放送11(制作12)
魔の山へ飛べ

台本名=「魔の山へ飛べ」
脚本=金城 哲夫/監督=満田 禾斉
放映日:1967年12月10日
宇宙野人 ワイルド星人
(身長/2.2m 体重/150キロkg 出身地/ワイルド星)

テンガロンハットの牧童・幸村を殺してなりすまし、岩見山の三合目付近にある噴火で出来た風穴洞窟に潜む。
そして、人類の若い命を収集していた。

宇宙龍 ナース
(身長/120m 体重/150,000トン 出身地/ワイルド星)

黄金色に輝くメカニックな宇宙龍は、嵐を告げる稲妻とともに地球へ侵入した。
そしてとぐろを巻くと黄金の円盤に変貌を遂げ、高速で回転しながら飛行する。

STORY
岩見山で若者ばかりが原因不明の変死を遂げるという事件が連続して発生した。
この調査にソガとダンが向かったが、このときにダンもまた、同じ被害者となった。
これは、老衰によって民族が絶滅に瀕するワイルド星人が、生命カメラで若い新鮮な生命体を写し取っていたためだった。
キリヤマ隊長の機転の利いた交渉によって、ウルトラ警備隊は星人よりそのフィルムとカメラを奪取し、苦慮の末に奪われた生命を肉体に再び吹き込むことに成功する。
フィルムの返還を哀願するワイルド星人は、切望を絶たれて「ナース」と呼ぶ宇宙船に向かう途中、「ダンのカタキ」とソガにウルトラガンで狙撃されて焼死する。
主人を失ったナースは円盤となってウルトラ警備隊に復讐するが、ウルトラセブンと死闘の末、身体をバラバラにはじき飛ばされて敗れ去る。

My Opinion
チャチい描写はところどころに見られるが、もしも地球人が同じ立場になったらどうするか?
同じように他の星へ行って若い生命を奪ってくるか、それとも人工的に若い生命を生成するか?
自分の星の滅亡を免れるためなら、他の星を犠牲にしても、それは道義的に咎められることではないのかどうか?など、議論のネタに出来そうなテーマである。
地球にもそんな時代がいつの日かやってくるのだろうか...?

ストーリには書かれていないが、生命カメラを奪ったかわりにソガがワイルド星人に捕らえられてしまい、お互いの奪還のため、キリヤマはワイルド星人と接触している。
このときワイルド星人はきちんとソガを返したのに、キリヤマはフィルムと偽って空の容器を星人に渡すという、けっこう姑息な手段を用いている。
まあ、中身を確認もせずに交換に応じてしまったワイルド星人の甘さと云えなくもないが、やはりダテに隊長やってるんじゃないんだな、と妙に関心もするし、かたやオトナのずるさを垣間見たワンシーンでもあった。

ダンの最後のセリフ「隊長、一度死んだら命がますます惜しくなりましたよ。」に対するキリヤマの「それでいいんだ、命は自分だけの一度きりのものだ。そう簡単に宇宙人なんかにいのちをやってたまるか。」には妙な重みを感じるのは私だけだろうか。

放送13(制作13)
V3から来た男

台本名=「V3から来た男」
脚本=市川 森一/監督=鈴木 俊継
放映日:1967年12月17日
宇宙鳥人 アイロス星人
(身長/ミクロ〜30m 体重/0〜13,000トン 出身地/アイロス星)

アイロス星人にはウルトラセブンの必殺兵器であるエメリウム光線とアイ・スラッガーは効かない。

STORY
アイロス星人の宇宙船が宇宙ステーションV3の防衛網を突破して地球に侵入した。
この攻防の際に部下を亡くし、地球まで宇宙船を追ってきたV3のパトロール隊長クラタは、士官学校以来の親友キリヤマ隊長と再会する。
その一方、秩父盆地でアイロス星人の宇宙船を発見して調査に出たフルハシ、アマギの両隊員はアイロス星人に捕らえられて人質になってしまう。
宇宙船の燃料を欠乏させていたアイロス星人はウルトラ警備隊に対し、固形燃料の供給を人質返還の交換条件として要求する。
燃料を差し出しても人質は返さないだろうから交換に応じない方がよいと論するクラタと、部下の命には替えられないと主張するキリヤマとで意見が対立するが、結局キリヤマはウルトラホーク3号に乗り、ひとりでアイロス星人のところへ向かう。
固形燃料を云われたとおりに差し出すと、卑劣なアイロス星人は案の定攻撃を仕掛けてきた。
ダンはウルトラセブンとなり人質を救出し、ウルトラビームやアイ・スラッガを跳ね返すアイロス星人を、新兵器のワイドショットで撃墜する。
逃げるアイロス星人の宇宙船を、キリヤマ・クラタの名コンビがホーク1号・3号の連携攻撃で撃破した。

このあとクラタはホーク2号で再びステーションV3へ帰って行くが、キリヤマは司令室でひとり、無線にてクラタと交信を交わす。
その姿を見て隊員たちは、大人の男の友情をそこに見るのであった。

My Opinion
「いいハナシじゃないか」と思える、やはり持つべきものはよい友人だよ、というメッセージ性の高いエピソードである。
ふたりはそれぞれ部下を持つ身となり、指揮官としての意見が対立してしまうが、キリヤマののピンチにクラタが駆けつけるシーンなどはなかなか心温まる。
ウルトラセブンのワイドショットはこの回が初出であり、映像からはそれがかなりの威力であることをうかがわせる。


放映14(制作17)
ウルトラ警備隊西へ(前編)

台本名=「U警備隊西へ」
脚本=金城 哲夫/監督=満田 禾斉
放映日:1968年1月7日
侵略宇宙人 ペダン星人
(身長/2m 体重/50kg 出身地/ペダン星)

シルエット姿のペダン星人は、物体A内の円盤に潜む。

宇宙ロボット キングジョー
(身長/55m 体重/4.6万トン 出身地/ペダン星)

ペダン星人の巨大ロボット。
アイ・スラッガもエメリウム光線も効かない。
頭・腕部の物体A、胸部の物体B、腰部の物体C、脚部の物体Dが合体する。

STORY
[前編]

六甲山の防衛センターで防衛会議が開催されようとしていた。
この三ヶ月前、
地球防衛軍ワシントン基地は観測ロケットを発射していたが、それを侵略と誤解したペダン星人は、会議に出席するために来日する各地球防衛軍基地の科学班チーフを、報復として次々と暗殺していた。
この事件に、ウルトラ警備隊は捜査を開始。
防衛会議の最重要人物となる、ワシントン基地の女性科学者ドロシー・アンダーソン博士を護衛するため関西へ向かう。
しかし彼女はすでに、来日途中の船上でペダン聖人に誘拐されていた

一方、ウルトラ警備隊は不審なサングラスの外国人を確保する。
この男こそがペダン星のスパイかと思われたが、実はドロシーの護衛をしていた秘密諜報部員マービン・ウエッブだった。
そしてマービンは、いま護衛しているドロシーはペダン星人が化けた偽者だということをウルトラ警備隊に伝える。

そのころ、防衛センターにペダン星人のスーパーロボットが来襲、ウルトラセブンが迎え撃つが...。


放映15(制作18)
ウルトラ警備隊西へ(後編)

台本名=「U警備隊西へ」
脚本=金城 哲夫/監督=満田 禾斉
放映日:1968年1月14日

STORY
怪ロボットを誇示したペダン星人は、ドロシーの姿でモロボシ・ダン隊員と協議して地球防衛軍の真意を確認した。
そして地球を撤退する約束の証しに、本物のドロシーを解放するが、ペダン星人によって完全に記憶を消されていた。
美しい地球に魅せられたペダン星人は侵略者の本性を現し、第八銀河系の彼方から宇宙船団を呼ぶ。
そのうえ神戸港をふたたび怪ロボットが襲撃、立ち向かうウルトラセブンはまたもや苦戦を強いられる。
しかし、ついに記憶を取り戻したドロシーは土田博士とともに"ライトンR30爆弾"を製造、スーパーロボットの破壊に成功する。
こうしてペダン星人先発隊は全滅、地球攻撃に飛来した宇宙船団も引き返していくのだった。

My Opinion
特撮ギャラリー」も別ページで発表しているのでまずはご高覧あれ。
これを書くに当たってDVDを視返してみたが、前後編として尺を長くしてあるわりには、細かなところでいろいろとアラが見つかるなあ...って感じだった。
前編のクライマックスでは、ウルトラセブンはロボットにマウントを取られてしまい、いかにもセブンは力尽きてしまうような描写だったが、なんとか脱出したセブンは、ロボットに脚払いを喰らわせて仰向けにひっくり返す。
実はロボットは転ぶと自分では起きられないという、なんともショボい造りだ。
動けなくなったロボットは、また四つの物体に分離して逃げていってしまう。
ウルトラセブンは、なぜそれをここで叩かなかったのか。
いかに超兵器が効かない素材だったとしても、小さくなった物体ごとに叩き落とすとかすれば、ふたたびロボットは現れることもなかったろうに。

一方、ダンとドロシーに化けたペダン星人が神戸港で会話をするのだが、あれだけの宇宙船団を発進させるにはペダン星人としてもそれなりの人件費とコストがかかっているだろう。
それを立ち話で取り決めた結果であっさりと撤退としてしまう強引さに脱帽。
ペダン星人にだって、意志決定の権限はいろいろと分かれているだろうに、ドロシーに化けた星人は上申なしで意志決定できるほど偉い立場なのか?
そんなに上位の者が、先発隊として地球に報復をしに来るというのがどうも納得できない。

はたまた記憶を消されてもどされたドロシーだが、アンヌの介抱によってあっという間に記憶が戻る。
そのうえあれだけ強靱なロボットを破壊できる唯一の兵器であるという「ライトンR30爆弾」を、ほんの数分で造ってしまうのだ。
その間、セブンは神戸港でずーっとロボットと格闘している。
当然のことながら、その間ダンは行方をくらましているが、そんなことにはだれも気に留めない...

...とまあ、突っ込めばたくさんアラはあるが、ウルトラセブンが唯一自力で倒せなかった相手ということで、見ごたえとしては充分。

この回だけ舞台が神戸なのは、当時の番組提供だったタケダ薬品が大阪にあったため、そのからみでという商業的な事由らしい。
また、この前後編のみ、ウルトラセブンのスーツアクターを「帰ってきたウルトラマン」を演じた菊池 英一氏が演じている。
そのため、ファイティングポーズがいつもより腰高で、カラダ全体もいつもよりスリムに見えるというのもフリークの間では有名なエピソードである。


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