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介護等体験実習・知的障害者施設編
The education practice inside story
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知的障害者施設編
2000年12月4日
介護等体験実習1日目
6:50起床。一寸起きるのが遅くなってしまった。飯食って7:15には家を出る。
場所はS区のK工房というところである。知的障害者の施設、という漠然とした説明しか受けていない。
この日は俺にとって災難だった。まぁ、自分が原因の事ばかりではあるが。
ここの施設は用賀の駅からバスも出ているが、環状8号線沿いに歩いていけば50分くらいで付ける場所である。その為、徒歩で行こうとした。
然し、俺としたことが、いつもなら必ず駅周辺地図を確認してから行くのに、今回に限って其れをしなかった。おかげで道に迷う 。遅刻厳禁な時に限ってこの失態である。行けども行けども目印になるはずの太い道路に行き当たらない。20分くらい歩いて、「もしやこれは間違ったか?」と思ったものの、交番もないし地図もないし人も通らない。見事に住宅街の方に入ってしまったらしい。
そのまましばらく歩くと、何故か前方に土手が 。その施設周辺には川なんかない。これはもしや多摩川ではあるまいか 。土手沿いに、上流と思われる今まで進んできた方向に走って戻ると、背後に高島屋を従えた二子多摩川の駅が 。・・・・どうやら俺は思いっきり道を間違えた挙げ句、一つ前の駅までぐるっと大回りして戻ってきてしまったらしい・・・・。
既にこの時点で8:45をまわっていた。集合は8:30。しかし近くに電話がない。仕方ないので、再び電車に乗り、隣の駅の用賀へ。駅でようやく電話発見。かけると「其処からだと30分くらいかかりますねぇ。ではそのように伝えておきます。」との返答。穴があったら入りたい、ネジがあったら巻き戻したい、とは正に今の心境だったよ・・・・。
その後、バスに乗って施設手前のバス停に到着。そしてここでも迷う。この辺りに関しては、周辺案内地図を貰っていたにもかかわらず。まぁ、施設の看板の前に自動車が止まっていたから見逃していたといえばそうだけど、それにしても・・・・。
そこを通り過ぎて、明らかに地図とは違うのを分かってはいたが、さっきのとこにはなかったし・・・・と更に混乱。そんなとき、家の前で花の手入れをしていたおばあちゃん発見。しめた。道を聞くと、さっき通ってきた道を指し示している。・・・・何事も落ち着いてやらなきゃならねぇ、ってことかな。
俺がようやく着くと、さっき止まっていた車は姿を消していて、「K工房」と書かれたとても見やすい 表札がかかっていた・・・・。
その日午前中は施設の説明及び施設利用者とともに作業。昼はそこで作られている、飯食って、午後は午前と同じに作業。これを途中一回休憩挟んで15:30迄。その後利用は帰りの会をやって16:00に俺らは彼らを見送り、その日の日誌を書かされる。
この日はなんだかもう、かなり疲れた、というのしか覚えてないや・・・・。


2000年12月5日
介護等体験実習2日目
今日こそは遅刻しないぞ、っていうか、今日遅刻したらまじでまずい。
6:30起床、7:10家出、16分の電車に乗る。まずい。この電車じゃ等々力の駅に着くのが36分だ。そんで20分おきに一本しかないバス(これ逃すと完璧遅刻になる)発車が36分。駅とバス停は徒歩で2分くらい。間に合うのか、俺?
電車に乗るとすぐに、改札口に一番近いドアの前で待機し、ドアが開くと同時にダッシュ。切符を手に装備し、自動改札に挑みかかる。そこで事件が起こった。
普段は定期使用の為、切符のサイズに慣れていなかったので、自動改札に切符を突っ込もうと思ったらうまく入らず、スリット入口に置いてくる形になってしまった。当然、改札の扉は閉まる。しかし、俺が通る前に誰かが通っていたらしく、まだドアが開きっぱなしで上手い具合にドアが閉まる前に通り抜けられた。脚に一寸かすったが、まぁ気にしない。時間がないのでそれを無視して走り去る。御免よ、駅員さん。でも切符は置いてあるから大丈夫だろう。
途中の信号も勿論無視。交通事故さえ引き起こさなけりゃいいのさ。目前には既にバスが止まっているのが見える。走れ俺、止まるな俺。
かくしてなんとかバスに遅れず乗れましたとさ。

本日の作業も昨日と同じである。
まだ説明していなかったが、ここの施設は主に「知的障害者であっても、自分のことはある程度自分で出来、社会的に働きたい人がくる場所」である。すると、彼らが行うのは勿論仕事。シュレッダーにかけたもの(緩衝用)を袋詰めしたり、封筒の宛て名張りだとか、そういう簡単なものばかりであるが、仕事な為、勿論工賃も貰っている。俺らは彼らと共に作業をし、それをサポートするのである。・・・・老人ホームに行く実習生なんかに比べて割にあわねぇよなぁ。
作業中は普通の人だとよく、作業の面倒臭さを紛らわすために無駄口叩く。でも、利用者のなかには其れによって作業に集中できなくなる人もいるそうなので、馬鹿話さえ出来ない。疲労度倍増。
食事と昼休憩には1時間15分取られている。この時間は、出来るだけ「利用者と接触してあげてください」らしいが、俺は疲れてんだよ!ということで、ずっと更衣室の椅子に座って寝てました。悲しいが、こんなとこしか静かにしてられないんだよぅ。
若い利用者は会議室でカラオケ、高齢な方は和室で休憩しているそうだ。
因みにここの作業スタッフは5人、利用者は22名(18〜56歳)である。今回の実習生はうちの学校7名、他校が2名の計9名であった。
今日から行事の一環であるイルミネーション見学の始まりだそうだ。毎年行っているようで、夕方ごろから新宿へ繰り出すらしい。新宿・・・・最近行ってないねぇ。この時期は虚しくなるから行きたくないが。


2000年12月6日
介護等体験実習3日目
今朝は余裕を持って行けてよかったよかった。
さて、本日も作業。昨日に引続き、ヤンキーキャンドルの箱だし・箱入れ。ヤンキーキャンドルというのは高さ5センチくらいの円筒状の色・香り付きキャンドルである(一個200円也)。かなり匂いがキツイ。輸入物であるので、9個×2段の箱から一個一個キャンドルを出し、裏返してトレーに入れ、輸入元シールというのを利用者に張ってもらって、シールがはみ出していないか・個別包装に破れなどの不良品はないかというのを職員が検品し、それを再びもとの箱に仕舞っていくのである。
非常に忍耐力を問われる(俺は)。このキャンドル、色々種類があるようで、昨日までのは匂いがきつく、かなり胸焼けがしていたのだが、今日のはそこそこましだった。クリスマスシーズン間近だからねぇ。
それと今日は買い物補助もした。利用者が牛乳・コーヒーを近くのコンビニに買いにいき、領収書をもらい、買った報告と帰宅の電話をするのの手伝いである。とは言ったものの、俺が付き添った子は結構シッカリしていて、殆ど自分で出来ていたので、ただ横についているだけでよかった。くぅー、楽だったなぁ。
毎週水曜日はきぬた会というのがある。HRみたいなものである。今回はルールについてやっていたな。そのあと、時間が余ったらというので、俺らの自己紹介させられた。何で、こんなことを俺が・・・・。 利用者を帰らせたあと、俺らは今日も日誌書きである。とはいっても、これだってもう3日目となればささっとかける。16:00から書きはじめて、殆どの人は20分くらいで書き終わっている。後は、担当者がくるのを待つばかりである。然し、昨日・一昨日もそうだったが、17:00少し前にならないとこない。会議なんかがあるそうだ。ったく、早く帰らせろよぉ。


2000年12月7日
介護等体験実習4日目
明日よはーやく来い。あーもー疲れた。何でこんな事授業休んでまでしなきゃなんねーんだよ。
今日は先ず俺他3人は近所の公園に清掃。一人が一人の利用者とペアになって行う。まぁ、一寸寒いけど中にこもって作業しているよりはましか。利用者とスタッフ一名及び掃除用具は車で行き、俺らは徒歩10分かけて行った。この公園清掃は区からの請け負いで、やりたい利用者を募って行っているらしい。
落ちているねぇ、葉っぱ。ゴミ自体は殆ど無く綺麗だったが、落ち葉は掃けども掃けどもなくならねぇ。いっその事、木自体枯れちまぇって思ったね。途中休憩前に、俺が組んでいた人が「タオルを落とした」と言いはじめた。その事を気にしていて、作業が進まない。俺が落ち葉を掃き入れるための袋を、利用者は持っているだけなのだが、其れも疎かになる。仕方ないので、「後で探しましょう」と言って作業に戻らせる。この事があった為に、休憩に入る前に、スタッフに言われて俺とその利用者だけ、落ちている(かもしれない)先程ゴミを拾って回った所をもう一度見て回ることになったのだ。
休憩は寒いのでワゴン車のなかで取った。計9名全員が、である。3人はシートに座っていたが、残り6名は後部に車座である。さぞ異様な光景であっただろう。
この後再び11:30まで作業をし、施設まで戻った。
食事をして、休憩。ここの食事、デザートが上手いんだよな。全体にヘルシーなのはいいが、量が少ないというのが難点だ。

午後は室内作業。今日の俺はシュレッダーしたものの袋詰め。これも利用者とペアで、俺が詰めて利用者がテープ止めをする、という流れである。座ってやるので割と楽だが、下に置いているおおきい段ボール箱のなかに材料が入っているため、中身の量が少なくなってくると、中途半端な前屈を繰り返す形となるので腰が痛くなってしまった。

今日も利用者の帰りを見送ったあと、俺らは記録。終えたあと、始まる雑談。誰かが利用者の一番自立している人(彼は時折集中力に欠けるというだけの為、一人での作業担当の方が多い)に聞いたそうだが、他の大学の実習生の話。とある体育大学は昼の食事がパンのとき、余った分を15時ごろの休憩中に食べ尽くしたため、食事代が赤字になったという。とある女子大は、お香詰めやキャンドルは匂いがきついため、「私達こんな匂いがきついの出来ません。他の仕事下さい」といったそうだ。それに比べて俺らのなんて偉いことか・・・。不平不満は一つも出してねぇんだぜ?
だから早くお家に返して下さい。(結局今日も解散は17:00過ぎだった・・・・。)


2000年12月8日
介護等体験実習最終日
漸く今日で終わりである。これさえ終われば、これさえ終われば(エンドレスリピート)。
情が移ったり、名残惜しくなったりすることは全く無いね。いっそ清々しい。
本日も午前中からシュレッダーしたものを袋に詰める作業。本当に、これって「介護実習」と言えるのだろうか・・・・?
昼飯食って、午後もまた同じ作業。隣では他の人達がキャンドルのシール張りをやっている。急ぎの仕事があるらしく、実習生のうちの何人かが引っ張っていかれた。・・・・急ぎの仕事をやらせていいのか?それじゃ全く利用者との接点が無いぞ?それにその仕事、速度的に完璧に健常者対象じゃん。
そういえば、ここの施設、毎週毎週介護実習生が来ていて、途切れる事ないって言ってたなぁ。その上、施設が出来た年って、確かこの忌まわしき「介護等体験実習」が国会に通った年だった・・・・と言うことは何かい。完全に実習生の力でこれらの作業は持っていると言っても過言ではないのかい。「介護等体験実習」が出来たおかげで、これに関する人々の雇用作出できた、という利点もあるのかもしれないが、それだけでは納得行かない。
ますますやる気失せるだけである。なんにしても、お香の匂いやキャンドルの匂い(既に双方「香り」という域を越えている)で充満しているこの部屋、どうにかしてくれ。

本日は実習最終日ということで、何故か利用者と別れるのはいつもより30分早かった。おかげで、非常に中途半端な別れとなった。すっきりしねぇなぁ。
この後俺たちは日誌書き。この時間に「討論」も含まれるそうなのだが、そんなん誰もしないって。バッシングというものなら多いにしていたが。
いつもと同様、ひげのおじさん・・・・もとい、担当者が遅くに来た。この人の話がまた長いんだ。俺らが一言言うと、必ず10倍以上になって返ってくる。それでも今日は、「感想」を述べなければならないので、一言ずつ言っていった。
やっぱり何言かはでたよ、バッシング。利用者に対しては出ないのだが、職員の俺らや利用者に対する対応についてが色々と。あからさまに雰囲気良くない奴も居たもんなぁ。
それはそうと、いつもより10分くらい遅くに漸く全てが終わった。終了証明証も貰ったし、早いとこおさらばだ。
今回の実習生同士で「打ち上げで飲みに行こう」という話が出ていた。基本的に俺はこういうのが苦手なので断っていた。それでも一応声はかけられるわけで・・・・。断る理由を探しつつ、目を横にやると、もう行ってしまったと思っていたバス(例のごとく20分に一本で、時間的には既に過ぎていたから)が目に入った。「バス来てるんでお先に失礼します」と言って、逃げてきた。たった5日の付き合いのやつらと飲んだって、つまんないじゃん。話のネタはあるけどさぁ。おそらく彼らはカラオケで「輪になって踊ろう」を歌うだろう。そして、毎朝作業に入る前にやらされていた、歌に合わせた体操をするに違いない・・・・。
バスに乗って、始発の祖師ヶ谷折り返し所から終点の等々力迄約55分揺られ、睡眠を貪り、等々力の駅から20分電車に乗り、漸く我が家に辿り着く。

今回の実習は「終わった、やり遂げた」という充実感はなく、「開放された」という感の方しか残っていない。「この体験で得たことを今後に行かしてください」と言われても、なにも獲得しなかったんだよなぁ。まあいっか。終わったことだし。


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知的障害者施設編


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