お店のご案内

お茶のお話

お酒のお話
・今月のお酒
ギャラリー情報

BBS

リンク



mail

お酒のお話
今月のお酒


anomaの粋酒酔音

(11)


 焼酎雑感

 昨今話題の焼酎ですが、ここのところ種類が増えすぎて

なにが旨くて、なにがどうなっているのかさっぱり判りません。

昔は九州、沖縄を除いて醸造用アルコールの甲類がほとんど。

梅酒用のホワイトリカーの類ですね。

学生時代は寶の小瓶のお世話になったものです。

缶チューハイのノウハウはその頃培ったものでしょうか。

一時【純】【トライアングル】などワンランク上のものも出てきましたが、

いまは原料のはっきりした乙類が主流。

甲乙混ぜ合わせた混和なんてものもありますが、

サワー用を除いて、今は乙類でしょう。

 といっても、その原料も実に様々です。

サツマイモ、麦、米に、蕎麦や黒糖が

焼酎の定番ですが、変わり種が多い。

原料輸入物では、最古の酒とも言われるデーツ〈棗椰子〉も。

おたふくソースの甘味用だけではないのですね。

人参や紫蘇にコーヒー、紅茶、さては昆布に椎茸。

出汁は利いていそうですが、なんだかねえ。

どうせなら鰹や煮干し風味のものも呑んでみたい、とは思わないか。

およそ特産品といわれるものは総て焼酎になっているのでないでしょうか。


 手元にもワサビを溶かし込んだ?天城の【わさび酒】

傑作なのは牛乳焼酎の【牧場の夢】

なにより命名に感心してしまいます。

徳島の【阿波番茶酎】は上勝町の番茶。

残念なのは同じく名産のスダチを入れたこと。

柑橘が立ち上がることで、後発酵茶特有の

酸味をマスキングしてしまいました。

過ぎたるは〜の諺通り。

なかにはゴッホの描いたひまわり畑の種を使った

【ゴッホのひまわり】なんて変わり種もあります。

これはどこか朝鮮人参を思わせる不思議な味です。

ちゃんとプロバンスの協力を取り付けているから偉い。

ひまわりで町興しなのか座間の酒屋も粋なことをやるもんです。

 とはいえ、そのほとんどは、米や蕎麦焼酎に

果汁やエキスを溶かし込んだ一種のリキュールですが、

なかにはフランスの焼酎ブームに合わせたのか

サトウダイコンの【フランス焼酎】も。

もちろんフランスからの輸入品。なぜか甲類です。

 そういえばヴェトナムの中部高原でも、

日本の焼酎が売られていました。フエ産とのこと。

開拓時代の西部の酒場のような何でも屋で、

こっちは地酒を呑んでいましたが、

地元では日本風焼酎も結構な人気のようでした。

たしかに雑味はないし、すっきり酔えますから。

聞いた話ですと、かなりの量が日本に輸出されているとのこと。

甲乙どちらもありました。


 さて、私の個人的な好みはまず酒粕。

粕取焼酎です。なかでも樽平の【粕取】は最高。

125本限定の15年古酒もいいのですが、

やはり純粕取焼酎【たる平40°】の10年古酒が凄い。

こっちは限定500本。

基本的に割るのが嫌いですから、

どうしても旨味の凝縮された高度数酒に軍配が上がってしまうのです。

清酒の絞り粕焼酎。

つまり和製グラッパですね。

この贅沢さは、ちょっと他では味わえません。



(このコラムで紹介したお酒は、運が良ければANOMAで、飲むことができます。)

筆者:星川京児

次ページへ

"2002 anoma , All rights reserved"