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(3)

肴もいらない白酒の魅力

白酒



 
初めて中国と仕事をした時に、まず驚いたのは宴会の乾杯の凄さ。
冒頭の挨拶から始まり、なにかというと乾杯。
それも呑む度に酒杯を逆さにして空けたことを証明するのです。
たしかに杯は小さい。
ですが、その酒のきついことといったら
それまでに経験したことのない度数。
のきなみ50度を超そうという強者ばかり。

上膳水の如しの水割りや、ビールでお茶を濁す日本とは大違い。
その乾杯酒は白酒といわれる焼酎、スピリッツです。

有名な【茅台酒】は、周恩来が田中角栄をもてなした貴州の銘酒ですが、
まさに饗(もてな)すという言葉に相応しい宴会酒の王者です。

共産党の酒が茅台だとすると、ブルジョアの酒の代表が【五粮液】。
などというと叱られそうですが、四川省は経済開発を進めたケ小平の故郷。

逆に、庶民の酒というと思い浮かぶのは山東省の【汾酒】でしょうか。
値段も安いし。


 ちなみに、中国では白酒のタイプ香りによって判別します。

茅台は「醤香型」でそのまま(茅香)。

五粮液は濃香型で同じ四川の【瀘州老窖】の一字を採って(瀘香)。

汾酒は清貧だからというわけでもないのでしょうが「清香型」の(汾香)。

できすぎてますね。

当然内モンゴルの牛乳焼酎アルヒは「乳香型」

なかには貴州の遵義市の【菫酒】のように

それらが混ざり合った「複香型」なんてものもあります。

 


 個人的に好きなのは陜西省【西鳳酒】。

爽やかな香りに優雅な気品がただよう素晴らしい酒です。

山東省は孔子の子孫が造るその名も【孔府家酒】があり
江蘇省には【洋河大曲】。
いずれも1952年、63年の八大名酒に選ばれた強者ばかりです。

それ以外にも美味い白酒は目白押し。

辺境というわけではないのですが新彊の【イリ大曲】は美味かったです。

最近人気の湖南省産【酒鬼酒】は昨今の中国人気質の反映でしょうか。
その名の通りカドが立ち過ぎ。円やかさに欠けるんですね。

そうそう珍品を忘れるところでした。

料理大国広東省には豚脂を使用した【広東米酒】があります。

口に含むと強烈な豚油の香りが……。一度試してみてください。

 


 酒は郷土の誇りというのはいずこも同じ。
茅台の街、貴陽ではあらゆるタイプの茅台を売ってました
なかにはヴィンテージもののワインやレアなモルトでも太刀打ちできない
とんでもないプレミア茅台までありました。

オークションものの中国茶を思わせる値段は、
発展する中国そのものなのですね。


 もっとも国内空港のショップで売っておいて、
セキュリティでテロ防止のために酒は没収というのはいかがなものか。
苦い思いを、といいたいところですが、まだ呑んでいないのだからそれすら無理。
いやはやなんとも、でした。

(このコラムで紹介したお酒は、運が良ければANOMAで、飲むことができます。)

筆者:星川京児

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