お店のご案内

お茶のお話

お酒のお話
・今月のお酒
ギャラリー情報

BBS

リンク



mail

お酒のお話
今月のお酒


anomaの粋酒酔音

(13)

 メコンのポン菓子酒

 初めてヴェトナムへ行った時に驚いたのは、蛇酒の多さ。

ハノイでヴェトナム側のスタッフと打ち合わせをした店は、

棚の上がすべて蛇を漬け込んだ瓷のようなガラス瓶。


数年後のホーチミンでも、

路上の自転車の駕籠にぎっしりと詰め込まれた蛇。

これも食用というより薬用。

ほとんどが酒に漬け込まれるとのこと。

もちろん生きていますし、全部毒蛇というのが恐ろしい。

それを道端にほったらかしたままトランプに興じていましたが、

逃げ出したらどうするんだろうと、他人事ながら心配になったほどです。

効くという噂を聞き込んで買いに来る日本人もいるそうですが、

蛇が入ったままでは税関で止められることもあるとのこと。

移し替えて持ち込むのが無難かもしれません。

これも一種の漢方というか、越方薬ということになるのか、

健康志向は本家中国以上かも。

 といっても、すべての酒が薬用ということではありません。


まず筆頭は焼酎。

豊富な米を使った米焼酎。

以前はヴェトナム・ウオッカという名称で売られていた焼酎は40°。

それ以外にもお隣ラオスなど同様に餅米を使ったラオラオのようなものや、

なにより、農家自家製のものが多かったようです。

私が頂いた自家製焼酎もそう。

とはいえ不純物が多かったのか、

翌日の二日酔いも半端ではなかったと記憶しています。

これは、インドの西ベンガル州公認の安酒、

バングラを呑んで以来のものでした。

 もっと須郷二日酔いのものはまたいずれ。


 昨今は経済の発展もあってか、

地方でもそれなりの店にあるのはまずビール。

有名な333だけでなく、瓶入りのサイゴン・ビールが人気でした。

このビールで煮る鍋料理がまた美味い。

山のなかでもこれの海鮮煮があって、なかなか乙なものでした。

 とはいえ、ビールではやはり物足りない。

という御仁が多いのはどこも一緒。


やはり中心は焼酎というか、スピリッツ。

最近は日本のメーカーが地元で造る焼酎も呑ませる店がありますが、

やはり国産がメイン。

 昔風のヴェトナム・ウォッカの味わいを求めるなら

ルア・モイ(Lua Moi)45度でしょうか。

ちょっと舌を焼く感じがありますが、

どんな料理にも合う淡麗辛口酒です。

 でもお勧めは、黄色餅米を原料にしたネップ・モイ(Nep Moi)

シナモンなどの香料を加えた独特の香りが立つ逸品です。

ポン菓子の匂いというとお判り頂けるでしょうか。

私の田舎ではポン煎りと呼んでいましたが、

いわゆる米版ポップコーンです。

ある程度以上の年齢の人ならば、絶対に懐かしくなる風味。

それでも40度ありますから御用心。

これの変わり種がネップ・カム(Nep Cam)29.5度。

こちらは黒餅米を原料としたスピリッツですが、

味わいは度数の高い紹興酒。

ねっとりとした舌触りと濃厚な香りが、

まさにメコンの泥流を思わせます。

これも蓮の芯のサラダのようなスッキリ、しゃっきりしたサラダと、

相性がいいから不思議です。

(このコラムで紹介したお酒は、運が良ければANOMAで、飲むことができます。)

筆者:星川京児

次ページへ

"2002 anoma , All rights reserved"