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 スリランカの粋酒:アラック



 椰子酒が好きです。アフリカからインド洋を経て東南アジアまで、

ココヤシというか糖分を持った椰子の樹液から造られる醸造酒。

ものの本にはココヤシの花序から出る樹液と書かれていたりしますが、

実は椰子の種類によって様々。

なかには椰子の根っこから採る酒や、一本切り倒して底から搾り取るものまであるのです。

海を眺めながらココナツの殻を酒杯にして呑んでもいいし、

山間に沈む夕日を眺めながら啜るのもまた乙なもの。

 とはいえ、今日の話題はこっちではなくて、ココナツをベースにした蒸留酒アラック。

醸造酒の方は現地に行かなくては呑めません。

時間が経つと酢になってしまうのですからしようがない。

スリランカのメーカーが瓶詰めを輸入していましたが、

やはりフレッシュとは差がありすぎました。

 さてこのココナツ・スピリッツ、一般的にはアラックと呼ばれているもの。

といっても、アラック=ココナツ焼酎というわけではありません。

同じ椰子の仲間でもナツメヤシの実であるデーツを原料にしたものや

米、タピオカ(キャッサバを精製したもの)など、要は蒸留酒のほとんどはアラック。

アラブの商人がアランビックという蒸留機を持ち込んだためかどうかは知りませんが、

アラックとはアラビア語で汗を意味する言葉。

原液を蒸留すればポタポタとアルコールが落ちてくるわけですから見事な命名でしょう。

そういえば、江戸時代に日本に入った蒸留酒もアラキ酒といったそうです。

そのまま焼酎のブランド名にしてしまったメーカーもありますけど、

これって清酒という名の日本酒を出すようなもの。なんだかなあ。

 ここでお勧めなのはココナツの樹液100パーセントのアラック。

日本にはフィリピンのランバノグが輸入されていますが、

ココナツの凄さを味わいたいのなら、スリランカのアラックでしょう。

切れ味抜群のWhite Diamond Arrakから、

ウィスキー樽で10年以上熟成させたヴィンテージものまで味も多種多様。

後者など、ココナツ・ブランデーともいうべき芳醇な香りと味わい。

なかでもW.M.MENDIS の7年、10年、12年、15年のオールド・アラックは最高。

最近輸入されはじめたDCSL をはじめAybrook & MasonやRocklandなどメーカーの多さも、

品質競争に結びついているのか、どれをとっても外れがないのが嬉しいじゃないですか。

いずれもこの3月にスリランカから持ち帰ったものばかり。

一度呑んでみてください。

筆者:星川京児

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