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2日目
The education practice inside story
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6月1日
教育実習2日目
自身に授業がないため、気分は晴れやかである。
土曜日は半ドンのため、生徒も早く帰れる=俺たちも早く帰宅できる。
しかしながらしばしは待機していなければならない。
昨日「早々に帰った実習生がいた」と教師陣から注意がきた。
「放課後はクラスに行ったり、部活動見学等、生徒とのコミュニケーションをはかるのに使って欲しい」
とのことである。
コミュニケーションねぇ。俺には縁のない言葉だ。そもそもこの教育実習、ただ「教員免許」を取る一環として来てるだけで、さらさら教師になる気はないわけで。とっとと何事もなく終わらしてしまいたい、と言うのが俺の本音である。
本気で教師志望しているハルやザワ、バヤシから見るとそうとう「やる気無し」に見えるんだろうなぁ。

予鈴が鳴るのは8:50。この時間に実習生は大体揃っている・・・・・っておや、ミチヨがまだ来てない。
9:00少し前に滑り込んでくる。
「生徒として学校通ってたときと同じ時間の電車で来ている」
そうだ。見事にぴったりな時間である。

さて、本日の俺の予定は。
1限目は担当が俺と同じバヤシの授業を見に行こう。他人の授業を見るなんて機会、あまりないし。
どうしても授業を「受ける」立場で見る授業と、授業を「行う」立場で見る授業では視点がかなり違ってくる。
「秋葉流」のシールが貼ってあるパイプイスと筆記用具を持って、バヤシに付いていく。
見学者は後ろのドアから入って座る。
プリント類が配られ、授業が始まる。
ほぉ、穴埋め形式か。
前に座る生徒のプリントをちらりと見る。
我々見学者の分のプリントは無論無い。経費節約のため、らしい。

ここでバヤシについて少し説明しておこう。
彼は今年塾講師歴4年になるという。話し方も貫禄も、そんな雰囲気を持っている。黒縁めがねをかけており、背も高い。付け加えると、太ってもいる。
バヤシは授業に行く際、クッキーの空き缶を持ってきている。
ディズニーのかわいらしいイラストの付いた缶。
似合わねぇ。
それはさておき、何に使うんだろう?と見ていたら、
「じゃぁこの質問には――出席番号8番の人に答えてもらおう。」
缶から8番のカードが引かれている。
ああ、なるほどね。
ちなみに答えた人は、次の質問の回答者を缶から引くことができる。
手が込んでるねぇ。
ゲーム要素があるから生徒ののりも良い。
ただ、やはりうちの高校だけあって、
「え、またあたし?もしかして狙ってやってない?」
「絶対○番引いてやる」
なんぞという闘争心にあふれた(?)一面もあったが。

流石現役塾講師のバヤシは板書や机間巡周も手慣れている。
―――が。
「ここテストに出るからね」
『何年に何があった』という板書を指してそう言う。
バ、バヤシ、お前がテスト作るわけじゃないだろう
いいのか、そんな言い切ってしまって。
どうにも塾的な「テストに出るもの覚えさす」やり方になっているようだ。
そして机間巡周。
生徒とのコミュニケーションや授業の緊張感を適度に保つために行われるのだが、これもどうも。
質問して答えてもらう生徒のすぐ隣に立っている。端から見ていてもかなりの圧迫感。生徒の心中や如何に。
授業途中でチャイムが鳴る。時間切れのようだ。
久方ぶりに塾っぽい授業を受けたな。

2限は3年時の担任の授業を見学に。
事前に許可を取らなければならないので、休み時間中に先生の所に行き、許可を得る。
そして数人で教務室から先生が出てくるのをドアの前で待つ。
・・・・・出てこない。
先生が「授業時間始まってるから」と戻ってきた
あれ、もしかして。
教室に行くとき振り返ると、やはりそうだった。
教務室は2面が廊下に面している。その一方で自分たちは待っていたのである。道理で先生が出ていったのに気が付かなかったわけだ。
3年生日本史の授業である。入っていったらまず各々自己紹介をさせられた。
「3年の時先生がクラス担任でした」
と言ったらクラスが沸いた。やっぱり身近な話題だと反応がいいねぇ。そしてある生徒が「それかわいそー」と。先生は「そんなこと無いわよ」と笑って返していた。
授業内容は丁度日清戦争・日露戦争の辺りである。
授業のやり方も相変わらず変わっていない。
生徒達の気が逸れていると、急に声を大きくしたり、使用しているプリントが穴埋め方式で、資料プリントにはマンガ日本の歴史からの抜粋が載っていたりして。
懐かしいなぁ。
思わず「生徒」として聞いてしまった。
今日本史は授業進(深)度について改革を行っているらしく、ごたついていると言っていたが、全然授業にそんな感じは受けなかった。やっぱり先生なんだなぁ、なんて当たり前のことを思ったりして。

授業聞き終え実習生控え室に戻る。
壁に日めくりカレンダーが飾られていた。
手書きである。
冷や汗かいたまるっこいおじさんが「あと○日」という日めくりの紙を持っているものである。
実習終了日までのカウントダウン。
制作者ミッチー。
いいなぁこの雰囲気。
全然緊張感がない(笑)。
流石に今日は日直日誌に昨日の注意がかかれていたのですぐに帰る人はいない。
各々授業の教材づくりをしている。
雑談中でた会話。HRの参加や放課後の部活見学の事である。
あ、忘れてた。
HRは2回とも出なくてはならない。そして勿論事前許可も必要である。
先生探してこないと。
HRは自分の受け持ち授業のうち好きな方に出ればよい。俺の場合CかF。Fの先生は全く面識がない。Cの方は俺が3年の頃赴任してきた体育教師である。
こちらは覚えているが、向こうは一生徒なんざ覚えていないだろう。
よし、Cの方に決定。
探せども教員室に先生がいなかったため、こちらは月曜日早めに来て頼むことにした。
後は部活の方だ。
自分の頃と活動日が変わってなければ月曜日にやっているはずだ。さて、こちらは、と。
たぶん家庭科準備室にいるんだろうなぁ。
教員室内うろうろしてたら、とある先生が親切にも内線を回してくれた。
ありがとうございます。
「月曜日に部活見学したいんですが、よろしいでしょうか。」
「大丈夫ですよ。でも、前半は合宿の打ち合わせで、後半はチーズケーキだけど、一緒に作る?」
うーん、食いたいかも。しかし。
「いえ、教材準備もあるので、前半だけでお願いします。」
商談成立(違)。
たぶん今も活動内容変わってないんだろうな。
家庭部。
それは名ばかりで、別名調理部とも呼ばれていた。つまり、cookingの方しかやっていなかった。品目も少なかったしねぇ。

約束取り付けたので控え室に戻る。
何人かが既に部活見学に出かけたようだ。
「流何処行ってたの?」
「月曜日家庭部の見学の許可もらってきた。」
「いいねー。あたしも行きたいって言うか食べたい。」
「ミチヨも行けたら一緒に行こうか」
以上、卒業生ミチヨとの会話。
誰かが、
「黒板に放課後の予定書いておこうか。そしたら誰が何処に行くかがわかるし。」
賛成。
そんなわけで時間割及び諸注意についてが貼られただけの黒板も、活用されるようになった。

ミッチーが画用紙に絵を描いている。
朝顔の葉。紫陽花。
さらさらと輪郭を書いていき、次々と色が塗られていく。
鮮やかな手並みである。
「上手いね」
「ありがとう」
生物の授業で使うらしい。
ミッチーは常に白衣着用である。何で?
「先生が「学校にいるときは白衣を着るもんだ」って。」
あー、確かにあの先生何時如何なるときも白衣着ている。
彼女曰く、「スーツも汚れないし、動きやすいから以外に合理的」とのことだ。
また、授業見学の際は「座るのはmemo取るときだけ」・・・つまり90分立ちっぱなしである。その担当曰く、「教師が立っているんだから実習生が立つのは当たり前だ」だそうだ。
そんな話を聞くと厳しい担当なのかと思ったが、実習前打ち合わせのとき、夜遅くなったからと車で送ってくれたり、明日日曜日に自宅で作っている作物を見に来い、迎えに行くから、と言うようなことがある、ユニークな教師らしい。
類は友を呼ぶ、というと本人達に怒られそうだが、ミッチー自身も非常に楽しい人である。
大学入学後、「今しかできないから」と言ってスキンヘッドにしたり、彼氏に「俺達絶対将来結婚しないから模擬結婚式やろう」と言われ実際に挙げてみたりetc.その種の話は尽きない。

この日は大体17時頃に皆学校を出た。
ソウだけは本日も用事があるとかで、割と早めな時間に帰っていった。

よし、明日は休みだ!


教育実習
少し環境になれてきた

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