お店のご案内

お茶のお話

お酒のお話
・今月のお酒
ギャラリー情報

BBS

リンク



mail

お酒のお話
今月のお酒


anomaの粋酒酔音

(12)


 焼酎雑感2

 

 奄美群島の喜界島に【朝日】という焼酎があります。

これを初めて呑んだのは大学の時だから

もう35〜6年前のことでしょうか。

それも島のオリジナルもの。

それから1980年代の半ばには

間借りしていた南青山の編集部でよく呑みました。

とはいえ、当時は焼酎ブームなんて全くありませんでしたし、

ましてや奄美の黒糖焼酎なんて、まず東京で呑む機会など皆無。

一時、どこかの百貨店が扱っていたこともあったようですが、

その編集部は島からの取り寄せ。それも木枠の10本入りです。

これは部屋のスタッフが喜界島出身だったということに

よるものですが、
それでも1日一本空けるのだから贅沢だったなあ。

もちろん一升瓶です。

で、昨今の黒糖ブーム。

それも先頭を走っているのが【朝日】というのだから

時代も変わりました。

味もというのは、こっちの舌のせいでしょうか。


 もっとも、最初に【百年の孤独】を呑んだ時も、状況は同じ。

88年くらいに宮崎の友人に頂いたのも、

私のやっていた雑誌と同じ名前のバーで呑んだ時も、

樽熟の香りとコクが良いなあというくらいで、

そんなに騒いでいた覚えはありません。

ましてや現在の値段なんて、当時は考えも及びませんでした。



 もっとも樽熟させてもいいが、色が付いちゃうと

焼酎扱いしないとか、
度数に応じて税率を変えるとか、

なかなか旨い酒を造らせないようにしているのは税務署。

いわゆる酒税法ですね。

梅酒を造ってお客さんに出したら挙げられたなんて言うのも、

案外、昨今の梅酒ブームで盛り上がっているメーカーに

阿ねているだけだったりして。



それでもオーク樽仕上げとか、泡盛なみに瓷で寝かした

高級品もちらほら。

日本の酒文化のためには良いことです。


 ちなみに、これまで呑んだ最高は24年ものの【西海の薫り】

度数は落ちていましたが味の枯れ方がとても美しい酒でした。

蔵で発見されたデッドストックものですからもう呑めませんが、

時々、フラッシュバックというと誤解されそうですから、

戻り香のように、味わいを思い出します。


 それにしてもホワイトリカーに漬け込んだ梅酒はOKで、

日本酒に漬けるのは駄目なんて、やっぱり変。

自分で呑むのだったら、今流行の自己責任でしょう。


 いずれにせよ、あの手合いは砂糖がきつくてちょっと苦手なのです。


 最近面白いと思ったのは「刈干切唄」で知られる

椎葉のその名も【刈干】

玉蜀黍を玉蜀黍酵母で造った、いわば焼酎界のバーボンですね。

味もどことなくそれ風で、個人的にはいけてると思います。


 最後に究極の珍品。

台湾製の【牛蒡酒】

そう、あのきんぴらなどにする牛蒡です。

これはそのまんま牛蒡の味わい。


本当に世界は広い。



(このコラムで紹介したお酒は、運が良ければANOMAで、飲むことができます。)

筆者:星川京児

次ページへ

"2002 anoma , All rights reserved"