『北京新空港で考えたこと』


妹背 幸男
 
 十二月七日から十四日まで、友人六人と北京・天津の旅に行ってきました。
連日好天に恵まれ寒さも厳しくなく各地でそれぞれ大歓迎を受け楽しくて快適
な旅が満喫出来ました。北京は九十九年五月以来です。新しく作られた空港に
降り立ちそして一週間後そこから飛び立ちました。            
 新空港の印象は「凄い、凄げー」に尽き、到着時も出国時も随所で周囲を見
回し流石は広大な中国、新空港は今後の発展、将来を見据えて随分広くそして
最新の設備が整い立派だと感心感嘆の連続でした。            
 旧空港の狭くて常時混雑し喧噪と無秩序な雰囲気とは雲泥の差で、関西、成
田空港よりあらゆる面で優れていると思いました。            
 日本の援助金で建設されたと聞き「成る程」関西、成田のノウハウを最大に
生かした集大成と納得したのです。                   
 最先端を行くこの空港は日本の援助金三百五十億円が投入されたと知りまし
たが私は初耳でした。土地が無料?(国有)で安い人件費、国産の資材だから
出来たのでしょう。日本でなら十数倍以上の建設費が必要で有った筈です。 

 到着した時は手荷物受け取りに時間を要する程度ですぐに外に出ますから、
新空港の設備を見聞する範囲は限られます。               
 しかし出国は二時間前に来て、搭乗手続き、出国審査、免税店、休息など空
港に滞留する時間や施設の利用度は入国時より遥かに多くなります。帰国時に
新空港の殆どを見ることが出来ました。免税店も広く、何箇所もあり販売員も
笑顔で出国者に対応し元や円を吐き出させています。十数人で満タンであった
喫茶店も昔の事、広く明るい空港を一望出来る中日鮮洋のカフェテリヤや、 
(コーラ35元、冷麺60元等超高い)喫茶店も点在し小姐も気味が悪いほど
愛想が良くなっていました。                      

 中国は新空港完成時に盛大なレセプションを開きましたが、日本の援助には
触れず、中国の国威のみ強調したそうです。これに対して日本側も抗議した結
果「この空港は日本の協力で完成した」旨を記した「銘盤」を作り空港内に掲
げる事で双方も合意しそれを実行したと言う話です。しかしそれは目立つ所に
は無く、誰かが中国語が話せて空港職員に掲示場所を尋ねても彼らは、「不明
白」(わかりません)と答えるだろう。彼らも知らないから。「親睦は可能でも
理解は難しい」そんな言葉を実感した今回の中国旅行です。        
 国は別として、私たち六人にとっては、十分な親睦、交流、理解もできた心
温まる旅でした。                           

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