったのだ。

コンクリートの上によじ登り、路と思われる雑草と瓦礫の坂を進んでいった。



…路は右に曲がっている。

かつての生活の跡も感じられず、
森や林と化した街の中の路をひたすら進んでいくので、
くもの巣が顔に何度も引っかかった。

もちろん、周辺を見回して熊を警戒しながら。本当にそれが心配。




この坂がどこまで続くのか…

自分は何をしているのか…

ここで熊に遭遇したらどうするのか…

もし死んだら発見されるのかどうか…


そんなことを自問自答しながら。
実際、坂を進む途中、まだ新しい糞が落ちていた。

正直、背筋が凍りついたが、鉄棒を両手で握り締めて先へと進んだのである。


「昭和52年当時の真谷地2区」



つづく