anomaの粋酒酔音
(4)
インド発最新モルトはマサラ味。
AMRUT
Single Malt
ワインが多様だっていうけどウィスキーだって負けてやしません。
だってワインなんてどうやっても葡萄酒でしょう。
せいぜい山葡萄があったり、黴が付いた葡萄を使うくらい。
その点、ウィスキーは凄いです。 大麦麦芽はもとより、ライ麦のライ・ウィスキー。
トウモロコシ、それも51パーセント以上ならバーボン。
88パーセント以上使ったストレート・コーン・ウィスキーなんてものもある。
ちなみに有名なジャックダニエルが称するテネシー・ウィスキーとは
テネシー州産のサトウカエデの炭で濾過、熟成したもの。
ジョニ黒やカティサークなど一般に知られているブレンディッド・ウィスキーにも
トウモロコシetc。いわゆる穀類原料のグレーン・ウィスキーが使われている。
天下のスコッチにだって大麦以外の穀物が使われているんだから、
後は推して知るべし。
その筆頭がタイのメコン・ウィスキーかな。
これ以外にもメナムとか、いろいろあるけど、とりあえず米でもウィスキー。
というのもウィスキーの定義がちょっとユルイのです。
一言でいえば『穀物原料の蒸留酒で樽熟させたもの』。
これさえクリアすればだれでもウィスキーが造れる。
とはいえ、本当に樽熟させたのか疑わしいものがあることも確か。
だから世界酒事典などにはエントリーしてもノミネートしてくれない。
まあ焼酎にカラメルで色付けしただけでウィスキーといわれても、ということなのでしょう。
ちなみに、日本の焼酎にも樽熟したものがあるけど、なぜかウィスキーとはいいません。
酒税法のこともあるのだろうけど、国産メーカーがちゃんとしたものを造っているから、
割り込めないのかも。
なんといっても日本のウィスキーは世界五大ウィスキーの一つなのですから。
発祥の地のアイリッシュ。
ウィスキーのスタイルを創りあげたスコッチ。
バーボンやライのアメリカン。
最もライトでユニークなカナディアン。
スコッチから技法を学び独自のデリケートな酒を造り上げたジャパニーズ、
ということらしいです。
今回お勧めは、番外インドのニューカマー。
外国人には【ピータースコット】が有名です。
結構スコッチぽくて活けました。
もちろん他の酒に比べてのことですが。
でもこの【アムリタ】はイギリスでも受けているという本格派。
今のところはインド・レストランを中心に、という但し書き付きですが。
ハイテク都市としても名高いバンガロールはビールも美味い高原の街。
熟成年数表記はないけど、インドは暑いから熟成も早いんですって。
とまれ、ヒンドゥーの神々と阿修羅が大海を攪拌して生み出したという
不老不死の妙薬を名前に付けるなんてやっぱりインド人。
たしかにこんなにスパイシーなウィスキー、他にないよなあ。 (このコラムで紹介したお酒は、運が良ければANOMAで、飲むことができます。)
筆者:星川京児 次ページ
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