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anomaの粋酒酔音

(10)

VODKA:ウオッカなら生で。

 昨今、粗悪な密造酒で犠牲者続出といわれている酒、ウオッカ。

御多聞に漏れず「命の水」というズィズネーニヤ・ワダのワダ

ウォッカと呼ばれるようになったとのことですが、

発音としては「ヴォトカ」が近く、そういう表記も増えてます。

原料は麦などの穀物が主流ですが、

ジャガイモから砂糖大根、なかには牛乳や各種果物、

サトウキビの絞り粕etc。

要は、発酵、蒸留してアルコールになるものなら何でもOK。

でなければ、こんなに密造酒が出回わりません。

彼らにとってヴォトカとは単に蒸留酒、酒を意味する言葉にすぎないのです。

無色透明なのは白樺の炭で濾過するからですが、

樽熟や匂い付けのものもあって様々。

呑み過ぎを制御するために、

かのニコライ2世が40度に決めたという度数も、50度以上が登場。



ロシア東欧圏ではストレートで呑むことが多いので、

こういう規制も必要だったのでしょうが、

元々歯止めのきかない人たち。この傾向は続くだろうなあ。


 歴史は古く、11世紀にはポーランドで呑まれていたという説も。

白樺炭濾過が1794年なのだから、

まあ、それまでにはいろんな酒があったはず。

ロシアものの御多聞に漏れず、

世界に広まったのはロシア革命以後のフランスから。

それが今も名を残すスミルノフ

これをアメリカ亡命組のクメットが北米の権利を買い取り、

今では世界中で造られています。


 オーソドックスな【ストリチニヤ】【モスコフスカヤ】だけでなく

新顔が続々と登場しているロシア。

唐辛子入りの【ペルツォフカ】

コニャック・ブレンド【スタルカ】など癖玉もありますが、

それならポーランドの独壇場でしょう。

バイソングラスの香り【ズブロッカ】サソリ入りから金粉ウォッカ

あの97°という【スピリタス】だって

ジャンル的には(別にスーフリで悪用されたからではなく)その範疇でしょう。

そういえば【ショパン】なんてウォッカも。

変わり種ではミャンマーのハーブを使ったイギリスの【ブラヴォド】は凄い。

なにせ、真っ黒なんですから。

 もちろん旧ソ連邦のウクライナやベラルーシだって造ってますし、

エストニアのライ麦ウォッカ【サマネ】なんて、味わいは白酒です。



各国の総合酒造メーカーのほとんどが造っていると言っても

過言ではないほどポピュラーな酒なのです。

カクテルを採ってみても「ブラッディーマリー」「ソルティ・ドッグ」etc。

リスト制作が不可能なくらい。

「カミカゼ」「雪国」という和名の名作もあり、

最近はウオッカ入りの缶酎ハイも出てます。

ウォッカ・ベースのカクテルは膨大ですから、

それだけ需要があるということですね。

 それで15年ほど前にロシアで教わった飲み方を一つ。


常温のコーラを飲んだ後、

一気にウォッカを喉に放り込みます。

じっくり味わってはいけません。

すると胃の中でアルコールと炭酸が混ざりあい、

一瞬で体が温まるのです。



ウォッカとコーラの美しき出逢い。

西側と東側の見事な雪解け。

あの頃はまだお互いに青春、というかウブだったのですね。



(このコラムで紹介したお酒は、運が良ければANOMAで、飲むことができます。)

筆者:星川京児

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