『中国語放送受信のススメ』弐


中野 耕市


(前号よりつづく、)                        
 ・・・ところで前置きが長くなりましたが、ラジオによる中国語放送の効
用について考えてみましょう。中国語に限らず外国語を学習する場合、一般
に「話す、聴く、読む、書く」の四要素をバランスよく学習し、しかもそれ
 らが自然と身に付くのが最も理想的な学習法といえるのではないでしょうか。
それには実際にその外国語が話されている国や地域に留学したり住んでみた
 りするのが最も手早いのでしょうが、だれでもそうできる訳ではありません。
また日本にいながら外国語を学習する場合、身近にその外国語を話す人がい
ないとか、昼間は仕事で忙しいとか、外国語に触れる環境を作りにくいもの
ではないでしょうか。ラジオによる中国語放送は、毎日主に夜や朝に放送さ
れていることが多く、しかも短波が受信できるラジオ(SWと表示がある)
を用意し、窓際において付属のアンテナをいっぱいに伸ばして、周波数をあ
わせれば割合簡単に受信することができます。短波ラジオは、小さいもので
はカセットテープのケースほどのものがあったり、録音もできるものもあっ
たり、ほとんど一般のラジオ(NW・FMと表示)とほぼ変わりません。ま
た値段も一万円前後から七万円程度で小学生でも頑張ればお小遺いで買える
程度ですし、昔は面倒だったダイヤル合わせも、現在では電話番号のように
周波数の数字を打ち込んでやると簡単に受信できるようになっています。さ
らには海外旅行に持っていけば、NHKによる国際放送を通じて、日本から
の情報を日本語で聴くことができます。短波ラジオによる受信は、テレビの
衛星放送を受信することと比べてみても、はるかに手軽であることがおわか
りいただけるでしょう。しかも内容も、ニュースはもちろん、音楽番組、お
便りコーナー、放送劇、語学講座など多彩です。            

  つぎに短波の中国語放送を使った学習法を考えてみましょう。ラジオ放送
ですから、当然「聴く」ことが中心となります。入門者にとっては、初めは
スピードが速く、ほとんど聞き取れないかも知れませんが、聞いているうち
に知っている単語やよく使われる単語などが聞き取れるようになってくるは
ずで、生の中国語を「聴く」のによい教材になります。また中・上級者にと
っては、当然その国の最新のニュースや情報、ニュースに対するその国や地
域の立場や考え方を知ることができます。放送局によっては、番組表や周波
数表を無料で郵送してくれるのですが、その資料を請求する際中国語で書け
ば「書く」機会をつくることができますし、さらにはお便りコーナーやリク
エスト番組にも投書してみるのもいい練習になるのではないでしょうか。も
ちろん自分の投書がいつ放送されるのかと神経を集中させるので「聴く」練
習になります。番組表や資科はほとんど中国語で書かれているものが多く 
〈繁体字を使用しているものもあります〉、「読む」練習にもなります。残
った「話す」については、自分でメッセージをカセットテープに録音して郵
送したり、放送局が設置した留守番電話を利用したりすることによっても練
習することができますし、放送局によっては事前に連絡があればリスナーの
放送局への訪問を歓迎してくれ、直接アナウンサ−やDJとお話しすること
も可能で、やはり「話す」機会をつくることができます。        

  上述の様にラジオで中国語放送を聴くことにより、日本に居ながらにして
中国語に触れる機会を作ることが簡単にできるわけです。しかし、ここでち
ょっとお断わりしておかなければならないことがあります。それは短波放送
は国外からの電波であるため、放送局によっては雑音が多かったり、混信し
たり、電波が強くなったり弱くなったりして、ひどい場合は全く受信できな
くなったりしやすいということ。それから季節や時刻により電波の伝わり方
が変化するため周波数がしばしば変更になるということです。各放送局のス
ケジュール(今年一月現在)については、茶館『隗』さんに預けてあります
のでお問い合わせください。                     
 また新しく得られた情報(番組表や周波数表)については、パソコン通信
ニフティーサーブの「ラジオハウス(FRADIO)の第四及び第七会議室
(MES4/MES7)や第四デ−タライブラリー(LIB4)に提供して
います。電子メールによるお問合せは、                
   JCH02235@niftyserve.or.jp(中野)  
まで。                               

  最後に普通の(中波用)ラジオしかお持ちでない方ヘ。午後八時にダイヤ
ルを1089kHZ(参考・HBC函館局の900kHZより上方)にあわ
せてみてくだざい。函館にいながら遼寧人民廣播電台が放送している日本語
講座を聞くことができるはずです。                  
 お試しを!                            
 つぎに中国語放送聞き取りに役立ちそうな参考図書をご招介します。  

○漢語研究会一九七三                        
  『「北京放送」聞き取りの基礎記録新聞』             
                龍渓書社              
○林俊男・山本賢二 一九八六                    
  『中国の放送を聴くための 中国語知識』(第四版)        
                大学書林 2987円        
○井坂孝雄一九八六                         
  『中国語放送聞き取り実践教室』                 
                 金星堂 1700円        
○劉士勤・彭端情 一九九二                     
  『新聞聴力基礎』(簡体字)                   
            北京語言学院出版 1400円        
      以上。                         
(函館出身・埼玉県富士見市在住 中野耕市)             
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