『大連からニーメンハオ!K』


工藤 裕子


 ニンハオ。大連に住み始めてすでにニヵ月がすぎた。十一月に入っても、
昼間はうららかで、朝晩はぐっと冷え込むという日が続いている・・・が、
最近、突然(なんでもある日突然就是中国)一日だけドカッと大雪が降り、
皆あわてて電気毛布&あんかを買いに行ったのは言うまでもない。    
 けれど、この中国製電気毛布、使用前には一抹の不安がある。聞くところ
によると、中国人口十二億のうち、毎年三人位は感電死しているとのこと。
(あくまでもうわさ)。無難なところで五十元位のものだと、とりあえず安
心して寝られるらしい・・・が。                   
 留学生の中には十七元の電気毛布を使用している勇気ある方もいる。彼女
は中国人朋友に連れて行ってもらって買ってきた。今のところ没問題。なか
なかしっかりと暖かい。安全を確かめたところで、私も買いに出かけたが、
残念ながらもう売り切れてしまっていた。               

  この時期、港の近くの服装市場に出かけるとおもしろい。ダウンジャケッ
トやセーターなど、値段も手頃だし、(値切りほうだいーとびきりの笑額で
せまってみるとなかなか効く、)けっこうオシャレな物がおいてある。夏は
 閑散としているが寒くなってくると各種いろいろな衣服や靴などが出はじめ、
みんな冬に備えて買いに出かける。                  
 暖気(スチーム)は十一月中旬(十六日)頃から入るらしい。しかし、夜
は十時まで。昼間は消されてしまうようだ。北側の部屋は日光が当たらない
ので本当に寒い。ベストは五階から三階の南側。            
 暖気は五階からおりてくるから五階はものすごく暖かいが、二階一階は寒
い。                                
 けれど、五階四階は水がしょっちゅう(常常)でなくなるというおまけ附
 き。最近特に停水が多く、頭を洗っているときにぶつかってしまったら最悪、
みんなの助けを借りて洗面器一杯の水でなんとかするしかない。ラッキーな
ことに、私は一度もぶつかっていない。こういう時に備えてやはり各自バケ
ツに水をためておくのが鉄則。                    

  だんだん寒くなり、心細くなりつつあるがみんな元気に生活している。街
の中山広場では相変わらず社交ダンス愛好会が繰り広げられている。こちら
の人は男性同士でも、女性同士でも、二人ずつ組んで、腰や肩に手を回し、
すごくまじめな面持ちでステップをふんでいる。このダンス、初めは入って
いくのに勇気がいるが、やってみるとなかなかおもしろい。こちらにきて思
ったことだが、自分が楽しいと感じることーこれが一番。下手でも何でもO
K。若者もそう若くない方もみんなで踊っている。老人節の時、ご老人達の
表演を見に連れていかれた。おせ辞にもけっしてうまいとはいえない歌を、
鼓膜もはりさけんばかりに歌ってくれた。本人たちは、とても気持ちよさそ
うだった。それを見ていた私たちも、なんとなく気持ちよかった。    
 人間が素朴なのが、中国が好きな理由のひとつ。           

  十二月になりました。大連も長い秋が終わり本格的な冬到来といったとこ
ろ。今日もまた雪がちらついて、留学生楼の間にある池もしっかり凍ってい
ます。路上では、ほくほくとおいしい焼きイモが売られ初めました。大きい
の一本で二元くらい。こういう時はやはり暖かい話でもしましょう。   
  ここ中国にも日本でいう“しゃぶしゃぶ”というものがあります。“火鍋”
といい個人個人小鍋で食べます。広い店内は鍋の蒸気で暖かく体を芯から暖
めるには、これからの季節鍋が一番。こちらの人は夏の間、上半身裸になり
食べてましたが、冬はさすがに脱がない。日本のとちがう所はやはりお肉の
種類が豊富といったところでしょうか。                
 とり肉、豚肉、牛肉、羊肉、からはじまり、うさぎ肉、ヘび肉、鹿肉、と
なんでもあります。ひととおり野菜とお肉を食べおわったところで、よくだ
しのとれたスープに面条や米飯を入れ最後は雑炊にします。お腹いっぱいた
べても一人四十元くらい。                      

   ほんのたまにですが、栄養をつけるために食べに行っています。ふだんは、
学校の近くの市場で面条を食べることが多く、おすすめは雲呑、日本でいう
ワンタンで、一碗二〜二・五元。あとは肉絲面、大排面、炒面、なんでもあ
り、何をたべても、あまりはずれることはないのですが、作る人の気分によ
 り時にしおっぱかったり、味がなかったり・・・市場ですませようと思うと、
二元からせいぜい高くて六元くらい。                 
 あと、中国にもありました焼きぎょうざ。“鍋貼児”といい日本のよりお
いしい。皮はもちろん手造り、日本のより皮自体厚く焼き具合といいカリカ
 リという歯ごたえといい、言うことなし。機会があったら、一度お試しあれ。
 季節の変わり目は日本でもそうでしょうが風邪が流行してませんか。体調
にお気をつけてお過ごし下さい。                   
 では また、再見                         
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